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2012年6月17日

ピルロのフリーキックとサンフレッチェ広島となでしこU-20

EURO、今年はいろんな人から「観ていますか」って声をかけられる。
4年前とはサッカーをめぐる何かが違ってきているのだろうか。
そして、なんだかんだ、観ようとはしているが、けっこう寝てしまう・・・
そして、観ていない試合に限って、面白そうなことになっていたりする・・・
イングランド×スウェーデンの3-2逆転勝利とか。ごめんなイングランド、さすがにこの日は寝てたわ。

そんななか、前半しか観なかったのだが、イタリア×クロアチア、ピルロのフリーキック。先週はこれに尽きる。

フリーキックを狙い通りのコースに蹴ることはもちろんのこと、
ピルロは、目の前にならぶ相手の壁が、「どのぐらいの高さまでジャンプするか」を予測し、かつ、2人並んだ壁の、「顔と顔のあいだの空間の幅」がどれぐらいになるか、ということも予測しているわけだ。この2つの、まさに「縦軸と横軸」の空間認識力が伴って、あのフリーキックが成功したのである。

つまり、あのフリーキックを、「壁に立った側の立場」から想像してみてほしい。ピタッと並ぶ隣の人間と、タイミングを合わせてジャンプする→飛んだ瞬間、隣の人の顔と自分の顔の間にボールが抜けていく→振り返るとゴールネットが揺れている、ということだ。ピルロすげぇよ、と。

キーパーもあのコースに飛ばされたら、ギリギリ取れない。
つまりだ、その起源において、サッカーのゴールの大きさや、ボールの大きさを決めた人たちは、本当にすごいバランスを採用したな、ということすら思い至るフリーキックだった。「二人の人間が並んで、顔と顔のあいだの空間に収まる程度の大きさが、サッカーボールの大きさとして規定されていることの奇跡みたいなもの」を、ピルロのキックがしみじみと教えてくれたわけである。私はあのゴールをみたあと、そんなことを考えていた。

今朝は再放送でチェコとギリシャの勝ち抜け劇をチェック。ロシアまさかの敗退。じつは「死の組」ってここのことだったんじゃないかといえる。初戦を終わった時点ではまさかこの2チームが勝ち抜けるとは思わなかった。わからんもんやね。

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さてそんななか、日本代表のW杯予選3連戦のあと、ふたたびJリーグ再開。
この6月は、セレッソの清武がポイントである。来月にはドイツへ旅立っていく。
なので、清武みたさにC大阪×広島、雨のキンチョウスタジアム・・・だが結果的に、清武とキム・ボギョンの競演以上に、サンフレッチェの見事なサッカーを堪能させてもらった。1-4と広島が圧倒。
いやこれはマジで想像以上に面白かったですよサンフレッチェ。日本代表で盛り上がってサッカー生観戦に興味がわいた方々、ぜひJリーグの広島戦に足を運んでくださいと言いたくなる、流れるような攻撃的サッカーを広島は展開している。自分なりに思ったのは、選手同士の距離感がどこの局面でも適切なんだろうな、ということだ。日頃の良質なトレーニングが積み重なっている印象。だから3バックで守っていても、あまり両サイドの穴をつかれることなく、むしろガンガン前に早くボールをつないで、佐藤寿人・高萩・石原の3人がひかえる前線で効果的なサイド攻撃を連発させて相手を圧倒していく感じが昨日はすごかった。「攻撃は最大の防御」というのを文字通り実践できている連動性がすごい。面白いぐらいに左右のサイドからチャンスを作りまくるので、まるでサッカーが12人や13人で行われているかのような「層の厚さ」を感じた。これはたしかに首位争いをするチームだわ、と納得。

2月の宮崎キャンプでバッタリ会った森保監督、あの自信に満ちた握手は、このことだったのですね! と言いたくなった。前監督の残した良さを引き継ぎ、さらに進化させていく手腕に来シーズンのACL出場権獲得にも期待大。ひさしぶりに「来てよかった」と思えるJリーグの試合を観た気分。や、セレッソも応援しているのだが、この日はもう終始広島のサイド攻撃に惚れ惚れしまくり。

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あと、佐藤寿人のサポーターからの愛されっぷりが、とても清々しい。チームの団結力の象徴みたいな雰囲気。

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で、その翌日・・・またしても長居に。

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なでしこU-20×アメリカU-20の親善試合。
メインスタンドが無料開放なので、お客さんもそれなりに多かった。
晴れて良かった。
そしてM・フィオリオ氏と現地合流。この方は最近、いろんな事情が重なって湯郷Belleのサポーターとなって私をおおいに驚かせた。これで日本女子サッカー界にひとり、ファナティックなサポーターが増えた(笑)。そしてこの日フル出場した湯郷のFW横山の動きにうなる。

ちなみに私のお目当てだった浦和の藤田のぞみは出場機会がなくて非常にかなり残念。チームのためにドリンクを運ぶ係を率先してやっていた姿を見守る。つくづく、ああいう雰囲気の女子には弱い。完全にミーハー目線。

試合は日本が1-0で逃げ切るという展開。アメリカ相手に遜色なくハイボールも競って真っ向勝負を挑んでいた。浦和の猶本が攻守にわたって存在感を放っていた。彼女は端正なルックスも含めこれからのなでしこをひっぱるスターの一人になっていくのだろう(だからなおさら同僚のフジタにもがんばってほしい)。

フィオリオ氏とは、なでしこW杯優勝後を経てから女子サッカーに注目することの後ろめたさ、という話になった。お互い、ある点においてそれは共通していて、私はさらにいえば、Jリーグそのものにたいする後ろめたさをも昨シーズンから抱えていた。このことについては、今後もサッカーを見続けながら考えていくテーマになるんだろうな、と思う。

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試合後は時間があったので(ていうか、なぜ女子サッカーは総じてあんな中途半端な時間に試合をするのだろうか)長居の近所の商店街を歩く。かなりいい味でてる。

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チームから届いたファックスをそのまま商店街の掲示板に貼ってみたり。いい感じのユルさ。

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コメント

日曜日はお疲れ様でした。
ファナティックではありますが、ベルとベルの選手に対してだけです。
今日の朝のニュースで流れていた「なでしこ」の海外合宿情報で、姿は映らずとも、聞き覚えのある声が聞こえて、福元がいるとわかり、仕事が始まる月曜の朝から、ベルの応援モードで仕事に出かけることになりました。
今日、仕事から帰ってきて、テレビをつけて、中盤しか映っていないのに、静かな試合展開に、今日のGKは海堀かとわかってしまい、少し気が抜けてしまいました。
サッカーをただ観るものだけでなく、聴くものとして認識してしまうのも、ベルサポーターの特長といえることを、日曜日にも話しましたが、今日、改めて感じました。

投稿: M.フィオリオ | 2012年6月18日 21:10

M.フィオリオ>すごい、なんか福元を語るエッセイとして秀逸な展開の文章ですね。日本一のコーチングGK。

投稿: HOWE | 2012年6月18日 22:04

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