2018年10月14日

今季Jクラブの「限定ユニフォーム」情報をぜひ教えてください(マラソン応援の予習のため)

みなさまこんにちは。
Jリーグは佳境を迎えていますが、来月になると「マラソン大会でサッカーユニフォーム応援企画」においてはいよいよシーズンインという感じになりつつあります。今年もよろしくお願いします。

さて毎年、応援の現場では「応用問題」と呼ばれている「限定ユニフォーム」ですが、できる限り事前に「予習」をしておきたいので、ぜひ「こんなユニがあるよー」という情報をお知らせいただければ幸いです。できる限りJリーグのハイライト番組をフォローしているつもりではあるのですが、それでも知らないユニフォームが案外多いことを毎年痛感しております。

たとえばガンバ大阪は今年も太陽の塔をモチーフにした限定ユニフォームを発表していましたね。
すごくオシャレでカッコいいとは思うのですが、もしこのユニのことを知らないままマラソン応援のときに現れたら、遠目で見ると「自転車ロードレースのユニフォームかな」とか思ってしまい、気づくのが遅くなる可能性は高いです(笑)。

Gamba2018expo

そして下段は、来場者に配布した特別ユニフォームとのことで、これがやっかいなのは、胸元にパナソニックのスポンサーロゴがないことです。そうなると胸元の「12」と、ガンバのエンブレムを頼りに「決め打ち」してガンバコールをするしかないです。

あと、これはぜんぜん知らなかったのですが、昨年ベガルタ仙台は「ユアスタ20周年記念ユニフォーム」というのを発表していたのですね。

Vegalta

ただこの場合はオーセンティックのユニなのでスポンサーの「アイリスオーヤマ」のロゴが目立つので、もし初めて見たときでも心おきなく「ベガルタ!?」と判断できるのでありがたいわけです。

普通の正規ユニで今季から気をつけたいのは、カマタマーレ讃岐です。すごく現場で判別しやすかったメインスポンサーの「神内ファーム」が変わりました。

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これは慣れるのに時間がかかりそうですが、マラソン大会で出会える人数は多くないのでもし走ってきたらぜひ確実に捉えていきたいクラブのひとつではあります。

なので、「スポンサーロゴが大きく変わったよー」っていうクラブがほかにもありましたら、教えてください。

毎年やろうやろうと思いつつ、なかなか予習できないまま本番を迎えているので(笑)、よろしくお願いいたします。

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2018年10月 5日

横断幕と暮らす日々(その13):名前を大声で呼ばれる

 試合終了直前、藤田のぞみがペナルティエリア付近から放ったミドルシュートは綺麗な弧を描いてネットに吸い込まれ、2-2の同点ゴールとなった。

 うれしさもひとしおで、なぜならばここは、京都だったからだ。

 よりによって私の地元で、劇的なのんちゃんゴールが炸裂したのである。親孝行ならぬ、「サポーター孝行」である。最高なのである。いつもだけど! 

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 バニーズ京都SC戦は、9月22日に山城運動公園陸上競技場で行われた。京都に住んでいながら、そして職場からも近いはずなのだが、この運動公園に足を踏み入れたのは初めてであった。

 年に一度、片道千円もかからずにたどり着けるなでしこ2部リーグの試合会場であるが、千葉からのコアサポーターのみなさんの到着を迎え入れるだけではなく、この日は旧知の湯郷ベルサポーターであるフィオリオ氏とMさん、そして“アンチ銀河系”さんも試合会場に来ることになっていて、ベルの試合のないときでも、こうして「元ベルの選手やその他諸々」を追いかけている人々の行動力には脱帽である(脱帽というか、むしろ「何らかの精神的な脱臼」と表現したくもなってくるが)。

 というわけで私個人の感覚では、「客席のみのダービーマッチ感」が少しだけあって、ピッチの上のオルカ鴨川FCを応援しつつ、身も心もスタンドではオルカのサポーターとともに声を出し続け、そしてスタンドの反対側に座っているベルサポーターの友人関係の動きも気にしながらの試合だった(元湯郷ベルの人気選手加戸ちゃんがバニーズにいる)。フィオリオ氏に至っては、ちょっと歩いてやってくればいいものを、向こうで座りながらLINEを飛ばして私と対話してくる有様で、10月末の鴨川でオルカは湯郷ベルと対戦することになっているが、きっとこういう感じになるんだろうなと思った。

 試合ではオルカの浦島によるゴールで早い時間帯に先制でき、5月の対戦時のように大量得点を期待していたがなかなか難しい時間が続き、後半になってからは流れが明らかにバニーズに傾き、気がつけば2点を返されていた。

 そしてこの日は来ると豪語していたはずのアンチ銀河系さんの姿は試合開始時には見られなかったが、きっと反対側のバニーズのほうでベルサポーターとともにいるかもしれないと勝手に思っていた。すると試合途中で突然アンチさんは姿を見せ、相変わらずどこのチームのサポーターかよくわからなくなっている状態で大量の荷物が収まっているパンパンのトートバッグを座席に置き、「のんちゃんのゲーフラを見に来た」とか「ハムスターを観察するタテーシさんを観察しに来た」とかなんとか言っていた(彼のたくさんいる推しの選手のなかに藤田のぞみも入っていて、「ハムスター」とよく呼んでいる)。そうして声出し応援をしている私にちょいちょい話しかけてきたりもしていた。

 そういう状況だったので、藤田のぞみの美しいミドルシュートがゴールに入ったとき、一瞬の狂喜のあと、すぐに思い至ってしまったことは、もしかしてアンチさんがこの日のラッキーボーイなのかもしれないということだった。私は今シーズン14試合ほどスタジアムで見続けてようやく2点目ののんちゃんゴールを観たというのに、アンチさんはいきなりこのビューティフルゴールに立ち会えたわけで、悔しいがこのおじさんの謎めいた運の強さを思った。

 ゴールを決めたあとの出待ちはすがすがしい。たしかにチームが勝ちきれなかったことは残念でもあるが、少なくとも本人に話しかけるテーマには困らなかった。会場から出てきたのんちゃんを早めにつかまえて差し入れを渡し、ナイスゴールを称える。
 また、フィオリオ氏の知り合いのご高齢の女性ファンが、のんちゃんとご自身が一緒に収まっている記念写真を手にサインをほしがっておられたので、その人のアシストに入ってサインがしやすいように手伝ったりした。そうしてこの日も次々とファンにつかまっていくのんちゃんであったが、自分はこの日やるべきことをすべてやり終えた気分で、すっかりリラックスしてフィオリオ氏と談笑していた。

 すると突然、遠くのほうから

「タテーシさーん!!」とアンチさんの声。

 

