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2014年12月21日

FOOTBALL ACTIVIST的2014年JリーグMVPはこの人だ。

2014年のJリーグが終わったわけだが、来シーズンから予定されている2ステージ制への「異議」を申し立て続けているかのような面白さが最後まで続いて本当によかったと思う。

当初のつまずきからジワジワと順位をあげていったガンバが、終盤のクライマックスで浦和との大決戦を制し、そこから最後の最後で「降格が決まったけどホーム初勝利」をひたすら目指して死ぬ気で走りまくってきた徳島に苦戦しつづけ、ギリギリのところでガンバがふんばった最終戦のあの緊張感あふれる内容まで、要するに「とっても分かりやすく、熱い展開」だったのだ。それを思うと、本当に2ステージ制で同じぐらい盛り上がるのかどうか・・・。

そんななか、今年のJリーグを個人的に盛り上げてくれた選手について書きたい。

自分としては、この人にMVPをあげたい気分なのである。


Morita

ヴァンフォーレ甲府、盛田剛平38歳。

彼が駒澤大学から浦和レッズに入団したとき、たまたまサッカー雑誌で「大学ナンバーワンストライカーが加入!」「利き足は頭!」とかいう触れ込みで、かなりの期待を込めて語られているのを読んで以来、私のなかでなぜかずっとインプットされ続けていた選手であった。

しかしなかなか芽が出ず、そしてチームを転々とするなかで、いつの間にかフォワードではなくセンターバックに転向し、しぶとくJリーグの世界で生き残っていた。プロを続けるだけでも大変な世界なわけで、そういう角度から最近はますます彼の動向が気になっていた。
(それと同時に、むしろ彼は本業の成績よりも『ラーメン大好きサッカー選手』としてのキャラのほうが徐々に有名になっていくわけだが)

しかし昨シーズンの終わり、ついにヴァンフォーレ甲府から契約更改されず、「あぁ、ついに引退か・・・」と思った。

が、なぜかその直後、甲府から再契約された。こういう動きはちょっと珍しい気がした。
そしてさらに気になることに、いつの間にか盛田はシーズンが始まるや、フォワードとして試合に出場していたのである。城福監督の「賭け」であった。

なかなか甲府の試合を映像で観る機会は少なかったのだが、毎試合のレポートをエルゴラッソ紙でチェックするに、「どうやら盛田は再コンバートされたフォワードで、かなり良い仕事をし続けている」ということが分かった。

そして結果的に、彼は16年間のプロ生活でキャリアハイとなる、リーグ戦5得点をマークした(チームもJ1リーグ最高順位の13位を記録)。

「こんな痛快なことはない」と、彼自身も今年インタビューで答えていた。

本当に、そうだと思った。

痛快すぎる。

いったん契約解除されて、もうダメか、引退か、となった37歳のディフェンダーが、次のシーズンでフォワードに再び挑戦し、チームトップ・キャリアハイのゴール数を記録する。

こういう事例、世界的にみてもあまりないんじゃないかとすら思う。

先日のエルゴラッソ紙が選ぶ「EGアウォーズ」でも彼は見事に「敢闘賞」に輝いている。そう、今年のJリーグで文字通り最も敢闘していたのは盛田剛平だった。それはもう、間違いない。

「人は、いくつになっても成長を続けることができる」と。

ガンバ大阪が、J1昇格後、降格圏からジワジワと駆け上がって優勝まで果たしたドラマに似た、もうひとつの奇跡的な出来事が、その傍らで起こっていたことを、自分としては忘れたくないなと思った(同世代だけに、なおさら)。

もう何度もこのブログで似たようなことを書いているけれども、「あきらめないこと」の大切さや凄さを、サッカーというスポーツは実にいろいろなかたちで教えてくれる。

デビュー当時の雑誌のことをなぜかずっと覚えていた私にとっては、「期待外れの新人」のままであった盛田剛平。そうして自分が年を重ね、いろいろなことを経験したり考えたりしていくなかで、ずっと同時代をプロサッカー選手として生き抜いてきた彼の姿に、こうして拍手を送ることができるようになったこと、それが嬉しい。自分にとっての2014年のJリーグはそういうシーズンでもあったのだった。

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