イタリア×イングランド、そうそうこういう試合が観たかったんだよ
まさに死闘。PK戦の末イタリア勝利。
地上波でも生中継があったので、多くのサッカー少年少女たちも観ていたかもしれない。そして「得点が決まらなくてつまらない」と思う向きもあったかもしれない。しかし、あのブッフォンのどこまでも落ち着いた判断力だったり、誰よりもたくさん走りつつ、常にボール回しの中心に位置して的確にボールを散らすピルロのブレない技術力や運動量だったり、足がつりまくって相当辛かったにも関わらず、キャプテンとしてPK戦の最初のキッカーに指名されて堂々と受けて立ってきっちり役割を果たすスティーブン・ジェラードの根性や気品やプライドだったり、交代選手が入ることで試合の流れがフッと変化していく様がうかがえるベンチワークの妙味だったり、サッカーに関する美味しい部分が凝縮されたような試合だったのではないかと思う。いやはや今大会はイタリア代表の試合に驚かされまくりである。イングランドのほうがよっぽどかつてのイタリアのような強固な守備で向かっていくしかなかったほどに(東本貢司さんがコラムに書いていたのは、最近のイングランド代表が“チェルシー化”しているのでは、という説)。
やはり人間は不器用な生き物で、そういう生き物が手をつかわずにボールを蹴り合うと、こういうことになるんだということを改めて感じた。不器用ゆえに、勝ちたい気持ちで勝負していって、体と気持ちがぶつかりあって、なんだかよくわからない流れの応酬のなかで、うまくいくことや失敗することが重なり合って、それでもボールの動きは重力に従って展開していき、その行方に一喜一憂して興奮したりする。そうやって微妙なバランスのなかで緊迫した時間が過ぎていき、何も得点が決まらないまま終わっていった。
私はPK戦は好きではないが、延長戦の終わりを告げるホイッスルが鳴ったあとの、あの両チームのゴールキーパーが一寸先の運命を祈り合うような、そういう邂逅を見せるあのシーンにはいつだって魅了されるものがある。
ところで今日、ふと仕事場に、ある学生さんがやってきて、「また社会人の人たちとサッカーはじめました」と報告にきてくれた。彼は長年高いレベルでプレーを続けてきたらしいのだが、それにも関わらず、なぜか最近になってサッカーを辞めたというので、「もったいない!」と叱咤(?)しただけに、わざわざ報告にきてくれたことも含めて、なんだか嬉しくなった(先日のフットサル大会でも彼は相手チームにいて、さすがと思わせる動きを見せていた。もちろんこちらは彼とマッチアップどころか前にボールを運ぶこと自体がままならない有様であったが)。
で、その学生さんが去りぎわに、
「EUROはイタリアが優勝すると思います!」と言ったので、
「あ、オレもオレも!」と答えた。
そう言い切ってしまいたくなるほどに、今朝の試合を真剣にじっくり観ていたことが、またひとつこの大会の想い出となっていくのである。
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