驚いて振り向くと、

明らかに一人だけチームバスに乗り遅れそうなのんちゃんを立たせたまま

「一緒に写真に入ってー!!」
とのこと。
この気持ちはありがたいのであるが、「一緒に撮って欲しい」とは一言も頼んでいないし(笑)、まったく事前に打ち合わせもなく、このときの私はただひたすら「ヒャーー!!」となり小走りで駆けつけて「すいませんすいません忙しいところすいませーーん!!」とひたすら口走っていた(と記憶しているが頭は真っ白だった)。

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幸いのんちゃんは終始笑顔でいてくれていた(と記憶しているが自信がない)が、おそらくこの写真に収められた私の顔はただひたすら謝ってばかりの動揺に満ちた表情だったかもしれない。そういうわけでこの日は完全にアンチさんの天真爛漫さ?にやられっぱなしであった。

 おそらく次にアンチさんと遭遇するときにこの日の写真プリントをいただけるものと期待しているが、それはきっとアンチさんのサポートするもうひとつのクラブ、ハリマアルビオンとのリーグ最終節のときになるかもしれない。そしてそのときどのような順位になっているかはお互い想像できないほどに、1部リーグへの昇格争いは大混戦となってきて、ひょっとしたらハリマとは最終節での「大決戦」もありえるのだった。

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2018年9月17日

横断幕と暮らす日々(その12):ゲーフラとも暮らす日々

 出待ちをするなら、ましてや選手の個人サポーターを自認するのであるならば、本人にどういった声をかけるのかをあらかじめちゃんと考えておかねばならないと自省した日。

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 リーグ杯のグループリーグ最後の試合は7月14日のニッパツ横浜FCシーガルズとの一戦。会場は三ツ沢球技場で、ここはJリーグでも使用される球技専用スタジアムだけに、ピッチも観やすくて、サッカーを観に来ることの愉しさをじっくり味わえる場所だと感じた。

 この日はありがたいことに、関東在住のYさんがオルカの応援席にやってきてくれた。当ブログでもたびたび登場する、チェルシーFCのスタジアムツアーに初めて参加したときにたまたま同じ組になってから交流が続いている方である。オルカのユニフォームをまとい、そしてゲートフラッグを手にし、チャントの応援の声だしに精を出す私の姿をかたわらで見守って(?)、かつ写真に収めてくださった。

 ともあれ、この日も苛烈な暑さがおそいかかる日で、藤田のぞみはスタメンとして、バランスよくポジションを構えてここぞの場面でボールを奪う仕事が目立った。そして後半途中で交代した。

 得点が決まるときは決まるもので、齋藤敏子のゴールを皮切りに3点を奪って勝った。カップ戦の決勝進出には届かなかったが、このあとの中断期間を挟んだ肝心のリーグ戦に向けて良いイメージで終えられることが何よりこのチームには大事だった。

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 ただし出待ちのとき、ふいに現れた本人を前に、どういうわけか何も言うべき言葉が出てこず、ついとっさに「前の試合のゴールは本当によかったです」みたいな話をしてしまった。ちなみによく考えるとこの日の前の試合、リーグ杯のちふれエルフェン戦は私は「欠席」していたので、「前の試合のゴール」は3週間も前の出来事である。そりゃあ相手にとってもリアクションに困る微妙な感じになり、そしてその様子を後ろで見守っていたYさんも、このあっけなく終わったやりとりに「え、これで完了?」という雰囲気だった・・・。そういうわけで、私ももう少し気のきいた声かけができるようになろうと反省した日である。

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 この試合後からスケジュールは中断期間となり、かのU-20代表はフランスでワールドカップを戦った。オルカ鴨川から代表に選出されていた村岡真実は、フォワードの交代カードの切り札として奮闘していたこと(そして表彰台の上でもフォワードらしく良いポジショニングをキープしていたこと)は先の記事で述べたとおりである。

 U-20ワールドカップ初優勝という最高の結果をひっさげて、大会終了後最初の公式戦となった9月2日のスフィーダ世田谷戦において、さっそく村岡真実はスタメンでの出場となった。選手紹介のアナウンスのときは村岡にたいしてスフィーダのゴール裏サポーターからも拍手がおこっていた。

 この日の会場である「味の素フィールド西が丘」は、国立スポーツ科学センターの敷地のなかにある球技専用のスタジアムで、声出しをするサポーターはゴール裏側のスタンドに陣取ることができた。ピッチとの距離が近く、シュート練習のボールもすぐ飛んでくる場所だった。

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 試合中もたまたま私が一番ゴール寄りの場所に立っていたので、久しぶりにゴールキーパー目線からの試合観戦を楽しめた。なにより、この日もスタメンだった藤田のぞみがゴール前に進入してシュートを狙い、惜しくも外れたその力強いボールが私のところに飛んできたことが良い思い出となった。本来ならそのボールをそのままキャッチするか、パンチングで弾くかしたかったのだが、案の定受けとめることができず、ピンボールのようにベンチを行ったり来たりするボールをあたふたと追いかけることしかできなかったわけだが(試合中に選手が蹴ったボールを触ったのは、2009年に訪れたウエストハム・ユナイテッドの在りし日のホーム、アップトン・パークでのチェルシーとの試合中、バックスタンドにいた私と父のところにボールがやってきたとき以来だ。これはすごい幸運だとボールの手触りを味わいつつ、すぐにピッチにボールを戻さなかったので、ミヒャエル・バラックが「早くよこせ」と言わんばかりにこっちを見ていたことが懐かしい)

 このときのシュートに留まらず、この日の藤田のぞみは他にもシュートを狙ったり、前線へのスルーパスをたくさん試みていた印象だった。しかしなかなか状況を打開できず、後半に入ってサイドバックの吉田紫穂が負傷退場となった関係で、前線にいた村岡真実がサイドバックの位置に下がった。するとこのポジション変更直後に村岡が後方から上げたボールを永木真理子がヘディングでゴールに叩き込んで、それが決勝点となった。村岡の存在感が際だつ内容だった。

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 そして出待ちでは前回の反省をふまえ? 今日はスルーパスをガンガン狙ってましたね、という声かけをのんちゃんにさせていただく。もっとも他にもたくさんいるファン対応に勤しむ状況にあっては、あまり長々とした対話はいつもできないのだが。
 この日は全体的に出待ちの場の雰囲気がなんとなくゆったりと和んだ感じだった。試合に勝てたことが大きいのだろうが、暑い夏が終わろうかという気候もそうさせたからかもしれない。そしてたくさんの贈り物を抱えた村岡真実は凱旋試合後の疲れをみじんも感じさせないいつもの陽気さで、バスが出る直前までひっぱりだこだった。

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 この翌週、私は人生で最大級といえる強烈な台風を体験し、北海道では地震が起こり、落ち着かない日々が続いていたが、9月8日は伊丹空港から飛行機で松山市へ。愛媛FCとのアウェイ戦に臨む。

