試合/match

2018年7月 4日

横断幕と暮らす日々(その10):見つからない答え

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 5月最後の日曜、エルフェン狭山とのアウェイ戦は埼玉県の鴻巣市立陸上競技場で行われた。

 スタジアムに着くとオルカサポのTさんから、「オルカ鴨川FC」とスタンプが入った小さい色紙に、のんちゃんサインが入ったものをいただく。スタンプはご自身で作られたものらしい。ありがたく頂戴する。

 横断幕の掲出のとき、Iさんというサポーターが持参していた手作りのフェルト素材のものに感じ入る。チリ国旗がなかなか売っていないので・・・ということで、忠実にチリ国旗をあしらって、そして他の選手たちのニックネームもちりばめていて、これを完成させる作業量は相当なものだったと思う。

 横断幕の設置場所は広々としていたが、風でめくれないように固定させるところがなく、地面の排水溝のフタを手であけて、そこの穴を通していくなどの対処が必要となった。



 荒川恵理子の250試合出場セレモニーを経て始まったこの日の試合は惜しい展開で、2失点を追いつき、幻のゴールもあったが、最後の最後で決められてしまった。マリアが不在で、前回のようなプレッシングがうまく機能しなかった印象。

 

 そして出待ちでは、かの「仙台のファンが作った藤田のぞみ横断幕」のまさにその所有者がこの日の会場にいて、「横断幕にサインをもらう」と意気込んでいたのでできる限りサポートしようと自分も控えていた。しかし、いつまでたっても彼女は姿を見せず、「消えたのんちゃん」の行方を探していたのだが結局この日は誰も会えずじまいとなった。そのあと現場の情報では、浦和時代のチームメートだった某選手のご家族とともに早々に別行動で会場を去ったとのうわさ。ここは埼玉だから十分ありえる話だなと思った。

 

 というわけで結果的にこの日の私とのんちゃんの接点は、Tさんに試合前にいただいたサイン色紙だけとなったのである。こういう日もあるよと自分に言い聞かせながらも、何か意味のあることをして帰ろうと思い、いつもより早く東京に着くことをいいことに、ちょっとした買い物をして少しは気が晴れて、京都に帰った。

 

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 6月は仕事の都合でさすがに毎週は観にいけず、10日のカップ戦、ニッパツとの試合で、ふたたび富津臨海陸上競技場へ。前回来たときは横断幕が張り出せなかった会場だったので、私はこの再訪の機会をめざして新たにゲートフラッグを作ってきた。案の定今回も、なぜか試合前日になってオルカFCの公式サイトで「個人向け横断幕は不可」となったので、なぜこのタイミングで周知してくるのかもビミョーだなぁと思い、「だったらこんなに早く会場入りする必要もないよな」と考え、富津駅から歩いて競技場に行く前に、(この日は大雨の予報でもあったので)近所のイオンモールで時間をつぶすことにした。

 ちょうど雨が降り出してきたところで、屋根のないスタジアムでお昼ご飯を食べるぐらいなら・・・と思い、イオンモールのサイゼリアで早い昼食を取ることにした。そして私がサイゼリアにいくと必ずチェックする、「キッズメニュー」に描かれている「間違い探しクイズ」をひたすらにらみ続けるということをしていた。

 ちょうど同じタイミングで「湯郷ベル×バニーズ京都」の応援準備にいそしむ友人のM・フィオリオともLINEでやりとりをしていて、この世界最高レベルと思える難しい間違い探しクイズの画像を送ってみたりしていたのだが、彼からは「近所にいるならさっさとスタジアムに行け」というニュアンスで返信があり、「でもどうせ横断幕出せないし」と、ヘソを曲げた気分で引き続きサイゼリアで間違い探しを眺めつつダラダラしていた。するとネットで発表されるスタメン情報を逐一チェックしているフィオリオ氏からのLINEで「そんなことしているから、今日はのんちゃんベンチ外だぞ!!」とのお知らせ。

 

 

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 ・・・まぁ、シーズン中に何度でもこういうことはありえることは覚悟していた。昨シーズンの湯郷ベルでもさんざんそれは体験済みである。

 そして今日はカップ戦なので、いつもと違うメンバーで臨むことも十分ありえるから、そこも十分理解できる(そして当然ながら、唯一このとき心配だったのは、本人のコンディションに何か問題があるのかどうか、ということである)。

