世界屈指のパンク系サッカークラブ、ザンクト・パウリ:スタジアムめぐり旅2014・ふりかえり(その10)
ハンブルグには、HSVというブンデスリーガの歴史を体現する伝統的なビッグクラブがあるとともに、ザンクト・パウリというユニークな雰囲気を放つサッカークラブがあるわけで、この旅で必ず訪れたかった憧れのチームでもある。
HSVのスタジアムがあった郊外の大きな公園エリアから、再びハンブルグ中心街に戻ってきて歓楽街レーパーバーンへ向かう。「世界で最も罪深い1マイル」と呼ばれ、ブレイク前のビートルズが方々の店をライヴで回って修行をしていたことでも知られるこの界隈がザンクト・パウリのホームタウンであり、この立地の時点で同クラブの存在感が際だってくる。
例えると東京だと新宿歌舞伎町、大阪キタのエリアだと北新地とか東通り商店街の付近にザンクト・パウリのスタジアムがあるようなもので、そこからだとHSVが7kmほど離れた先、つまり駒沢オリンピック公園とか鶴見緑地にあるような、そういう距離感である。つまりザンクト・パウリは大都市中心部における歓楽街近くにサッカー専用スタジアムを構えるも、歴史的にはあまり1部リーグには定着できないが、多くの熱いサポーターから支持を集めて世界的にも知名度を誇っているという異色のクラブである。
ただ、私がこの罪深い1マイルでやったことといえば大衆食堂でカツレツをいただいたことぐらいである。せっかく海辺に来たのになぜカツレツなのか。
▲あとで調べたらシュニッツェルという、ドイツ・オーストリア圏でポピュラーなカツレツ料理。
ちなみにこのレーパーバーンに、ザンクト・パウリのグッズショップが展開されていて、週末は夜23時まで営業しているとドアに書いてあった。大して強豪クラブでもない(失礼)チームのショップが繁華街の大通りでわざわざ(客層に合わせて?)夜遅くまでまで店を開けていることにちょっと驚かされる。深夜にブラブラする客が地元サッカーチームのグッズをどれだけ必要としているのか、そして遅い時間まで店を開けることのコストが回収できているのかどうかも心配になってくる。でもきっと、ここで店を続けることは、コミュニティに強烈に結びついているクラブとしてのあり方を「表現」することなのかもしれない。
そういう雰囲気は平日のスタジアムに行ってもそれとなく感じられたのである。
▲ついにたどり着いた、ミラントア・スタジアム。名前の響きがいい。
▲なぜか巨大なイカリがそこかしこに置いてあって、港町ハンブルグ感を演出。
社会問題に積極的にコミットしていくクラブの姿勢が、あちこちに貼られたポスターでうかがえる。
▲おそらく翻訳する限り、青少年への啓発運動か何か。
ただしハードコアな雰囲気のパンクなフットボールクラブでありつつ、子どもたちにもどんどん来てちょうだい、ということで、
子ども向けスタンドが確保されている様子。
そして感じ入ったのはスタジアムの壁面に、サポーターの写真をおおきく掲げていたことだった。
こういうのは、なかなかステキな演出だと思う。本人たちも記念になるし。
▲それにしても、わざと放置しているのか自然発生なのか、やたらグラフィティで落書きされたりステッカー貼られまくりの事務所近辺。
そしてスタジアムの裏手から入るミュージアムが開館されていた。雰囲気的に、ボランティアさんたちで運営されているような感じだった。
館内はすべてドイツ語オンリーで説明が書かれていて、正直内容は分からなかったけれども、クラブの歴史についての資料展示が充実していた。
▲この図がとてもいい雰囲気でポストカードにしてほしかったぐらい。
▲ここぞという昔のワンシーンを展示するにあたり、この写真を選ぶセンス。これこそまさに、っていう。
しっかりと展示内容を追っていければ、この小さなクラブがいかにして地域に根付いて、そこからいろいろな社会運動へのアクティビズムと連動していき、独自のアイデンティティを築いていくようになったかが分かったのかもしれない。
試合のあるときに再訪したら、その雰囲気をさらに味わえるのだろうし、それは将来に向けてのお楽しみに取っておきたい。
で、スタジアム併設のショップに入る。
▲期待を裏切らないクールな店内。そして公式エンブレムよりも頻発するおなじみのドクロマーク。
▲試着室の中。バンドのライヴポスターを貼るっていう、これはやはりこのクラブだからこそな感じがする。
▲そしてここで私はユニフォーム買いました。この当時のデザインがスポンサーロゴを含めて超絶かっこよかったので。
このように、他にもグッズが売られていたわけだけど、8割ぐらいドクロマーク入りだった。
・・・で、私、正直なところあまりドクロマークが好みではないので(爆)、そのおかげで買い物欲がほどよくセーブされました(笑)。
▲ちなみにこちらが、レーパーバーンのほうにあるグッズショップ店内の写真。スタジアムからそんなに遠くない距離に、同じようなクールなお店を二つ持っていることになる。
宮市亮がこのクラブに加入するのが、当時の旅から一年後のことで、日本人としては2人目になる。残念ながらケガの影響などで満足に出場し続けられたとは言いがたいが、かなり長くこのクラブにお世話になっていたということは、それなりに居心地がよいクラブだったのだろうか。
ともあれ、今度来るときはぜひ試合を観てみたいと強く願っている。
ハンブルグはそれでなくても観光地としても魅力的であり、わずかな時間だったが港周辺の雰囲気を堪能させてもらう。
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