 総合運動公園に着いて路線バスを降り、広場を見渡すと、遠くからいつものオルカのコアサポーターのみなさんがこちらに向かって歩いてくるタイミングだった。しかも横一列に並んだその様子が『Gメン'75』のオープニングを思わせたので一人で笑ってしまった。そのことを伝えるとコールリーダーのEさんが突然「あの滑走路の『75』のロゴはベニヤの張りぼてだったんですよ」というトリビアを披露したり、みなさんだいたいそのあたりの世代・・・(笑)。

 

 試合会場となる愛媛県総合運動公園球技場は、Jリーグ愛媛FCのホーム「ニンジニアスタジアム」の裏手、丘のふもと側にあった。ちょうどこの日は愛媛FCとカマタマーレ讃岐のJ2リーグ戦も夜に開催されるので、ニンジニアスタジアム周辺では試合準備が行われつつあり、Jリーグのサポーターの姿もちらほらと見えていた。

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 ウォーミングアップ開始前、選手監督スタッフがアウェイサポーター席の前に来て挨拶をするとき、Tさんが村岡真実ゲーフラを掲げ、そのとなりで私も藤田のぞみゲーフラ(ネットでの公開が遠慮されるやつ)を掲げた。愛媛FCサポーター側をチラッとうかがうと、こういうゲーフラを掲げている様子はなさそうで、この澄んだ山間ののどかな球技場のチープな客席のなかにあっては、このゲーフラもかなり目立ってしまう。そのせいか、選手たちの何人かがこのゲーフラに反応しているようにうかがえ、そして藤田のぞみ本人もなんだか苦笑しているように見えた。インパクト重視のこのゲーフラが試合前の彼女たちに変なムードを与えてしまっていないか、いまさらそういうことを軽く心配しつつ私はキックオフを待った。

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▲コールリーダー用の特製ボード。

 雨が降ったり止んだりで難しいピッチのなか試合が行われ、苦労しながらの試合展開。先発の藤田のぞみはこの日は前節よりも攻撃参加を控え、ボール奪取の動きを多く見せていた印象。相手が2位のチームだということもあったが、前節と違いこの日はスタートから齋藤敏子とのコンビで中盤を構成していたからかもしれない。いつも感じていることなのだが、イタリア代表のレジェンドでいうと、ピルロのように後方から絶妙なパスを配球したかと思えば、ガットゥーゾのように闘犬のごとく相手ボールに食らいついて奪い返す、そこが藤田のぞみの真骨頂である。

 そんなこんなで拮抗した試合展開が続き、「アウェイで2位相手の試合、スコアレスドローでも御の字だよな・・・」というムードになって、試合終了を迎えようかというそのとき、最後の交代カードで入っていたフォワード土屋佑津季が、まさに昇格争いに加わるターニングポイントとなりうるミラクルなシュートを豪快に決めて大勝利を挙げたのであった

 沸き立つアウェイサポーター、そして雨がまた降り出してきた。横断幕を早々に片づけ、そして何人かは急いで帰路にむかう。人数の少ないこの日の出待ちでは、村岡真実のお母さんとはじめてゆっくり話をさせてもらったり。
 設備が整っているわけでもない試合会場なので、待機しているバスまで距離があり、大雨のなか選手スタッフは駆け足で移動。そんな状況で藤田のぞみをつかまえて、急いでいるなか恐縮だったが、この日はどうしてもアップ前のゲーフラの件について本人に尋ねてみたかった。あのゲーフラ、他の選手も笑っていたようだけど、実際どうなんでしょう?

「、好評です。」

と笑顔で言ってもらえた。なんだか文頭に「、」をつけたくなるような感じ・・・そう、若干この「、」のなかに苦笑い要素が入っていたような気がする(笑)。

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本当はこのあとのJ2の試合も気になっていたのだが、ますます雨が強くなり、立ちっぱなしでコールを続けていた疲労もあり、いますぐホテルにチェックインして横断幕とゲーフラを干したい気分だった。グッズ売場で愛媛FCのピンバッジを買い(一平君グッズは迷ったがスルー)、ホテルに着いてバタバタと横断幕などを干したりして、時間に余裕ができたので閉店間際の道後温泉に行ってみたりした。

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今年は夏に大きな旅行を予定していなかったので、この愛媛遠征が唯一といっていい、旅行らしい旅行のつもりで楽しみにしていた。しかし翌日も雨で、あまり出歩く気分にもなれず、とりあえず正岡子規記念博物館に行ってみた。見所の多い展示でそれなりに楽しんだが、そうこうしているうちに午後になると雨がさらに強烈になって避難勧告発令・警報レベルになり、JRが運行休止となったことをスマホで知る。夕方にゆっくり鉄道で帰ろうとしていた私はやむなくJR松山駅に駆けつけて切符をキャンセルし、急きょ飛行機の予約をとって松山空港へバスで向かって予定外のルートで帰着することとなった。てんやわんやだったが、アウェイでの劇的勝利、そしてゲーフラのことも含めて? 充実感は残った。

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2018年8月26日

“なでしこフィーバー”の完結と、あたらしい歴史への闘い

 興奮から一日たって。

 まず大枠の話。
 2011年のワールドカップ優勝を小学生のころに見ていたであろう世代が、Uー20女子ワールドカップを制覇した。ここにひとつの「なでしこフィーバー」の完結を見た思いがする。今回の決勝戦でのフジテレビNEXTの中継解説は野田朱美氏だったが、何度も「ここからが本当の勝負」というようなことを言っていて、それはU-20代表の彼女たちだけでなく、「すべてのカテゴリーでW杯を制覇してしまった後の日本女子サッカー界」にたいする気持ちでもあったのだろうと自分は受け止めた。一連の「フィーバー」はここで完結したのだから、後はいったい何を目標に、どういう方向性でこの業界を活性化させていかねばならないのか。言うまでもなく、男子サッカー界はそういう意味での「完結感」はまだ味わっていないのである。あのW杯を優勝しないことにはたどり着けないわけだから。
 なので来年の女子W杯フランス大会は、新たな歴史をどういうふうに紡いでいくのかの難しい第一歩となるのだと思う。誰しもが、この「強豪国」の立場になったあとの状況について、まったくの未知なのである。

 試合のこと。

 グループステージからずっと、キーパーのスタンボー華はパンチングが多くてキャッチングが不得手かと思えるプレーぶりが続いていたので、序盤からスペインもそのあたりを狙っていた気がする。スタンボーに弾かせてコーナーキックを奪い、そこからセットプレーの高さでいくつか決定的なチャンスを作っていた展開にはヒヤヒヤさせられた。もちろん、この試合でスタンボーはいくつかファインセーブを見せてはいたが、終始キーパーは今回のチームでウィークポイントだった。でもそれは女子サッカー全体においてもこの難しいポジションで人材が豊富な国は存在していないと思うので、「どっこいどっこい」の話なのだろうけど(そう思うと日本と対戦したときのパラグアイ代表のキーパーが神がかっていたのですごく印象的だった)。