 

 しかしよりによって今日に関しては「富津は横断幕出せない」+「大雨(屋根なし)」+「本人ベンチ外=ゲートフラッグも出せない」、ということで、(あいかわらず最後まで答えが分からないままの)間違い探しクイズを眺めつつ、自分が今日ここにいる意味を今回ばかりは改めて沈痛な気分で考えてしまう。

 

 それでも気を取り直し、オルカのために大雨のなかをレインコートで飛び込む決意を固め、スタジアムへ。間違い探しはけっきょく最後まで分からずじまいだった。

 

 スタジアム周辺の「オルカ横町」ではいくつかのブースが立ち並び、そしてオルカのグッズ売場のテントには、この日ベンチ外の選手が店番をしていて、きわめてナチュラルに、のんちゃん、GK有馬、MF松長の豪華メンバーが並んでいた。あまり普段ありえない光景なので、しどろもどろになりつつ、一通りの今日の気持ち(ベンチ外でとっても残念です、でも仕方ないですよね・・・)を伝えつつ、(オルカの物販で前回売り切れてて買えずじまいだった)のんちゃんのポストカード(『全力で楽しむ!』と本人の筆跡がプリントされている)を購入させていただき、そしてその場でご本人にサインをいただいた。

 

 というわけで試合前にすでに自分としては目的を果たした気分になり、あとは「全力で楽しむ!」とのご神託を自分に言い聞かせ、雨の中ひたすらオルカを応援することに専心した。

 個人的にはこの日オルカ加入後、初の試合出場となったDFの吉田紫穂選手の奮闘ぶりに注目した。大阪体育大学出身で、同校の女子サッカー部監督は遠い昔にちょっとした縁のあった方なので、いつか吉田選手にもそのことを話してみようと思っている。

 しかしなかなかに難しい試合で、0ー1の敗戦。私が観に行けなかった先週のリーグ戦では勝てていただけに、なんだか自分も申し訳ない気がしてくる。

 ちなみにこの試合で、コールリーダーのEさんが、とつぜん「シャララーラーララーラー」と聴き慣れない歌を歌い出し、かねてからやりたかったという新しいチャントを試合中に披露した。その場で何回か歌っているうちに、とても良い感じに思えてきて、お気に入りのチャントになった。もともとなでしこジャパンの代表のときに歌われていたものを拝借しているとのことで、「攻めろオルカ鴨川、誇りを胸に」という歌詞である。それがずっと頭に残ったまま、帰路についた。

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▲このなかに10個も間違いががあるなんて。

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2018年7月 3日

決勝点のことをずっとグズグズと考えている。

あのときもし自分がルカクだったら、あのスルーはできただろうか?
あの状況で、エースストライカーとして、自分が点を決めるという責任感のなかにおいて、それでもあえて「スルー」を選択できる度胸や冷静さや視野の広さというもの、そこにあらゆるものが凝縮されているように思う。

勝とうが負けようが当事者であろうとなかろうと、3失点目の「組織的プレー」は見事だったとしかいいようがない。かねてより「日本は組織的ではなく、単に集団行動が得意なだけ」という指摘があって、ずっとそのことを考えているのであるが、まさにあの失点シーンは日本以上に、彼らのほうが組織力で上回った結果であった。

(最後の本田のコーナーキックについても批判はあるが、直前のゴール前FKでの感触がよかったから、その調子で蹴りたかったのだろうなと想像される)

ただ、こうして悔しがれるのも、日本が2点を先制するというすごい展開だったからこそだ。

フェライニ投入により流れが変わってしまった(ヘディングで決められた)という展開は、まるでドイツ大会の初戦のオーストラリア戦みたいな感じであり、どことなく既視感がありつつ・・・

そしてこの試合はちゃんと最初から最後まで自宅で起きて観ていたが、私はハリルホジッチお面を着用していなかった。もはやハリルお面がなくても今大会の日本代表はじゅうぶん楽しませてもらった、ということで、もはやお面の出る幕じゃないとは思っていたが、もしかしてお面を着けていたら負けなかったのかもしれない・・・? と、どうでもいいことまで「たられば」を考え続けている。

