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2020年3月21日

イングランド史上最高のフォワード、ウェイン・ルーニーは「詩を書くこと」が好きだという驚きの事実に「…なるほど!」となる

いまDAZNで配信されている、BBCドキュメンタリーのウェイン・ルーニー編を「いまさらルーニーもなぁ」と思いつつ(失礼)、それとなくダラダラと観ていたわけだが、何が驚いたかって、ルーニーは少年期から「詩を書くことが好き」だという。

奥さんと付き合い始めたときはもちろん、結婚後も、旅先などで妻や子どもたちよりも先に早く起きて、詩をしたためて贈ったりするとか。

いや、ほんと失礼で申し訳ないのだが、ルーニーがそういうことをする人だとは、これっぽっちも思っていなかった。

「文章を書くことは好き」と本人も認めているわけだが、16歳で衝撃のプレミアリーグデビューを飾った「怪童」が、同じ頃リバプールのとある高校の国語の授業を楽しんで受講していたのかもしれないと思うと、それまで思い描いていたルーニー像が、また違った印象になる。

そして私は今回、「ルーニーは文才がある」という新事実を前にして、あらためて「なるほど!」と、深く納得したわけである。

それはどういうことかというと、ルーニーのサッカー選手としての際立った特徴のひとつとして、「どんな選手と組んでもうまく機能する」というのがあると思えるからだ。彼のキャリアのハイライトはマンチェスター・ユナイテッド時代になるが、その在籍中、ファン・ニステルローイ、カルロス・テベス、クリスティアーノ・ロナウド、ズラタン・イブラヒモビッチなど、「超個性的」とも言える点取り屋が来て活躍しては去っていったわけだが、ルーニーはこうした選手たちと常に良いコンビネーションを築き上げていった。彼はゴールゲッターでもあるがチャンスメイクにも長けていて、コンビを組むアタッカーといかに連動していくかを高いサッカーセンスでもって成し遂げていった印象があるのだ。

で、「文章を書くこと」というのは、「相手とのコミュニケーションへの心遣い」というものが非常に重要になってくる作業であり、相手の立場や状況を察知して、自らの表現をそのときどきに応じて適切に発動させる行為だとすると、ルーニーが「詩を書くのが好き」というとき、それは彼のサッカー選手としての(そして人としての)根本的な「姿勢、スタイル」にも見事に直結しているのではないか、と思うのである。味方を活かしつつ自分もチャンスで狙っていく。それをルーニーのレベルでやられたら、そりゃあ相手は大変である。

ちなみに日本のサッカー界でも、田嶋幸三氏(いまコロナウイルスで大変なことになっていてお見舞い申し上げます)がかつて『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書、2007年)という本などで紹介しているが、JFAアカデミーでも育成年代のサッカー選手にたいして論理的思考や言葉の運用能力を向上させようという取り組みが行われているわけで、このあたりは日本全体の教育そのものの重要性に直結するところだから個人的にも興味深い部分である。いずれにせよ若いサッカー選手たちには「ルーニーは、詩を書くのが好きだってよ!!」と言い聞かせたいところである。

 

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