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2012年6月11日

こんちくしょうEUROやっぱりおもしれぇじゃねえか

先週末からEURO2012が開幕した。実はいままでEUROというのは(WOWOWに加入していなかったというのもあり)あまりしっかり観ていた大会ではなく、今回はもうちょっと気合いを入れてチェックしようと思い、この一ヶ月だけWOWOWを契約した。
ワールドカップのときと同様、時差との闘いになるわけで、この6月をどのように乗り切るのか、真剣に考えながら過ごしている。
と はいえ、日常生活はいろいろなスケジュールで進行していくわけで、2日目のドイツ×ポルトガルのときは遅い帰宅になってしまったので、根性で起き続けてい たつもりなのだが、気がついたら前半が終わっているという状態で、ほとんど寝て過ごしていた。「これでは意味がないよな」とあきらめて床につく。どんなに サッカー好きでも睡眠には勝てないことを改めて痛感。
最 近になって(年を取った影響か)、わりと寝入りがスムーズにできるようになった。こういう時期に、寝られるときに少しでも睡眠を確保するのは大事である。 自分なりにつかんだコツとして「舌の力を抜き、アゴの筋肉をゆるませ、口全体の力を抜くように意識する」というのがある。リラックスして布団に入っている つもりでも、実はけっこう口の周辺に力が入っていることが多いのであった。なのでこのコツを心がけるようにすると、わりとあっさりと眠りにつくことができ るようになってきた。「すみやかな寝入りの技術を向上させる」というのは、サッカーファンにとって必要なスキルかもしれない。
そんなこんなで昨晩は仮眠をとったうえでのグループC組のビッグマッチ「スペイン×イタリア」。
いやー、最近はCL人気が高くて「代表よりクラブチームのほうが面白いよな的論調」にうなずきつつあったが、誰だ代表戦が面白くないなんて言ったヤツは!! オレもか!? っていうぐらい、楽しめた。
というかユーロという大会が面白いのだ、ということをあらためて知った。
イ タリアはバロテッリとカッサーノという、同国代表史上最高ではないかという「悪童2トップ」が、キャラに似合わず献身的な動きでおたがいの持ち味を出そう としていた雰囲気が楽しい。心臓疾患から立ち直ったカッサーノは本当によかったけど、まさかここまでのプレーレベルを取り戻せるというのは誰も予想できな かったんじゃないかと。
正 直、最近セリエAも自分のスカパーの契約の都合でほとんど観ていないし、今でも相変わらずの八百長スキャンダルなんかで揺れてしまう国柄のせいもあってイ タリアについてはぜんぜん期待していなかったが、今回の代表は伝統の堅い守備に加えて「つなぐサッカー」を志向しているらしく、実際にスペインとあのよう なスピーディーかつテクニカルな展開のサッカーを見せてくれると、もんのすごく好感度があがったではないか。ガツッと守備して、ボールを奪ったらタテに早 く、奪われたら猛然と守備に戻る。さすがに後半は足が止まる戦術だったけれども、イタリア代表がやるサッカーをみて「面白い」なんて感情がわきおこったの は、正直初めてではないかと思える(笑)。
な にせ相手は世界王者スペインだ。ひたすらボールをつなぎまくってくるが、そこをギリギリのところで粘って、ピルロがボールを持ったら素早くカウンターが発 動していく。右サイドのマッジョとか前半は目立っていた。デ・ロッシがセンターバックをやって、これがまたカンナバーロを彷彿とさせるカバーリングの鬼と 化してガンガンボールを奪う。
後 半途中に投入されたディ・ナターレ、ファーストチャンスでピルロのスルーを相手DFラインぎりぎりからすり抜けうまくトラップしてゴールに流し込んだり、 その後もう一回絶好機がきて、うまく飛び込んで合わせた超惜しいボレーシュートがあったりして「おまえは佐藤寿人か!」って言いたくなる一瞬のきらめきが 光る円熟味あふれるプレーぶりが印象的。いやはや今大会のイタリア、応援したくなるチームかも。
ス ペインはセスクを実質トップにおいた「ゼロ・フォワード」フォーメーション。そのまわりにシャビとイニエスタとダビド・シルバがポジションを流動的に動か しながらボールを回す。トーレスもマタもベンチスタートという、チェルシーファンにとってはその時点で笑えるネタを提供してくれるスペイン代表の層の厚 さ。いやはや久しぶりに観ると、やはりこの人たちの技術の高さには敬服。そして多くの日本人は、このフォーメーションをみてセスク役に本田を、そしてシャ ビを憲剛、イニエスタを香川、シルバを岡崎(プレースタイル違うけど)、アロンソを遠藤になぞらえて考えてみたりしたはずである。実はいまの日本代表もこ ういうサッカーを目指してもいいんじゃないか、と。
セスクの得点を生んだシルバの魔法使いのようなスルーパスには、深夜にもかかわらず大声出たなぁ。テレビで観てても足の振りに気付かなかった。実際に目の前で観たイタリア人たちも見えなかったんじゃないか。
そ れと途中出場で期待通りの動きをみせた右サイドのヘスス・ナバスがやはりすごかった。精神的な問題でセビージャ以外の場所でのプレイを望まないという、そ の特異な存在感もさることながら、あの大舞台でも確実にドリブルでイタリアDFをぶち抜いてくるあたり、今後も目が離せない。
で、 この試合はカシージャスとブッフォンという、現時点での世界3大ゴールキーパーのうちの2人(あとはツェフな)がそろい踏みという歴史的一戦でもあるわけ で、彼らの存在感がまた極上のスパイスだったわけだ。もう、まとっているオーラの質とか何もかもが確実に一味違うんだよな、この2人は。案の定、ため息が でるようなセーブを魅せてくれていた。やはり高いレベルのキーパーがいると試合はキリッと締まる。それがたまたま昨晩は、世界1,2を争う「キリッと感」 が同時に味わえた。ブッフォンは自分と同い年なんでわりと応援している。この2人のキーパーが再びこういう真剣勝負の試合で巡りめぐって相対するのかどう かという可能性を思うと、昨日の試合をライヴで楽しめたのは本当によかったと心から思う。
そして何よりユーロという大会の面白さである。
それはズバリ、「日本代表の心配をしなくていい」ということである。
つ まり、どの国がグループステージを首位で通過して、どこが2位になって、このまま日本が決勝トーナメントに進んだらどこと対戦することになるのか、そして こんなナショナルチームたちを相手に日本代表はどういうプレーをしなくてはならないのかなどなど、そういうことを一切考えずに観戦できることが、なんだか 新鮮なのである。だから対戦する両国のぶつかり合いを、ただ純粋にひたすら堪能させてもらえる。で、いきなり開幕したとたんにグループステージでは「ドイ ツ×ポルトガル」だの「スペイン×イタリア」なんていう最高級フルコース連発ですよ。や、当たり前すぎてわざわざそこに驚嘆する必要はないのだろうけど、 でもつくづくこのことを実感したわけですよ昨日の深夜に。そして今夜もこのあとは(仮眠を経て)「フランス×イングランド」だ。クラクラしてくる。

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