 それでも前半終わり頃に宮澤のスーパーゴールが決まり、いい流れで後半につなげることができた。ずっとポゼッションで圧倒しているはずなのに、なぜかリードを許してしまっていることに戸惑いの色を隠せないスペイン。そこへ宝田、長野がゴラッソを立て続けに決め、W杯の決勝という舞台にも関わらず、このあと時間稼ぎをするわけでもなくさらに4点目を狙うべく前線から鬼神のプレスで走りまくっていた彼女たちの姿には末恐ろしいものを感じさせた。この感覚は男子W杯では未だに体験したことのない味わいであり、つくづくこの試合が地上波で全国放送されなかったことの損失を思う。どんなに気持ちのいいサッカーだったか。手を抜かず、お互いの技術力の高さを信じ合ってひたむきに走りきり、すべてが良い距離感でパスワークが行われ、深い信頼関係にある監督が苦しい時間帯に鼓舞し続ける・・・これが「自分たちの、日本のサッカー」なのだった。グループステージのパラグアイ戦以降、もうこのチームは崩れないという自信すら漂わせていたわけで、そりゃあ優勝するわな、とすら思わせた。日本サッカー史上類を見ない「超攻撃的チーム」がそこにあった。

 本当なら1点を返された直後に、流れを変える意味でも、FWからの守備を活性化させるべくすぐに村岡真実を投入してほしかった・・・そうして疲弊したスペインにトドメを刺す華麗なマタドール役と化す村岡を期待していたのだが、実際に投入されたのは残り数分のところであった。しかし最後の最後で歴史的なピッチ上に村岡が立てたことには、オルカ鴨川を応援するすべての人々、およびなでしこ2部リーグでがんばっている多くの選手・関係者が感銘を受けたはずだ。

 さらに言うと、表彰式でキャプテンの南がワールドカップを掲げるシーン、および大会名の書かれたバナーを前にして全員で記念写真を撮るときの村岡真実のポジショニングはどれも申し分なく、猛者たちの中でもしっかり彼女らしい才覚(?)を見せていたことを個人的には高く評価したい(笑)。

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2018年8月22日

日本サッカー協会のHPも少し狂乱ぎみになっている?U20女子代表の決勝戦に備えよ!

 前回のチェルスキーな記事では、新加入のジョルジーニョについてうっかり書き忘れていて、それでもって新生アーセナルとのロンドンダービーまで制して開幕2連勝となり、改めてジョルジーニョの存在について自分なりに感想を述べたいところだが、申し訳ないがいまはU-20女子ワールドカップである。
 日本代表“ヤングなでしこ”(わたしは『プチなでしこ』というネーミングのほうがいいんじゃないかとずっと思っている)が同カテゴリーでは初の決勝進出を果たし、スカパーでしか生中継していなかったフジテレビも今度はいよいよ地上波でも放送することになった。しかし地方ローカルでは放送がないようなので、関西地方(カンテレ)でも観られない。今回のチームにおいては宝田沙織、林穂之香、北村菜々美のセレッソ大阪組のユニットがすばらしい働きをしているのだが、彼女たちの奮闘が関西地方のお茶の間で視聴できないことは残念である。

 ユニットで捉えると、セレッソ組に対して、右サイド寄りに植木理子、宮澤ひなた、宮川麻都の日テレベレーザ組がさすがの技術力の高さを誇っていて、中盤で「いかにも10番」な雰囲気で自信満々にプレーしている長野風花が元レッズであることを思うと、センターバックにかけてのゾーンは浦和レッズのユニットが形成されている。これが今回のU20代表の基本的枠組みだと思える。

 そのなかで今大会間違いなく驚異的に存在感を発揮しているのは、今はベレーザに指定強化選手として籍を置いている18歳の遠藤純である。JFAアカデミーは女子サッカーにおいては本当に育成機関として素晴らしい仕事をしていると認めざるを得ない。攻守に走りまくり、そうかと思えば左足で絶妙のパスを精度良くガンガン通してくる。2戦目からスタメンに入るや、もはやこのチームは遠藤の仕掛けからすべてのスイッチが入るかのようで、「機動力のある中村俊輔みたいだ!!」と思えてくる。ドイツ戦でのプレーヤー・オブ・マッチを獲り、次の準決勝イングランド戦では相手から警戒をされるも、その遠藤の存在に刺激されてか反対サイドからの仕掛けが活性化し、決勝点は宮澤のクロスバー直撃からの、走り込んでいた遠藤のヘディングで決めることとなった。
 いやはや、遠藤純、とんでもない選手がまた現れた。ゴール前のフリーキックでは「右で蹴るのか?左か?」という感じで、かすかに微笑を浮かべる長野とポーカーフェイスの遠藤が並び立ち、それはかつての中田英寿と中村俊輔の姿を連想させた・・・(すまないが、こういうシーンではおっさんの郷愁に浸らせて欲しい)。ともあれ、決勝戦でもし負けたとしても、日本にとってはこの大会で遠藤純という傑出した個を見出したことで、すでに大きい成果を上げたのではないかと思っている。

 そしてこのチームにおいて攻撃の流れを変える切り札として、我らがなでしこリーグ2部・オルカ鴨川FCから選出された村岡真実14番がベンチに控えているのである。サッカーにおける背番号14は伝統的に「ジョーカー的存在」であったり「影のエース」の雰囲気があると思っているので、まさにこの番号は彼女によく似合う。ほぼ毎試合で途中から入り、ひたすら前線からボールを追いまくる。多少の粗さはあるものの、がむしゃらに何度もアタックを繰り返す姿は、普段の彼女のキャラクター性も相まって、チームを元気づけるものがある。それゆえに池田太監督からもそうした役割が期待されているのだろう。

 U20代表といえば、私にとってはどうしたって藤田のぞみの存在が最初にあったわけだが、こうして新たな才能が次々と新しい扉を開いてくれて、村岡真実のような選手が藤田のぞみの後に続いていく歴史を今まさに見守っているわけである。そう思うと2018年の私のサッカー的想い出のなかで、非常に重要な一戦を迎えることになる。私としては決勝戦で村岡真実のゴールを観たい。ひたすら、それを願っている。
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 ちなみにオチとしては、いまグーグルで「U20女子日本代表ワールドカップ」などの言葉で検索して、トップにでてくるリンク一覧のなかで、こういう画面になるのだが

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よーーく見てみると、

U20_2

Siralexfergusonpicgetty251997844

「 を ~ ! ! 」

・・・・落ち着け!落ち着けってば!!(笑)

と、本当に些細なところではあるが、そんな感じである・・・。

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2018年8月10日

サッリ新監督のチェルシーについての新たな楽しみ方の提案

ワールドカップの余韻もそこそこに・・・
プレミアリーグ18/19シーズンがもう開幕です! ヒューヒュー!!
というわけで、チェルシーFCの新シーズンについてこのタイミングで書いておかねばなるまい!!
なるまい!!
なるまい!!