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2018年6月29日

今後、代表戦でのイエローカードは「ポイント失効」という異名で呼ばれるのかもしれないと思った夜

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 結局自宅で2画面にしてH組グループステージ最終節を観た・・・とはいえ、ほとんど寝てしまっていた。気づいたときにはなんだかよく分からなかったが(フェアプレーポイントなんて知らなかったし、もし知ってたらイエローカードが出るたびに『ポイント失効!』ってみんなツイートするんじゃないか? そして今後おそらく、日本でそういうつぶやきが多くなるのではないだろうか)、日本が決勝トーナメント進出を決めたとのことで、ひとまずハリルも祝福。

 日本の後半の「ボール回し」がけっこう批判を受けているようで、私としては、そこまでプリプリしなくても、という気分である。
 最近つくづく、国際大会というのは「結果を楽しむもの」としておいて、そして「サッカーの内容を楽しむ」のは、各国の日頃のリーグ戦のなかにあるものだと私は感じるようになった。だからいくら攻めずに時間かせぎをしようとも(とはいえセネガルが同点にするかもしれない不安はあったわけで、完全にギャンブル采配だったが)、それはそれで結果オーライであればすべてよし、である。
 だからこそ今まさに必要なのは「代表の試合ほどの格式はなくても、サッカーの面白さが凝縮されている国内リーグを観たら面白いぞ、日本にはJリーグがあるぞ」というメッセージだと思う。
 ちょうどサガン鳥栖のフェルナンド・トーレス師匠獲得決定的のニュースが来たけど、これはタイミングとしたら日本代表がW杯で敗退した(あるいは優勝した)あとにしてほしかったなぁ。

 つまらない時間稼ぎのボール回しが評判悪いのは、一見するとそれが攻める姿勢を見せていない消極的なものと思われるからであろう。でもサッカーはその仕組みとして、後ろ向きになろうとも結局は「攻めの一部のプロセス」であることからは逃れられていないはずで、守り通してもなお、それは「攻めていることの一部」だと捉えることが可能である。どの方向から世界を捉えるかで、そのおかれた状況が変わっていくことがサッカーの(そしてこの世のあらゆる事象の)不思議で美しい魅力のひとつであるはずだ。

 「ポゼッション率」という指標が、なおさらそういう本質を見えにくくさせているような気がする。ポゼッションを高めた方が勝つ確率が高まるなんてことは絶対にないことぐらい、サッカーファンなら誰しもが実感できているはずなのだ。ボールは「単なる目印」でしかなくて、本当に大事なのはボールをとりまくすべての世界の流れであり動きであり、22人の立ち位置だ。

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 日本とベルギーの試合の前に、ベスト8に上がった場合の対戦相手となるブラジルとメキシコが対戦する。でももしかしたらメキシコが勝つかも知れないし、そうなったときに日本的には「ロンドン五輪の準決勝のリベンジ」というドラマが遠くに浮かび上がってくるだろう。そこへ、ある意味では「W杯因縁の相手」であるベルギー代表が立ちはだかるというのもストーリーとしては悪くない。

 あとプレミアリーグ好きの日本人チェルシーファンの目線でいえば、アザール、クルトワ(そしてデブライネやルカク)を擁するベルギーとガチで対戦できることは実に嬉しい出来事であり、そして反対側のトーナメントの山・・・いくぶん簡単そうに見える山・・・にベルギーを抑えて見事G組1位なんかになっちゃったイングランド代表が入ったことにも微笑を浮かべてしまいたくなる・・・「ひょっとしてイングランド、今回は決勝行けるんちゃうの?」みたいな・・・あくまで夢想、として(笑)

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2018年6月25日

恵比寿フットニックにてハリルホジッチお面をつけて日本×セネガルを観て、予想外の展開にふるえた夜

 そもそもハリルホジッチお面をつけてパブで日本代表のW杯の試合を観ようと思った理由は、「このまま日本代表の試合を観ても楽しめないと思ったから」である。

 しかし結果的には、お面を着けようがシラフで観ようが、グループリーグのこの2試合は興味深い展開となった。

 2回も追いつくような試合展開、その他の惜しいチャンス、そしてセネガル選手たちの「さすが」とも言えるレベルの高いプレーに戦々恐々になったり、などなど。普通にお面ナシでじっくり観ていたい試合であった。

