グラスゴーの大金星(そして、歴史は繰り返されていたように思えたことについて)
アトランタ五輪での「マイアミの奇跡」のことを多くのファンは思ったはずだ。あれは確かに「奇跡」だった。山ほどシュートを浴びたが、川口に神が降りてことごとくシュートを弾き返し、そしてほぼ唯一といっていいチャンスを決めて逃げ切った。
でも今回は「奇跡感」はない。シュートチャンスは日本のほうが上で(しかも想像を超えるほどに外しまくり)、逆にスペインはこれといったシュートを放つことが少なかった。勝つべくして勝った、そう思える。
(もちろん、10人のスペインに押し込まれていたことは確かだが)
FW永井がJリーグでこの2ヶ月ぐらい絶好調だったことをスペインのスタッフ陣は知らなかったのだろう。じゃなければあんなにルーズな守備はしなかったと思う。スペインのディフェンス陣は永井にさんざん走られまくっていた。序盤の時点でもうちょっとマシな修正ができたはずだ。でもそれができなかった。やはりシーズンオフ明けの身体は重そうに見えた。そしてこれは前線からの連動したプレスを続けるという「勤勉な日本人サッカー」がうまくハマった好例ともいえる。
永井の躍動はJリーグファンにとっては痛快だったと思う。「いつものこと」が繰り広げられていたのである。名古屋グランパスと闘うときはいつだってあの俊足が脅威になっていた。この日のスタメンは、吉田を除いたらすべて1年前は「Jリーガー」だった。そんな「Jリーグ」が国際舞台ではじめてスペインに勝った(国際大会で前回スペインとガチで勝負をしたのは、『黄金世代』の1999年ワールドユース決勝で負けたあの試合だったことを、さっき播戸竜二のブログを読んで思いだした)。この意味は大きい。もっと代表だけじゃなく、Jリーグにも興味を持って観てみようかな、っていう人が増えて欲しいなぁと。結局はそこに尽きる。
そしてそんな永井が今、グランパスで薫陶を受けているのがストイコビッチ監督なのである。かつてワールドカップでスペインを魔法のように翻弄した“ピクシー”である(そして監督はオシムであった)。強引に考えてみると、「歴史は繰り返していた」のである。そのことをぼんやり考えながら観ていたことも含めて、忘れがたいベストマッチとなった。
90年W杯ユーゴスラビア×スペインでのストイコビッチのプレーだけを集めた動画。どのプレーにおいてもただよう芸術性と意外性。
ちなみに、某サイトで紹介されていた、日本×スペイン戦についての各国メディアの反応のなかで、
イタリア:「日本のFWはシュートを打たないほうがいい。ドリブルのまま枠に入れ」
が秀逸。
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