Thibautcourtois

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ふははははは。

こんな写真ではじめるこたぁないのにね。

やー、まぁ、自分としては「よくぞチェルシーで4シーズンもプレイしてくれましたねー! おつかれー!」っていう気持ちである。とっても。

本人もガマンの限界だったんだろうと思う。ワールドカップベストキーパーの称号を得た直後、休暇明けのチーム合流を拒否りまくり、そんでもってレアルマドリーへの移籍。キーパーらしからぬ攻撃的姿勢を最後に示してくれたわけだ。

そんなクルトワ君の移籍とともに、ビルバオからケパ・アリサブラガ君を強奪してくるあたり、さすが極悪チェルスキーである! 

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↑はい、モラタです! や、ちがう、これが新しいキーパーのケパ君だ。

ていうかうちのスペイン人、モラタといいアスピリクエタといいペドロといい今回のケパといい、なんだこの「地下鉄で向かいに座っていてもたぶん気づかない感」は!? もうちょっとアクの強い雰囲気は出せないのか? 「フツーの好青年っぽさ」なんてちっとも求めてないんだよチェルシーは!!

そしてクルトワの移籍契約に付随するレンタルでレアルからはクロアチア代表のコバチッチさんも加入ということで、レアルはこうやって中盤の選手をチェルシーに気前よく送り出して、あとあと痛い目に遭うイメージがあるので、そこはそこで楽しみである。ふはは。

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↑あんまレアル時代よく知らないんですが、「W杯決勝コンビ」としてカンテと凶暴なまでのガチガチな中盤を組んでみて欲しい。

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で、監督も新しくなりましたとさ。

Newmanager

↑オークション会場のおっさんではないですよ。

監督が新しくなった以上に私なぞはサッリがコーチにジャンフランコ・ゾラを招聘したことのほうが個人的に重要だったりする。こういう形で、このタイミングでチームに戻ってくるとは想像もしていなかったが、ともあれ今年から、ゾラがふたたびチェルシーFCとともに闘ってくれるのである。あらためて考えると、これは非常に熱い。それだけのためにまたロンドンにいきたいマジで。

Zolazola

↑ゾラだよゾラ。ついに戻ってきたよブルーズへ!

そんなわけで、いつの間にか私は「ゾラをチームに戻したサッリ監督はきっと有能なんだろう」という短絡的かつ勝手な結論であたらしい監督のことをうっかり評価してしまっている。昨シーズンまでのナポリもかなり評判のよいサッカーをしていたみたいで(でもぜんぜん観てなくてゴメンよ)、この「イタリア路線」の継続において、コンテ監督時代からどういう発展を見せていくのかは否応なく気になってくるところだ。

それにしても、このサッリ監督な。

画像検索するとやたらピッチ上でタバコふかしている写真がでてくるので、頑固な喫煙オヤジの風情を漂わせていて、それなりにキャラは立っているから合格だ。タバコ嫌いの自分としては近寄りたくないけどな。

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それにしても、このオヤジはどこかで似たような人を見たことがあるような感じがずーっとしていて、このプレシーズンのあいだモヤモヤしていたわけである。

それが、画像検索で以下の写真をみたときに、何かがひらめいて、すべてが解決したのである。

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そうか、この人はこれなんだ!!

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アメリカの缶詰「スターキスト」のキャラクター、「チャーリー・ザ・ツナ Charlie the Tuna」である!

あまり日本では知られていないかもしれないが、古くからテレビCMが作られていて、かなりナゾな「ツナ缶になりたいマグロ」という設定のキャラクターで、CMのオチはいつも「ごめんねチャーリー」と言われてツナ缶にはなれない、というもの。

どうだろう。もう今後はサッリ監督がこのマグロキャラにしか見えてこないはずだ。

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そう思うと、こうしたチャーリー・ザ・ツナの監督という状況においては、

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ツナ=マグロ、ということで、強引にまとめるとすれば、今年のチェルシーFCは「マグロ漁船」みたいなものだと捉え、それぞれの選手がマグロ漁船のメンバーとして荒海に挑戦する若者たちだと認識しておきたいと思う。(このあたり、ディスカバリーチャンネルとかでやっている『ベーリング海の一攫千金』の番組っぽく)

そう思うとケパもコバチッチも、「新たなマグロ漁船メンバー」に見えてこなくもない。

この点に気づけたおかげで、私は今シーズンも自分なりに楽しくチェルシーを観ることができそうである。

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↑髪の毛も「ふえるワカメちゃん」ばりに、どんどん増えていく感じ!(意味不明)

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2018年7月30日

森保一が日本代表監督になることで困ること

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 ワールドカップが終わり、放送権の関係やらでNHKなどは総集編の特番を作ることもせず、せっかく盛り上がったのにお茶の間向けサッカーコンテンツは一気に消え去り、もう何事もなかったかのような雰囲気になって、Jリーグでは一通りイニエスタとトーレスの来日(と離日)騒動を経て、そして気づけば今日は7月30日で、みなさん一ヶ月前なんですよ、日本とポーランドが試合をやったのは・・・。このスピーディーな時間感覚にうろたえてしまいたくなる感じをよそに、結局ハリルホジッチ解任からのワールドカップの総括もあいまいなまま、日本サッカー協会はもともと五輪代表の監督だった森保一を次のA代表の監督も兼任させると発表した。

 この状況にたいする私の考えを一言で述べるとすれば、

「困った。」

 である。
 今日はその話をくどくどと述べていく。

 なぜ森保一が日本代表監督になると困るのか。
 それは、森保一が「とってもいい人」だからである。

 私個人の想い出を述べさせてもらえば、彼が広島の監督に就任した最初のシーズン、開幕前の宮崎キャンプで私がいろいろとJクラブの練習試合見学を楽しんでいたとき、たまたま森保氏に遭遇したのである。すかさず私はエルゴラッソ選手名鑑の森保監督の写真のところにサインをお願いすると、彼は快く引き受けてくれた。そして私が「がんばってください!」と述べつつ森保氏からペンと選手名鑑を受け取ってすぐカバンにしまおうとした、その数秒の間、なんと森保一は、右手を差し出して握手を待ってくれていたのである。

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この、数秒の「握手待ち」のあの瞬間に、私は「ヒャーー!!すいませんーー!!」という焦燥感のなかで森保一がどういう人物なのかを、ひたすら感じ取ったわけである。ひとつの握手のなかに、森保一の限りない「いい人オーラ」を見出さずにはいられなかった。

 そんなわけで私が書くまでもなく、森保一が「いい人」でありまくる理由はあちこちで述べられているだろうと思う。そういうわけで、森保一は日本サッカー界における国民的評価に照らしても「圧倒的にいい人」であり、それゆえに、私は彼が日本代表監督になることで、困ってしまうのである。

 なぜ困るのか。それは、「人格者にたいして、批判的な目で見ることが難しいから」である。私たちは、森保一の代表監督としての仕事に、ツッコミどころを見出しにくくなるのではないか、そういう危惧があるのである。

