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2019年10月 3日

うっかり「スタジアム崩壊」の危機を乗り越えて

Nanostad(ナノスタッド)というメーカーが、いろんなサッカースタジアムのペーパークラフトのキットをリリースしているので、私はチェルシーのスタンフォード・ブリッジのキットを手に入れた。


Nanostad(ナノスタッド) スタジアム3Dパズル チェルシー スタンフォード・ブリッジ 3725

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▲余裕の表情をうかべる親子。

 

対象年齢7歳以上とあったので、まぁ、気軽に作れるキットだろうと思った。

厚紙に数字がふられたパーツを、手で押し出すように切り離していく。切断面が絶妙によく出来ているので、わりと心地よくパーツが外れてくれる。

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▲左手に持っている半透明のパーツは、実際のスタジアムの屋根に設置されている半透明の屋根を模していて、このあたりかなりガチなこだわりをもってキットが構成されていて感心する。

こういう説明書をたよりに、接着剤などを使わずにすべて「差し込み」で組み上げていく。

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なので、こういう細い道具を使うと、キットの穴ぼこを開けていく作業もやりやすくなる。

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そうしているうちに「普通に作っていっても面白くないよな」という、子供の頃に培った「モデラー魂」が数十年ぶりにわき上がってきたのである。

たとえば、

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こうしてピッチの周りを電光掲示板の広告看板が囲む部分も、のっぺりとした青いパーツだけで表現されていたので、ここは自分なりに手を加えやすい部分であると考え、

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それらしい看板の画像をネットで見つけて、適度な大きさに印刷して貼ってみたり。

で、看板の裏側ってどうなっていたんだっけ? となり、過去に実際に現地で撮影した写真をひたすら振り返ってみると、こういう写真をみつけた。

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▲この看板の裏側の部分だけを画像ソフトで切り抜いて、横に連続して貼り付けて縮小させてプリントアウトし、それを貼り込んでみた。

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▲分かるだろうか。伝わるだろうか。これこそ模型制作の醍醐味であろう。結果的に最後まで組み立てると、この看板の裏側はほとんど目視では確認できないことが判明するのだが、「秘するが華」という世阿弥の言葉を胸に、これはこれで自己満足の境地なのである。

もしかしたら同じパーツを使いたいという読者がいるかもしれないので、このパーツだけ画像ファイルをダウンロードできるようにここに置いておく。(→ ダウンロード - e79c8be69dbfe8a38fe38391e383bce38384.jpg )

で、そういうマインドでスタンドの部分をみていると、

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これはこれでいいのだが、人がいないスタジアムよりも、人が大勢いるほうがいいんじゃないかと思い、「やはりスタジアムには横断幕がいるだろう」と思ったのが間違いだった。

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こういう横断幕をいろいろネットで調べて、細かく切ったりして貼り込んでいく。

写真にはないが、ゴール裏にはおなじみの「JT キャプテン、リーダー、レジェンド」幕とか「スーパー・フランキー・ランパード」幕とかも、それなりの大きさに切り取って貼っていった。

そのうえで、客席にお客さんが密集して座っている画像を縮小印刷して貼り込もうと思ったわけである。

しかし、このあたりで「力尽きた」のである。

おそらくミリ単位で横断幕を切ったり貼ったりしているうちに2017年の正月休みも終わっていったのだろう。

少しはいろいろと試みたのである。スタンドの座席の枠組みのサイズを測り、客席の様子を捉えた画像をそれなりの縮小サイズにして並べ、画像編集ソフトで並べたりカットしたりして、それをプリントして貼り込んでいこうというプランだった。しかし、あまりに面倒くさくなってきたのである。


そういうわけで、この模型はこの未完成の状態のまま、2年ほど放置されていったのであった。(ブログでこの制作過程をアップしようとしていたので、上記のような写真だけはちゃんと撮っていた)

つまり、言い換えると、私はチェルシーFCのサポーターであることを喧伝しながらも、自宅の片隅では2シーズンちかくにわたり、ホームスタジアムを崩壊させたまま生活していたことになる。

