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2014年3月10日

「浦和レッズ差別的横断幕騒動」で気になった3つのこと

 先日の浦和レッズのホーム開幕戦で入場ゲートに差別的横断幕が掲げられたままだった問題について。

 その後の続報がまだ自分ではフォローできていないのだが、この時点で書いておきたいことがあるとすれば、まずはこの騒動が土曜にTwitterなどで広まった段階で、浦和レッズのサポーターがこの横断幕を掲げたことが確定的のような意見が見られたことが、ちょっと危ないなぁと思ったのである。一部のジャーナリストのツイートにもそういう「前提」が読めたりするのであるが、ちょっと待ってよ~と言いたい。

こういう横断幕を掲げる方法で、浦和のサポでもなんでもない人が、テロ行為のようにクラブに損害を与えることだって可能なわけだ(今回の騒動が示した教訓があるとすれば、そういう差別主義者によるアクションが日本のサッカー場だけじゃなくて企業や大学とか、とにかく人がたくさん集まるところでいつでも起こりえる可能性があることを周知させたことにある)。

なので、「どういう属性の人がこの行為をしたか」が確定するまでは、浦和レッズのサポーターは決して非難されるべきではないし、しちゃダメだ、と。

ふたつめ。

現時点で浦和レッズの公式HPが出している最新情報は「サガン鳥栖戦での出来事について(第2報)」なのだが、この内容を読むと・・・

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17時ごろ、209ゲートのコンコース側に『JAPANESE ONLY』という横断幕が掲げられているとの報告が、警備会社スタッフとソーシャルメディア上の情報を取得したクラブスタッフから入りました。17時9分に速やかに撤去するよう指示しました。通常、トラブル防止のため横断幕の撤去は、当事者との合意の上、取り除く手順となっておりますが、試合中であったため、最終的には18時4分に強制的に撤去いたしました。
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とある。まず言いたいのは・・・ちょっと話がずれるが、日本語をもっと丁寧に書いて欲しいことだ・・・サッカーでパスを出すのと同じで、文章を書くというのも「相手を思いやったパス出し」のように、読み手に届くパスワークを目指してくれと言いたい。

で、
「17時9分に速やかに撤去するよう指示しました」って、誰が誰に指示したの?

んで、それなのに、速やかに撤去しようと思ったけど、従来のルールでは「当事者と合意の上、撤去する手順」なもんだから、「試合中であったため」、結局試合が終わった18時まで撤去しないで横断幕が掲げられていた、というわけである。

ここで分かるのは、「試合が始まってしまえば、関係者を呼び出して横断幕の撤去について話し合うことができない」という認識でいたことだ。そんなに浦和のゴール裏って融通がきかない集団、と見なされているのだろうか?

だって、場合によってはクラブの勝ち点が剥奪されるかもしれないっていう事態なのに。

そういう可能性を理解する「サポーター」だったら、応援をやめて、状況の対処に協力する姿勢を示すはずなのだ。目の前の勝ち点が剥奪されるかもしれないのに、応援続けてもしょうがない。

どうして「試合がはじまったら」、横断幕のひとつも取り外せない事態になるのか。
(ましてや今回は、コンコースからスタンドに至る通路にあったものなのに)

逆にいえば、この運用でいくと、「試合開始と同時に、問題発言のある横断幕を掲げてしまえば、試合終了まで人目に触れられる」っていう戦略もアリになるのだった。

まぁ、この文書でも最後のほうに「今後については、明らかに差別的で不適切であるとクラブが判断した場合、横断幕などの撤去を行います。」とある。でもここからがややこしいのだ。

3つめのポイント。
「スタジアムを『言葉狩り』の場にしてほしくない」。

もちろん私も差別主義的な横断幕は掲示されるべきではないと考えるが、しかしサッカースタジアムにおける「過激な言動、ギリギリな表現」といった要素が、少しずつ「自主規制」によって方向性がゆがめられていくのであれば、それこそ世界に恥ずべき事態なんじゃないかと思ってしまうわけだ。

そのことに関連して触れると、最近のニュースでFIFAがワールドカップ本大会を前にして、「選手はいかなるメッセージもアンダーシャツに書いてはいけない」という通達を出したようなのだが、この動きについてもっとサッカージャーナリストは問題視すべきじゃないのかと思っている。まるで選手は黙ってプレーしろといわんばかりで、それならピッチサイドに置いてある集音マイクも取り外せよ、って言いたくなる。

わえわれ客席のファンもピッチ上の選手も、一人の人間として、いかなる思想信条を持っていても、言論の自由、表現の自由ってやつはギリギリ確保してほしいのである。そのうえで言動にはリスクと責任を伴っていることを意識しつつ、小さい動きであってもサッカーというワールドワイドな文化においては、途方もなく遠いところまでその影響を及ぼすかもしれないという想像力を抱えながら、あらゆる思想や表現をもってサッカーの試合を楽しく熱く、見守っていきたいのである。大げさかもしれないけど、それぐらいのプライドを持ってサッカースタジアムに向かうことは、あながち誇大妄想的ではないはずだ。

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