 考えてみたら、これまでワールドカップを闘った日本代表監督というのは、どこかしら「ツッコミ、文句、懐疑心」をもって評価対象とされてきた人たちなのである。98年フランス大会の岡田監督はカズを外して城を重用したことで「永遠のツッコミどころ」を背負っているし、02年のトルシエ監督はまず最初に「ヴェンゲルじゃねぇのかよ、誰だよコイツは」というスタートラインから始まった(さらに、やがてトルシエの通訳のほうが面白いじゃねぇかというツッコミも展開していく)。続く06年の「黄金の中盤」ジーコ体制では「戦術が見えねぇ!!」という当初の危惧のまま最後まで変わらずじまいだったし、10年南アフリカ大会では再び岡田監督になり、当時の大会前のヒドい言われようは今年の代表チームのありかたを想起させた。14年のザッケローニ監督も「結局クラブチームのほうが性に合ってたんじゃないの」ってことで、そこからアギーレ、ハリルホジッチと連綿と続く「この人で大丈夫なの?」っていう感じは、常に代表監督の存在感をある意味で照らし続ける指標でもあった。

 そこにきて日本サッカー界は、森保一という、おそらく今までにないぐらい品行方正で誰からも文句のつけようのないナイスガイをA代表の監督にしてしまった。これでは、「森保、アカンわー!!」というノリにはなりにくい。「森保一が選ぶのなら、間違いない」「森保一がそういう交代カードを切ったのだったら、それが正しいのだ」と、私はどうしても、今後の「森保ジャパン」の試合をみて、「あれがダメだ、こいつじゃダメだ」と言い切れる自信がない。
 しかも、森保一は2020年東京五輪のU-23代表監督として最初の大仕事に向き合うわけだが、これはつまり「森保が育てた若い代表選手を、次のワールドカップで開花させていく」という流れも暗に要請されているわけで、そうなると「いい人が愛情込めて育てた若い子たち」を、私は軽くバッサリと批評することに人道的なためらいすら覚えてしまうかもしれない。

 そういうわけで、私は困っている。 「いい人」である森保一が、いちばんボコボコに文句を浴びせたくなる代表チームの監督になってしまうことに。

 そもそも、たとえば代表の試合を観ながら腹が立ってきて「もりやすー!」と叫びたくなるような状況において、それをツイッターなどで文字に書き写したときに「森保ー!!」ってなっても、元々の名前が「森保一」なので、「森保ー!」も「森保一!」も同じ意味合いに捉えられて、「ー」に込めたネガティブな思いすらも、その名前ゆえに吸収されてしまうのである。これが「いい人の徳」なのかもしれない。そういうことすら思い至らせる、いい人・森保一新監督には、ひたすら困ってしまう可能性がある。

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2018年7月22日

横断幕と暮らす日々(その11):全力で楽しめ!

 

 ネットを揺らしたシュートは、ゴール前に走り込んだ背番号8番が放ったものだった。

 かつての私が、サッカーファンとしてついぞ生で観られないまま終わってしまうもののひとつなのだとあきらめていた、ある種の「憧憬」のひとつが、目の前で現実のものとなった。スタジアムで藤田のぞみのゴールをこの目で見ること、これは個人的にいままで巡りあえなかった出来事であった。覚悟を決めて何度もスタジアムに通い出したからこそ立ち会えたこの瞬間に、ただただ感慨深いものを覚えた。

 それがこの日のすべてである。

 

 

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 男子の日本代表がワールドカップの初戦を勝利したことで次のセネガル代表との試合に(想定外の)注目が集まる中、この試合のある早朝に私は品川駅で降りて、バスで袖ヶ浦市陸上競技場へ向かった。アクアラインがあるおかげで袖ヶ浦へはこのルートが一番良いだろうと、友人のM・フィオリオ氏がアドバイスしてくれたのが3月のシーズン開幕の時期だった。あのころには想像もしていなかったことがその後、日本代表をめぐって起こったわけで、いろいろな気持ちを抱えながらの袖ヶ浦行きとなった。

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 ひきつづきカップ戦ということでこの日も藤田のぞみが出場するかも分からず、そして雨が午前中から降り続いていた。新しく作ったものの、まだ一度もかかげていない、彼女のためのゲートフラッグを横断幕とともに持参しており、もし掲げることができたとしても雨のデビューになるのだろうかと思った。

 袖ヶ浦バスターミナルから住宅地を少し歩いたらすぐに競技場があり、隣接する野球場では、「オルガウラカップ」と称したジュニアのサッカー大会が実施されていた。その様子を観ることができたのは(大雨だけど屋根がないのは仕方ないにせよ)時間つぶしにはよかった。

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 横断幕の掲出作業に入らせてもらい、この会場ではきわめて地味なエリアにしか横断幕は出せなかったが、練習前にアップやストレッチをめいめいが行う場所のすぐ近くだったので、それなりにのんちゃんたちが横断幕について会話をしているとおぼしき状況も見受けられた。

 

 無事に藤田のぞみが先発ということが分かり、ゲートフラッグを構えた。小心者ゆえ、後ろの人に邪魔にならないような端っこのポジションに座り、選手入場がはじまる。私ははじめてゲートフラッグを掲げることができたわけだが、両脇のつっぱり棒は(カバンにおさめて運べるようにするため)、あまり深く考えずに作ったゲーフラの全長とほぼ同じ長さであり、ゲートというよりも「布そのものを持っている」ような代物である。そしてはじめてゲーフラを出して感じたのは、風を受けるとすごく手に重く感じ、それゆえにゲーフラをあげることはちょっとした根性を要することなのだということだった。風にも負けず、雨にも負けず(幸いこのときには雨は止んだ)、ひたすら何かを願いつづけてゲーフラを天高く掲げて・・・スタンドの端っこで目立たないかとは思うが・・・。

 

 そうして、決勝進出の目がまだあるカップ戦、スフィーダ世田谷との試合は、開始8分の浦島のゴールで幸先よく先制し、そこから藤田のぞみのゴールへとつながっていったのである。結果3ー1で勝利し、私のゲーフラのデビュー戦で、のんちゃんのゴールが生まれたことは控えめに言っても最高の日なのであった。


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 そしてフィオリオ氏からはLINEで再三、この日にゲーフラにサインをもらえと説得され続けていた。私としてはこのゲーフラは・・・試合前に掲げておいてこんなふうに思うのもなんだが・・・その内容について、ご本人を前にして堂々と広げるにはなんとなく抵抗感があった。というのも、このゲーフラは某有名絵本のキャラクターを、ひたすら手作業で模写をしてオルカ鴨川8番バージョンに仕立て上げた内容であり、著作権を侵害している!と言われてもその通りですねすいませんごめんなさいとしか言いようがなく、ブログの読者には申し訳ないがウェブ上では気軽に掲載できないレベルのものだからだ。

 