 振り返ると、この日はとても長い一日となり、早朝から出かけて袖ケ浦でオルカ鴨川FCの応援をしたあと、すぐバスで東京に戻り、数年ぶりにお会いするチェルシー&札幌サポのYさんご夫妻にご馳走になり、普段聞けないレベルの熱くてディープなチェルシー話を楽しませていただいた。その後解散して、いったん宿に帰り(はじめてカプセルホテルに泊まった)、心を整えてシャワーも浴びて23:30ごろにはじめてのフットニックへ。

 試合の30分前に入場するシステムで、店内に入るなりハリルお面をつけ、近くにいた人たちからイジられ、店の雰囲気に慣れるまで所在なげに立っていたが、やがてお店のつながりで?写真を撮影している担当らしき人に手招きされ、試合前にはセネガルの応援にきているお客さんなどと一緒に記念写真みたいなのを撮られたり。前回のHUBよりも小さめの空間なので、おおむねほとんどのお客さんから「あ、ハリルいるのね」という感じの雰囲気になっていった(気がする)。
 

 いずれにせよお面を着けていても着けていなくても試合は楽しかった。先制されてもあまり悲観的なムードにならず、「もともと期待されていないがゆえの開き直り」とも言えそうな、あの南アフリカW杯に近い状況が生まれていたような気がする。
 2つのゴールシーンにおける店内の爆発的な騒ぎっぷりや、お客さんがめいめいに表現する感情、そういうものを(お面越しに)味わうことができてよかった。この予想外の展開に、素直に「見くびっていてゴメン!」という気持ちやら、「あぁ、ますますハリルの立ち位置が難しいっ!」と余計な心配をしていたり(笑)
あと外国人のお客さんでやたらハリルお面にからんでくれて、なぜか何度も「途中で思いだしたかのように」改めてお面をみて笑ってくれたりするお兄さんがいて、ベラベラベラーと喋ってきてもほとんど聞き取れなくて、それもゴメン! っていう気分になった。

 そして最も想定外のことで、個人的にテンションがあがったのは、この現場には井澤エイミーさんが普通にお客さんとして来ておられたことである。近年はスカパーで「ニュルブルクリンク24時間レース」をチェックしていたりするのだが、マルチリンガルゆえに様々な人々に取材できるエイミーさんの的確かつハートフルなレポーターぶりがとてもステキで、私は以前からツイッターもフォローしていて・・・つまりは密かにファンなのだが(笑)、私はお上りさんよろしくお面つけたまま一緒に写真をお願いした。しかもエイミーさんは「ブログにあげてもらってもいいですよー」とおっしゃったので、すごく恐縮ではあるが、せっかくなので今回の記事ではエイミーさんとの写真だけをアップさせていただく。

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やー、京都から来てよかった。
どの写真でもハリルは嬉しくなさそうな表情なのだが、どういうわけかこのエイミーさんとの写真では、ちょっとご機嫌良さそうに見えてくる(笑)

ちなみに次の日本×ポーランド戦は、当初から「何もせず、自宅でテレビでみるつもり」であった。まさか3試合目に日本代表がグループリーグ突破をかけた試合をすることになるとはまったく想定していなかったからである。
どうも最近は、サッカーサポーターとしての強迫観念にかられた言動に走りがちな傾向があるため、この夜も「ハリルお面をつけたら、今のところ負けナシ!」と思ってしまい、木曜日の試合も自宅でひとりTV観戦であったとしても、ひょっとしたら、ハリルお面を着けて観ているかもしれない。

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2018年6月20日

ハリルホジッチお面をつけて日本代表×コロンビア代表をHUBで観た件

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予定通り、ハリルホジッチお面をつけてのワールドカップ日本代表第一戦、コロンビアとの試合を、昨日京都三条のHUBで見届けてきた。
以前私とともにお面ネタをやってくれたF氏とともにこの日を迎えるべくHUBのテーブル予約席をとったのだが、さすがにF氏は今回は何も着けずにシラフであり、こんなお面マニアな変態とともにパブでのW杯観戦をすることとなる宿命を受入れてもらうしかない。待ち合わせの直前、F氏から送られてきたLINEには「なんか、試合楽しみなのと一緒に見るのスッゲー嫌なのが同居しています 笑」とあって、さもありなん、と思った。私のほうがF氏より年長者なのをいいことに、こういう茶番に付き合わせてしまって申し訳なくも思う。