やー、申し訳ない、ロンドン。

で、そんな状態のままチェルシーの監督はコンテからサッリになり、そうしてランパードへとバトンが引き継がれた。

何も誰も引き継いでいない私の家には相変わらず朽ち果てたスタンフォード・ブリッジが忘れられた状態でたたずんでいて、最近になってようやく「これはさすがにマズイな」と思い、もう客席を人で埋めることはあきらめて(笑)、この状態のまま最後まで組んでいこうと、ふたたびピンセットを手に挑んだのである。

 

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▲この屋根の部分に、先にあげた半透明のシートを組み入れたりするのだが、「なるほど、たしかにこんな風合いの光が屋根から降りてくる感じ、するする!」と興奮してしまう。

 

・・・とはいえ、私が思っていた以上に、組み上がりが進めば進むほど、パーツの接合作業には難しさが伴うようになっていった。

つまり単体のパーツ同士をはめ込むのは問題はないが、こうして建造物の立体感が出てきたあとだと、「あっちを差し込むとこっちが飛び出てしまう」というようなジレンマを覚えるシーンが多発するのである。なので場合によってはスタジアム崩壊覚悟でちょっとした力を加えながら、少しの隙間やゆがみを狙って、別のパーツをはめ込む・・・という作業がでてくるのであった。

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そう、こんな余裕の表情ができなくなってくるわけだ。

 

だから、もし今後これを読んだ方が、Nanostadのスタジアム模型を作ろうと思われた場合、私から言えるアドバイスはこれだ。

「自分が本当に好きなクラブ、好きなスタジアムの模型だけにしておきなさい」

というのも、

「なんでこのスタジアムはこんなところにヘンな出っ張りがあるねん!」

「どうしてこの部分が必要なんよ!?」

「誰やねんデザインした建築家は!?」

と、作っている最中に、スタジアムにたいして悪態をついてしまいたくなることが多々あるからだ。

 

そういう困難(?)を乗り越えて、多少のアラは目をつぶりつつ、なんとか完成にまでこぎつけた。

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▲あらためて、今まで気づかなかった造形美を感じられたり。

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▲画面左側の青い階段状のパーツが本当に難しかったのでヘロヘロ状態になっている。

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▲「そういやこの出入り口の坂道付近で2005年に出待ちしていたら、急にモウリーニョ監督が出てきたなぁ」と悦に入る。

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▲建設に関係した人々に罪はもちろんないのだが、あらためてこの模型を作るにあたり、併設のホテルを設計した人に「もうちょっとデコボコをなくしたデザインで作れなかったのか」と問い詰めたい気分になった。

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・・・というわけで、出来上がるとやはりそれはそれでいい感じの模型となり、どう飾るかはまだ未定なのだが、地面の土台の裏側が空洞なので、壁にフックでかけて垂直に展示することも可能である。

 

そしてオチとしては、このキットには・・・







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バス がついているのである。

これって、もはやチェルシーのキットにつけられると「おいおいモウリーニョ監督への皮肉か?www」となるわけである。

 

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▲あと、やたらリアリティを追求して設計されているはずの模型なのに、バスだけあきらかにスケール比率が合ってないという(笑)

 

(気になったので他のキットを調べると、バスのついているクラブは他にもあったので、まぁ、そこまで深読みしなくてもよさそうだった・・・)

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というわけで、スタジアム建築が好きな方なら楽しめること請け合い。

Nanostadのホームページをみると、すごくマニアックなクラブまで揃っていそうで、手を出したくなる。

とはいえ、繰り返すが、あまり思い入れのないスタジアムだと「キーーッ!!」ってなるので、慎重に選びましょう(笑)

公式サイトにはでてないけど、アマゾンで検索するとドルトムントのスタジアムなんかもキット化されているみたいで、もし次に作るならこれにしたいかも。ただし絶版っぽいが・・・

 

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