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2013年4月 6日

イングランドのスタジアムでブックメーカーにチャレンジしたときの話

一昨年の年末年始のイングランド旅行でプレミアリーグを3試合ほど観戦してきたわけだが、出発の前に島田佳代子さんの著書『I LOVE 英国フットボール』を読んだことがきっかけで、以前からずっと気になってはいたものの、なかなか立ち入ることのできない領域であった「ブックメーカー」での賭け事にトライしたのである。今回はそのときの話を。

ウォルバーハンプトンへ出向き、ウルブス×チェルシーでの試合前、モリニュー・スタジアムの通路の奥には「sportingbet」のブックメーカー(クラブのスポンサーでもある)の窓口が入っていて、その回りには投票用紙を手にしたお客さんが壁際の机などに向かって予想を書いていた。

A4サイズぐらいの投票用紙と、クリップ型の簡易なエンピツはそのへんで大量に配布されているので、迷うことはないのだが、私はそのとき、窓口の近くで用紙を持ったまま、「これが投票用紙か・・・」とぼんやり眺めながら突っ立っていた。本当に賭けるかどうか迷っていたのである。

すると、投票をすべく窓口にやってきたある男が、私の目の前にクリップ型のエンピツをスッと差し出してきたのである。

ちょっとビックリした。

私は思わずエンピツを受け取る。男はそのまま無言で窓口に向かっていった。
まるで「さぁ、オマエも賭けろ!」と言わんばかりのシーン。

というわけで、そのちょっとした一瞬の出来事によって、私の決意も固まり、見よう見まねでブックメーカーにトライすることとなったのであった。

A4サイズの投票用紙には、何やらいろいろごちゃごちゃ書いてあって、ちょっと見づらいのだが、これはいろいろな形式の賭けが可能だからである。

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いちばんシンプルなのは「ホームチームが勝つか負けるか引き分けるか」であろう。

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この日の試合の場合、ホームのウルブズが勝つオッズが11/2、引き分けが12/5、チェルシーが勝つのが1/2となっている。

ちなみにこのオッズの表示形式は競馬と違って見慣れないのだが、これは「右側の数字のお金を賭けて当たったら、左側の数字のお金と右側の数字のお金が得られる」ということだ。

つまりウルブスが勝つ場合のオッズは、13割る2で6.5倍、引き分けは17割る5で3.4倍、負けは3割る2で1.5倍という意味だ。

他にもいろいろな賭け方があって、上図の写真の下のほうはスコア予想の欄である。画面が切れているので分かりにくいが、ウルブスが勝つ場合、1-0のスコアだと13倍、3-0のスコアで勝つと101倍になる。STAKEが掛け金なので、自分の賭けたいお金をそこに記入する。ちなみに画面右端の「SCORE」と「ODDS」が空欄の箇所は、「ここに記載されていないスコア予想をしたい場合」に自分で書けるようになっている(はず)。

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(画像をクリックするとちょっと大きく表示されます)
上図は、その試合のファーストゴール、あるいは最後のゴール、そして「ANYTIME」なので、試合中のどの時間帯でもいいので、とにかくゴールを決める選手をそれぞれ予想する欄である。

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で、この試合で私は、チェルシーのマタがファーストゴールを決めるという予想に1ポンドを賭けてみた。マタの「FIRST」の欄に数字の1を記入。当たれば6.5倍になる。「ANYTIME」だと当然倍率は低くなる。

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上図は、ハーフタイムを経て「前半どちらがリードして、後半はどちらがリードして試合を終えるか」というプロセスそのものを賭けることのできる欄である。細かい。でもたしかに後半に入ってからの大逆転勝利なんていうのは、なかなか賭けがいのある展開ではある。

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そしてこれは、「ファーストゴールが決まる時間帯予想」の欄である。さらに細かい!
そして私はここに「今日はゴールが決まらない」のところに1ポンドを賭けていることが分かる。つまり旅行者の私としては、せっかく試合を観に来たのにスコアレスドローだと、ちょっと残念だったりするので、その場合にいくらかキャッシュバックできるような「保険」としてこの予想をしてみたのである。
ちなみにこの場合のオッズは9/1であるが、他の予想欄のところでも、スコアレスドローの場合は同じ9/1のオッズになっている。

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そして、他会場の試合も、必要に応じて賭けることができるようだ。

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そんなわけで、自分の賭けたい金額を記載して、最終的に合計金額を自分で記入して、窓口に持って行くと、「控え用紙」に、受付完了の旨が印字されたものが返却される。

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このように、合計で2ポンド(ホントにお試し程度だが・・・)を賭けたことが印字されて、この控え用紙が戻される(なので今回の画像はモノクロの用紙になっている。元の用紙はカラフルだ)

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で、この試合ではマタがゴールを最初に決めることをひたすら祈りつつ、結果的に予想は外れたが、その後ロンドンに戻って観戦したスパーズ×WBAの試合で、1-0のスコア予想が当たり、試合直後に控え用紙を持って窓口にいったら7ポンドをゲットした。

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▲ありがとう、変なトリ。

試合そのものを楽しむと同時に、賭けの要素が入ることで試合動向がさらにスリリングに感じられるので、イングランドサッカー観戦の際は、気軽にブックメーカーを楽しむのもいいかもしれない。

ちなみにイギリスの街中にはいたるところにブックメーカー各社のお店があって、この旅ではじめてそういった店にも入ってみたのだが、イギリスではどうやら平日でも一日中どこかでドッグレースやら競馬やら、ありとあらゆるものが行われていて、それについて常に賭けることが可能になっている。で、店内に設置されたいくつものテレビ画面を見ながら、予想を立てたりして遊ぶことができる。もちろん店内には、次の週末に行われるサッカーの試合にむけた投票用紙もたくさん置かれている。

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ともあれ、店内に入って、別に賭けに参加しなくても、「単に店内でドッグレース中継を観ながらボーッとできる」という場所なので、ひるがえってこれは「人との待ち合わせや、時間つぶしに最適な場所」であることが今回分かった。特にこのときの旅は真冬の寒い時期で、ときおり友人たちと待ち合わせをする機会もあったのだが、近所にあるブックメーカーの店を見つけてそこに入って、寒さをしのがせてもらった。旅行者としてはそういう使い方ができる場所があるのはありがたいのである。

というわけで、今後イギリスを旅するときには、ブックメーカーで賭ける楽しみが増えたのである。

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コメント

今度やってみよ。

■Bet繋がりの残念なNEWS
http://web.gekisaka.jp/391973_117037_fl

投稿: toyotti | 2013年4月13日 13:46

toyotti>そうなんよー、カンジョ残念です! 競艇学校ってそのあたりは本当にハードだそうで、厳しい世界ですねぇ。

投稿: N.Tateishi | 2013年4月15日 00:11

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