幸い我々は座席エリアの予約を取っていて、店に入ってしばらくは腰を落ち着けて談笑する時間があった。その間に必死に心を整えるべく、あーだこーだと喋り続けた。


お店に入ったあと、なかなかお面をつける気分にはなれない。その恐怖心や緊張感といったものについて、これはまさに試合前の選手たちと同じような感覚を共有できているんじゃないかと一瞬思ったが、それは言い過ぎかもしれない。私は単に自作のお面をつけるだけである。選手たちはいまからワールドカップの初戦を闘う。比較してはいけない。

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でも、やるしかないのである。散々な日本代表の試合を少しでも楽しく過ごしたいがためのお面ネタである。そのネタとしてハリルを選んだことが果たして良いのかどうかは、やってみないと分からない部分もある。ましてや今回のハリルホジッチお面は、単にお面だけでなく、胸元に「くまモン」のバッジ(手作り)をつけ、そして実物のリアリティを高めるために(そして自らのハゲを隠すために)「白髪のかつら」まで仕入れてきたのである。これで私の本気度がうかがえよう。

キックオフ約一時間前、意を決して店内の個室トイレに入り、お面やカツラを装着してみた。すると奇しくもそのタイミングで突然トイレの外で、お店のスタッフがマイクで「これから始まります!」みたいなMCトークを行い、にわかに店内から「ウォォォーーー!!」と歓声があがった。

それにより、私はなおさら、トイレの外に出るタイミングを図るのに必死だった。誰かトイレの前で待っていたら申し訳ないなと思いつつ、しばらく様子をうかがい、とりあえずほとぼりが冷めた頃にドアを開け、最初に出くわす若い男子客が「うわっ!」となり、そこから先は、もう誰に対しても私はずっと決死の覚悟でハリルホジッチ監督として振る舞うだけである。






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そんなわけで、この日は終始こんな感じで、たくさんの人が的確にハリルホジッチお面をイジってくれた。


そうして運命の第一戦だが、結果は周知の通りである。

「勝つとは思わなかった・・・」

というのが偽らざる部分である。

そう、私は3連敗を予想していた。しかも無得点3連敗もやむなし、という感じであった。

それがこのような展開になろうとは。

試合内容についてはいろいろと思うところがあるが、後半はテレビモニターを見る場所を少し変えて、むしろお客さんのリアクションのほうを重視して見ていた部分もある(みんながハリルお面に慣れてきた頃でもあった 笑)。つまり、2018年ワールドカップの、ひとつの試合のひとつの想い出として、この密集した中で「勝てるかも! 勝つんだ!」という熱気のなかで身を浸しているこの状況をひたすら味わおうと思った(お面ごしに)。

や、ぶっちゃけ、みんなこんなに「ウェェェーイ!!」な状況になってハイタッチしまくるこの結末、予想していなかっただろう?(笑)

そんなわけで試合後もいろんな方々にツッコミを入れられたり写真に収まったりした。

でもどんなに中の人が喜んでいても、写真に写るハリルホジッチがまったく嬉しそうに見えないのが、ジワジワくる。

そしてオチとしては、リアルな感覚として、「いまの日本代表が勝ってしまうと、ハリルホジッチとしての立ち位置が辛くなってくる」というのがあった。それは本当に、予想外のことであり、そこの感情的対処法は、まだ想定できていなかったのである。

こうして第二戦、セネガルとの試合では恵比寿のフットニックに単身でお邪魔することとなる。第一戦で得た自信を胸にがんばろうと思う・・・そう書くとサッカー選手のそれみたいだが、繰り返すが私はお面をつけてボーッとするだけである。

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▲試合後に撮った写真で、喜んでいるはずなんだが、うっかり「所在なげなハリル」のような写真になった。

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2018年5月16日

横断幕と暮らす日々(その9)小さい傘のなかで、静かな時間が流れた日

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 ゴールデンウィークは2連戦。5月3日は愛媛FCレディースとの試合で、またしても雨予報のなか、今年2度目の鴨川へ。しかし幸い到着時には雨も止んでくれた。とりあえず自分は晴れ男なんだと信じて生きていたい。