しかしよりによってゲーフラをデビューさせたその日に本人がゴールを決めたのだから、たしかにこの奇跡的なタイミングを逃すとサインをもらうきっかけを失いかねないこともよく分かっていた。そこで心を整えて、気持ちを切り替えて、サポーターのTさんに出待ちの時にマジックペンをお借りして(そう、ペンすらこの日は用意していなかったのであった。まったく心が整ってない・・・)、ひたすらのんちゃんを待った。

 

すがすがしい表情のご本人に、まずはゲーフラを折り畳んだ状態でサインをいただく。そして厚かましいことに、(前回の富津でサインをもらったポストカードに、本人の自筆プリントで書いてあった言葉をふまえて)「全力で楽しめ!」というフレーズを書き入れてくださいとお願いをする。

「・・・『め』、ですか?」

「そうです、『楽しめ』、で・・・」と伝える。

 

そして最後のお願いで、ゲーフラを持った姿で写真を撮らせていただく。そのときこのゲーフラの全貌をはじめて目にしたのんちゃんが「あ、★★だ。」と某絵本のキャラクターに反応してくれた。それ以上の感想はなかったが、撮影した写真でも素敵な笑みを浮かべていたので、ひたすら安堵。

 

こうしてテンション高くふたたびバスに乗って東京に向かい、チェルシーサポのYさんご夫妻と久しぶりにお目にかかり楽しい夕食をいただき、そのあと私は再び心を整えてからセネガル戦を見届けるべく恵比寿のフットニックに向かい、ハリルホジッチお面をつけて楽しんだのは先日書いたとおりである。

 まったく見知らぬ場所でハリルホジッチお面をつける勇気がわいたのも、のんちゃんのゴールと、ゲーフラを手に写真に収まってくれたときのあの笑顔のおかげだったからである。サッカーをめぐる生活を全力で楽しんでいること、それは、間違いない。

Zenryoku


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2018年7月16日

無事には終わらなかったワールドカップは、それでもやはり素敵な祭典なのだと思う

 ワールドカップが終わった。決勝の後の表彰式のときに、「このロシア大会が無事に終わってよかった」という印象をそのままツイッターにも書いてしまったのだが、試合途中で乱入した観客が、実は反プーチン政権を訴え続けている、かのプッシー・ライオットのメンバーだったことを知ったあとにおいては、「これは無事に終わったことにならない」ということを認めざるを得ない。最後の最後で大きなモヤモヤが残っていった。

ある意味で 「このサッカーの祭典がどういうものの基盤のうえで成立しているかということに想像をめぐらすように」ということにも気づかせたプッシー・ライオットのその後がどうなるかについての心配も当然ながら、彼女たちの計画が実行されるに至ったうえで、それを防げなかったシステムや関係者への影響、それにかこつけてますます何らかの力がかかってくることも想像される(仮に乱入したのが表彰式の最中であれば、彼女たちはプーチンにかなり近づけたかもしれないわけで)。
 多くはあまり大きくは報じないだろうけど、「楽しかったですね」で終わりかけた大会が、多くのハードル(オフサイド・ライン)をかいくぐって裏を取られて得点を決められたような感じになった。
 彼女たちの抱えるリスクのひとつが、ロシアと関係のないフランスとクロアチアの方面からも非難を受けることでもあったし(特にピッチ内に政治を持ち込むことの悲劇を体験してきたクロアチアにとってはなおさら)、それを引き受けてでも計画を実行しないといけなかった実状について、あらためて思い至らせる。

 以下はそれをいったん脇に置いて、純粋にサッカーについて書いておく。

 今回は全試合が地上波で放送されたこともあり、たくさんの人が楽しみやすい大会だったとも思う。不思議なほどスコアレスドローの試合もほとんどなく、これはいろいろ意見が分かれるところだが、大会公式球の「キーパー泣かせな」仕様によるところも大きいのかもしれない。もちろんそれは主催者側の狙いでもあったのだろう。

 そして私がもっとも印象的だったベストゲームを選ぶとなると、準々決勝のロシア対クロアチアの激闘になる。ツイッターでもさんざん賞賛したのだがあらためて書くと、開催国として「どこまでいけるか?」という期待に満ちたスタジアムの雰囲気のなかで、不利と思われていたロシアが見事な先制点を挙げたところから、一気に試合の流れはドラマチックになっていき、クロアチアのキーパー、スバシッチ(試合中に亡くなった旧友のことをシャツに印刷してプレーを続けている)が足を負傷するあたりのアヤが最後の最後のPK戦への複線となっていくあたりや、奇跡の同点弾を決めたがPK戦でゴールを外したロシア代表のマリオ・フェルナンデスが実はブラジル出身の帰化選手で、よく調べると彼のキャリアにも紆余曲折があったり・・・など、両チームの選手たちが試合展開やあらゆる局面においてそれぞれにキャラが立っていくシーンがあちこちに含まれていて、ピッチにいる全員にスポットライトがあたる感じが普段の試合以上に多かった印象があり、まるでひとつの壮大な映画を観ているかのようだった。見終わったあとにも残る余韻にかきたてられるものがあったので、再放送でフルで見直したほどだ。

 その他のコネタでは、決勝戦直前に国際映像で流れたオープニングムービーのなかに、現地ではしゃぐサポーターをムービー用に整列させて映していて「あっ!」となった。そこにはメキシコからやってきたサポーターたちで、一人だけ奥さんに反対されてロシアに行けない仲間のために、その人の等身大パネルを持ってロシアまでバスの旅を敢行するというネタでじわじわ有名になった「等身大パネルのハビエルさん」がいたのである。ほんの一瞬のことだったが、まさか決勝の直前で出てくるとは!と、ジワッとくるものがあった。こうしてちゃんと公式的にハビエルさんネタがフォローされていたことが分かり、「よかったなぁハビエルさん!」と妙な連帯感(お面ネタをやっているからか 笑)を覚えた次第である。
 そもそもハビエルさんの等身大パネルを持ち込んだ人々も、5人組でバスでメキシコからロシアまで旅しようぜなんていう企画を実行しちゃうわけで、なんというか、みんな大いに人生をサッカーがらみで遊び倒しているわけで・・・

 こういう人々の営みを観たり知ったりすることで、あらためて言いたいことがあるとすれば、「ここまでみんなが感情的になったりバカになったりできるワールドカップという時空間は、やはり貴重なんじゃないか」ということに尽きるわけだ。

 例えばこの、初出場だったパナマ代表の初戦の国歌斉唱を中継していたときのテレビのコメンタリーの動画などを観ると、何かを成し遂げることや、それを見守って応援し続けることの強い感情的な想いなど、こういうところに普遍的な何かを見いだしたくなる。そしてプッシー・ライオットのメンバーたちもそこは同じ価値観を共有していると思っている。試合乱入の是非はともかくとしても。
 そして大会そのものがたとえ危ういものの上に成り立っているとしても、ワールドカップは、少なくともグラウンドの上においては、フットボールがもたらしてくれるものに感謝したくなる4年に一度の機会でありつづけてほしい。

