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2014年2月22日

「好きなこと」を仕事にし続ける情熱を絶やさないコツ:ライアン・ギグスに学ぶ

Number847

『Number』の最新号(No.847)。この2人が並ぶ表紙だと私は買うしかない。せっかくだったらモウ監督もスーツでキメてほしかったが(だってこれだといかにも『休日のパパ的風情』が、最近の彼はとくに強まる)。

「レジェンドが語る欧州フットボール論」って、もはやそれだけだと陳腐な企画のようにも思えるけど、それはそれで予想以上に楽しめた。

そのなかでもライアン・ギグスのインタビューがよかった。やはり現役を長く続けるうえでは、日々の自己管理が大事なわけだが、特に興味深かったのは「メンタルの管理」についての話。「成功に酔わず、試合で手応えを感じても、『で、次の対戦相手は?』とすぐに気持ちを切り替える」という話で、

「・・・その意味では、あんまりサッカーを楽しめていないのかもしれない。だから僕は、次に対戦するチームやマッチアップする選手のビデオを見終わった後、あえてまったく関係のない試合を眺めたりもするんだ。仕事のことを忘れて、純粋に一人のファンとしてサッカーを愛する気持ちを保っていくためにね」

とのこと。これはきっと、ギグスがその長いキャリアを築き選手として成熟していくうえで、そのプロセスのなかで編み出した自分なりの対処方法なのだと思う。ハングリー精神を失わないことと同じぐらい、「サッカーを純粋に楽しみ続ける気持ち」という、少年のような精神性も失わないように努めていく。その両輪があってこその、日々のフットボーラーとしての生活の積み重ねがあったということだ。こういう「対処法」を意識的にやりつづけるからこそ、ライアン・ギグスという選手は40歳になってもプレミアリーグのトップレベルでプレーを続けられている。「好きなことを仕事にすることの苦しみ」への対処法としてもヒントになりそうな話だ。

そのほかの記事では、いまベンフィカのディレクターを務めるルイ・コスタのインタビューも楽しかった。「背番号10番について語ってほしい」という依頼を持ち込んだら、忙しいにも関わらずやってきて語りまくって、あげくインタビュー後もわざわざ記者さんの携帯電話に「あと3人、言い忘れた背番号10がいる!」って電話をかける、そのルイ・コスタの人柄にグッときた。「相手が率先して語りたくなるテーマを用意する」っていうのは、ジャーナリズムの世界だけじゃなく、いろいろな場面でポイントになってくると思うわけで、ルイ・コスタも「10番」を語りたくてしょうがなかったんだなぁ、と微笑ましい気分になった。

そしてページをまたいで掲載されている夕暮れのリスボンの街並みの美しさも印象的。『Number』はスポーツ雑誌における『ナショナル・ジオグラフィック』だとずっと思っているのだが、こういう見事な風景写真が添えられると、海外サッカー観戦への旅情がかきたてられる。

そのあとに続く記事「フィリッポ・インザーギを訪ねて。」も秀逸。ルイ・コスタに「10番」を語ってもらうなら、「9番」を語るに相応しいのがインザーギなのは当然であったが、約束されたはずのインタビューが(ミランの新監督お家騒動のゴタゴタにより)勝手にドタキャンとなり、「実現しなかったインタビュー企画そのものをネタとして、無理矢理インザーギを語ってみる」という、このスタンスがいい。なんかこう、ドタバタのなかでも一瞬光る内容を見せるあたり、たった一発のチャンスをワンタッチで決めてギャーギャー喜びを爆発させるインザーギのキャラクターそのものっぽくて、ひるがえって記事として成立しているのがすごい。いつかインザーギだけで本を作ってほしい気がする。マジで。

Miniinzaghi

「ギャー!!」

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