 京都から最短で到着しても、どうしても横断幕掲出の開始時間よりあとに到着することとなり、一仕事終えたオルカのサポーターの方々に今回もフジタノゾミ横断幕の掲出を手伝っていただく。そして聞けば仙台のファンの人からの藤田のぞみ横断幕も登場していて、これで3枚の藤田幕が並ぶことになった。仙台の方の幕には英語で「絶対的な自信と謙虚な姿勢」の座右の銘が書かれていて、私のは(特に深い意味はなく)ドイツ語版なので、被らなくてよかった。なんとなく。

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 この日の試合の入りかたはよかったのである。開始早々、藤田のぞみから放たれた前線へのロングフィードにハンナ・ディアスが抜け出して、力強く相手DFを抑えながらキーパーと1対1に持ち込んで上手にゴールを決めた。藤田のぞみの好判断と高い技術、そしてハンナの強さと巧さがかみあったナイスゴールで、この勢いで押し込んでいったのだが、強い風の影響もあって難しいシーンが多く、相手のセットプレーで追いつかれる。後半になるにつれ自らで流れを相手に引き渡したような感じになり、ミスからの安い失点もあったが、なんとかコーナーキックからの流れで押し返して2ー2ドローに持ち込んだという内容。前半の良かった時間帯に追加点をあげられなかったのが悔やまれる。

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 リーグ戦未勝利のまま出待ちを続けると、どういう声かけが適切なのか本当に悩む。

 終わったあと、時間があったので安房鴨川駅まで歩いてみようと思ったが、コアサポのEさんが車から声をかけてくださり、お言葉に甘えて駅まで送ってもらう。Eさんはクラブ創設時に、まったくの部外者として応援に関わった最初の数名の一人とのことで、それまでサッカーの応援をしたこともなかったため、ほかの人からいろいろと教えてもらいながら身につけていったという、とても謙虚でフレンドリーな方である。

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 鴨川での試合を経て、私は連休を思い切り堪能したあと、連休最終日は伊賀FCくノ一との試合のため伊賀上野駅に。もはや鴨川と比べるとあまりに近所で申し訳ないぐらいだ。

 くノ一の試合でちょっと楽しみにしているのは、「くノんちゃん」というマスコットに会えることだ。そのミステリアスな美貌に加え、試合前のダンスなどで発揮される恐ろしいほどの身体能力の高さには、さすが忍者だとうならせるものがあり、私は世界のサッカーシーンを見渡しても、スペインのRCDエスパニョールが誇る「ペリコ」の次ぐらいに好きなマスコットだと推したいぐらいである。
 最後に私がこの伊賀のスタジアムに来たときは、藤田のぞみが浦和レッズにいた時代であり、数年ぶりのこととなる。そして試合前にスタジアムグルメを味わうべくブースをウロウロしていた私は、とんでもない光景に遭遇した。

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「・・・!?」

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 たまたまこの日、交通安全キャンペーンで伊賀警察署がブースを出していたのだが、くノんちゃんは警察関係者に向かって刀を振り回し、「突き」まで繰り返していたのである! 実際はこの刀には穴が開いていて、サヤに納められている石鹸水の効果で、刀を抜いて振り回すとシャボン玉があたり一面に生み出されるのであった。

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 このときのくノんちゃんはハタで見ていても本当に警察官を殺傷しかねない緊張感をただよわせる俊敏な動きを見せ、表情が読めないだけに、なおさら「マジで狂気な感じ」でもあった。

 くノんちゃん【の中の人】はもしかして警察官に何らかの恨みでもあるのだろうかと心配になるほどだった。

「なんてパンクなんだ、くノんちゃん!」

と、私は改めて惚れ直した次第である。

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 ▲そんなパンクなくノんちゃんに感化され、直後に物販で買ったキャンディー。そしてこれがどことなくソワソワさせる理由をしばらく考えたら、このイラストでは素顔を見せているのな。

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 この日、横断幕を掲げさせてもらった流れで、私はゴール裏アウェイ応援団に混じらせてもらって、初めて声出しの応援をした。日差しがきつく(それはメインスタンドでも同様だったが)、お互い熱中症に気をつけあいながら、この数試合で身体になじんできたオルカ鴨川のいろいろな応援歌やチャントをコールさせてもらう。
 コールやチャントをやるとなると、試合展開の全体像を追いかけることに注力することとなり、いつものように藤田のぞみを軸に据えてピッチの状況を観るという見方ではなくなってくるのも、やってみて初めて感じ得ることであった。それはそれで、ボールや人の動きのなかで、どこまで彼女が存在感を発揮できるのか、それを見極めていくことでもある。