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2018年7月 4日

横断幕と暮らす日々(その10):見つからない答え

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 5月最後の日曜、エルフェン狭山とのアウェイ戦は埼玉県の鴻巣市立陸上競技場で行われた。

 スタジアムに着くとオルカサポのTさんから、「オルカ鴨川FC」とスタンプが入った小さい色紙に、のんちゃんサインが入ったものをいただく。スタンプはご自身で作られたものらしい。ありがたく頂戴する。

 横断幕の掲出のとき、Iさんというサポーターが持参していた手作りのフェルト素材のものに感じ入る。チリ国旗がなかなか売っていないので・・・ということで、忠実にチリ国旗をあしらって、そして他の選手たちのニックネームもちりばめていて、これを完成させる作業量は相当なものだったと思う。

 横断幕の設置場所は広々としていたが、風でめくれないように固定させるところがなく、地面の排水溝のフタを手であけて、そこの穴を通していくなどの対処が必要となった。



 荒川恵理子の250試合出場セレモニーを経て始まったこの日の試合は惜しい展開で、2失点を追いつき、幻のゴールもあったが、最後の最後で決められてしまった。マリアが不在で、前回のようなプレッシングがうまく機能しなかった印象。

 

 そして出待ちでは、かの「仙台のファンが作った藤田のぞみ横断幕」のまさにその所有者がこの日の会場にいて、「横断幕にサインをもらう」と意気込んでいたのでできる限りサポートしようと自分も控えていた。しかし、いつまでたっても彼女は姿を見せず、「消えたのんちゃん」の行方を探していたのだが結局この日は誰も会えずじまいとなった。そのあと現場の情報では、浦和時代のチームメートだった某選手のご家族とともに早々に別行動で会場を去ったとのうわさ。ここは埼玉だから十分ありえる話だなと思った。

 

 というわけで結果的にこの日の私とのんちゃんの接点は、Tさんに試合前にいただいたサイン色紙だけとなったのである。こういう日もあるよと自分に言い聞かせながらも、何か意味のあることをして帰ろうと思い、いつもより早く東京に着くことをいいことに、ちょっとした買い物をして少しは気が晴れて、京都に帰った。

 

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 6月は仕事の都合でさすがに毎週は観にいけず、10日のカップ戦、ニッパツとの試合で、ふたたび富津臨海陸上競技場へ。前回来たときは横断幕が張り出せなかった会場だったので、私はこの再訪の機会をめざして新たにゲートフラッグを作ってきた。案の定今回も、なぜか試合前日になってオルカFCの公式サイトで「個人向け横断幕は不可」となったので、なぜこのタイミングで周知してくるのかもビミョーだなぁと思い、「だったらこんなに早く会場入りする必要もないよな」と考え、富津駅から歩いて競技場に行く前に、(この日は大雨の予報でもあったので)近所のイオンモールで時間をつぶすことにした。

 ちょうど雨が降り出してきたところで、屋根のないスタジアムでお昼ご飯を食べるぐらいなら・・・と思い、イオンモールのサイゼリアで早い昼食を取ることにした。そして私がサイゼリアにいくと必ずチェックする、「キッズメニュー」に描かれている「間違い探しクイズ」をひたすらにらみ続けるということをしていた。

 ちょうど同じタイミングで「湯郷ベル×バニーズ京都」の応援準備にいそしむ友人のM・フィオリオともLINEでやりとりをしていて、この世界最高レベルと思える難しい間違い探しクイズの画像を送ってみたりしていたのだが、彼からは「近所にいるならさっさとスタジアムに行け」というニュアンスで返信があり、「でもどうせ横断幕出せないし」と、ヘソを曲げた気分で引き続きサイゼリアで間違い探しを眺めつつダラダラしていた。するとネットで発表されるスタメン情報を逐一チェックしているフィオリオ氏からのLINEで「そんなことしているから、今日はのんちゃんベンチ外だぞ!!」とのお知らせ。

 

 

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 ・・・まぁ、シーズン中に何度でもこういうことはありえることは覚悟していた。昨シーズンの湯郷ベルでもさんざんそれは体験済みである。

 そして今日はカップ戦なので、いつもと違うメンバーで臨むことも十分ありえるから、そこも十分理解できる(そして当然ながら、唯一このとき心配だったのは、本人のコンディションに何か問題があるのかどうか、ということである)。

 

 しかしよりによって今日に関しては「富津は横断幕出せない」+「大雨(屋根なし)」+「本人ベンチ外=ゲートフラッグも出せない」、ということで、(あいかわらず最後まで答えが分からないままの)間違い探しクイズを眺めつつ、自分が今日ここにいる意味を今回ばかりは改めて沈痛な気分で考えてしまう。

 

 それでも気を取り直し、オルカのために大雨のなかをレインコートで飛び込む決意を固め、スタジアムへ。間違い探しはけっきょく最後まで分からずじまいだった。

 

 スタジアム周辺の「オルカ横町」ではいくつかのブースが立ち並び、そしてオルカのグッズ売場のテントには、この日ベンチ外の選手が店番をしていて、きわめてナチュラルに、のんちゃん、GK有馬、MF松長の豪華メンバーが並んでいた。あまり普段ありえない光景なので、しどろもどろになりつつ、一通りの今日の気持ち(ベンチ外でとっても残念です、でも仕方ないですよね・・・)を伝えつつ、(オルカの物販で前回売り切れてて買えずじまいだった)のんちゃんのポストカード(『全力で楽しむ!』と本人の筆跡がプリントされている)を購入させていただき、そしてその場でご本人にサインをいただいた。

 

 というわけで試合前にすでに自分としては目的を果たした気分になり、あとは「全力で楽しむ!」とのご神託を自分に言い聞かせ、雨の中ひたすらオルカを応援することに専心した。

 個人的にはこの日オルカ加入後、初の試合出場となったDFの吉田紫穂選手の奮闘ぶりに注目した。大阪体育大学出身で、同校の女子サッカー部監督は遠い昔にちょっとした縁のあった方なので、いつか吉田選手にもそのことを話してみようと思っている。

 しかしなかなかに難しい試合で、0ー1の敗戦。私が観に行けなかった先週のリーグ戦では勝てていただけに、なんだか自分も申し訳ない気がしてくる。

 ちなみにこの試合で、コールリーダーのEさんが、とつぜん「シャララーラーララーラー」と聴き慣れない歌を歌い出し、かねてからやりたかったという新しいチャントを試合中に披露した。その場で何回か歌っているうちに、とても良い感じに思えてきて、お気に入りのチャントになった。もともとなでしこジャパンの代表のときに歌われていたものを拝借しているとのことで、「攻めろオルカ鴨川、誇りを胸に」という歌詞である。それがずっと頭に残ったまま、帰路についた。

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▲このなかに10個も間違いががあるなんて。

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«決勝点のことをずっとグズグズと考えている。