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 しかし・・・この試合でもなかなかオルカはチャンスを作れず、0ー1で敗れる。途中出場のチリ代表、マリアがオフサイドぎりぎりのところを狙った「幻の2ゴール」があったり、GK有馬のPKストップなどもあったが、とにかく今欲しいのは結果、である。これで5戦を終え2分け3敗。出口は見えない、でも出待ちは行う。藤田のぞみを前にしたとき、とっさに出た言葉は「続けていこう」である。彼女個人は的確なプレーや良いペース配分での戦い方ができていると思うので、この状態を続けていって欲しい。ただ、新加入選手でスタメンを取っている選手たちにとっては、この長いトンネル状況は非常にしんどいであろう。


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▲試合終了直後、アウェイサポーターのところにまで挨拶に来てくれて、シャボン玉のパフォーマンスまで披露してくれたくノんちゃんに和む。えらいよ。

 先日車で送ってくださったEさんと選手バスを見送ったあと、この日はJR伊賀上野まで一緒に歩き、Eさんは奈良から夜行バスを取ったとのことで、そのまま途中まで「ぶらり鉄道の旅」をご一緒する。Eさんは鉄道好き、旅好き、オルカ好き、そしてお酒好きなようで、コンビニで買い込んだお酒を列車内でも美味しそうに飲み続けて、いろいろな話を楽しく聞かせていただく。そのなかでふと、「(オルカにいる)選手たちには、良い足跡を残していってほしいんだよ」ということを言っていたのがすごくグッときた。ずっとチームを支えているからこそ到達しうる感情というものだ。選手は来て去るものとして捉えると、私のような選手サポーターもまたしかりなのであるが、そうしてまた動き続けることで何らかのつながりができては濃いものになっていくような感じがあり、今自分はそれを実感しつつある。

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5月13日は再び鴨川でバニーズ京都戦。この日もしだいに大雨になる予報。

毎回最短で到着しても、横断幕掲出時間がすでに始まっていて、いつも現場では私が来たときにはすべての横断幕が手際よく張られている。一仕事終えたEさんからは「場所、空けておいたよ!」とありがたい声をかけていただく。カタカナ表記のちょっと風変わりなフジタノゾミ幕がこうして受け入れられて、素直にうれしい。

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 ゴール裏芝生に行き、のんちゃんのバッジを世田谷戦で譲ってくれたTさんが横断幕の設置を手伝ってくれた。その作業の途中、Tさんから「グッズ売場で写真が売られているの知ってます?」と教えてもらう。気になったのでそのあとでオルカのグッズ売場のテントをのぞくと、オフィシャルカメラマンが撮影した試合前の選手集合写真が試合ごとに売られていた。勝てない試合が続いていて、緊張感が拭えない気分で鴨川に来たが、この写真のなかで見せているメンバーの表情はどれも試合前の高揚した、晴れやかな表情を浮かべていて、現地で遠くから眺めているとなかなか気づかない微細なニュアンスを感じ取れる。

 「こういうのは良いねぇ」と思いながら売場の写真を眺めていたら、とつぜん売場の女性スタッフから「藤田さんのファンですよね?」と言われ、とってもうろたえる(笑)。まだ8番のユニフォームを着ていない状態でそう言われたので、なんで分かったんですか!?と尋ねると、以前の試合会場で見かけたので、と言われる(しかも8番ユニを着たり着なかったりする日があったにも関わらず、である)。鴨川陸上競技場の3試合目でまさかグッズ売場の人にまで認識されるとは。 

 ホームゲームのチケットには毎試合2人の選手の姿が印刷されていて、この日はGK國香想子と藤田のぞみだった。そしてその2名の選手がマッチデイプログラムでフューチャーされていた。そこに書かれていた「浦和レッズLを退団し、もうサッカーはする気にならなかった。」という文章で始まる藤田のぞみのコメントは、その後の苦悩、そして周囲の人々のサポートのおかげで再び勇気を出してなでしこリーグに復帰するにあたって、「残された選手人生をオルカに尽くしたいと決意した」という想いが書かれており、いままで藤田のぞみに関して発表されたあらゆるテキストのなかでもかなり重厚なものになっていて、ちょっと驚いたぐらいである。そして改めて自分がいる場所、ここでなにをするべきなのかを問いかけられている気がしていて、なおさらに、昨年の湯郷ベルでの復帰に際してすぐに応援に駆けつけられなかった自分の「意気地のなさ」にも直面するわけである。

 そんなわけで、この日のマッチデイプログラムは私にとって非常に重要なアイテムとなった。

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 この日もコール応援の人々の後ろにつかせてもらい、いつもサポーターさんがスタジアムの隅に段ボールに入れて置いてくれている「貸しメガホン」を借りて応援した(遠方からなので荷物を厳選して持って行っている私にとっては本当に非常にありがたいシステム)。

 オルカはついにハンナとマリアの北米・南米外国人ツートップがスタメンとなり、ファーストディフェンスをきっちりこなし、全体的にプレスがうまく効いていた。外国人サッカー選手が2人してボールを奪いに襲いかかっていくシステムはこの国のリーグでもわりと珍しいほうだと思うのだが、その勢いたるや並の選手でなくても焦ってしまうはずである。そうして相手のミスを誘い、勢いを抑えにかかったのでたくさんのボールを高い位置で奪うことができた。やはり多少無理をかけてでも前からのチェイスをさぼらずにやり続けると、かなり優位に試合が進められる。

 早いうちに挙げた先制点は、藤田のぞみのヘディングパスが起点になって、ハンナが受けてシュートを打ち、キーパーがこぼしたところをマリアが詰めて決めた。
 そこからいい波に乗って、4ー0の大勝。何よりゼロで抑えられたことが大きい。
 つまりはオルカ鴨川の今シーズン、個人的に現地で観た試合のなかでの待望の「初勝利」を挙げ、勝ったときにサポーターが歌うチャントが、当然ながら聞き慣れないものであり、その新鮮さも含めて、安心感があった。これで流れが変わってくれれば・・・

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 そして出待ちでは笑顔でのんちゃんを迎えられたことも、勝ったことと同じぐらいうれしかった。

 試合終了直後に雨が本降りになり、のんちゃんに差し入れを渡した後、ほかのサポーターが彼女を呼び止めて、手渡すものを準備する間、すこし手間取っていたようで、そのときのんちゃんは雨の中で「待ち」の状態になった。
 すると手を頭に乗せたままの彼女は私に「すいませんー」と言ってきて、それは自分の傘に入れてほしいという意味だった。

 なので形の上では一瞬だけ、ほんの一瞬、いや、こういう状況だと正確な時間感覚は狂ってしまうようで、実際はけっこう長い時間だったかもしれないが・・・のんちゃんと相合い傘になった・・・その間、なにも言えなくて、お互いずっと無言で、それはとても静かな時間だった。

 持ち歩きを優先してモンベルの小さい折りたたみ傘しか持っていなかったが、相手が小柄なので助かったと思えばいいのか。これは相合い傘をするには小さすぎるかもしれないなぁ、大きい傘を持っていなくて申し訳ない、といったことを考えていた(と記憶しているが、すべてはあいまいである)。

 緊張すると、どうでもいいことばかり考えてしまう。

 その流れで、試合前に横断幕を手伝ってくれたTさんが気を利かせてくれて、持っていたタブレットで我々の写真を撮ってくださった。感謝に堪えない(笑)

 そしてコアサポのKさんご夫妻からは、車で駅まで送りますよ、とのありがたいお申し出が。もはやすべてのコアサポさんからのご支援によって私の鴨川通いが支えられていて、本当に恐縮である。Kさんご夫妻は家族で浦和レッズのゴール裏を闘ってきた方々だそうで、オルカの選手たちにたいするその熱さの源泉を思うとさもありなん、である。「浦女」としての赤い血が流れている藤田のぞみがひきつづきKさんたちに頼りにされるようなプレーが続けばと願う。

別れ際にKさんが「オルカ鴨川が1部にあがって、レッズと闘うべく駒場に行く日を楽しみにしている」という旨のことを言ったのが、とても印象的だった。自分もまた、駒場に行きたいと思いつづけている。

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2018年4月24日

横断幕と暮らす日々(その8):横断幕を掲げなかった日のことについて

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 今回は2試合の記録をまとめて。

 4月15日。雨が降ると分かっていて、ずぶ濡れになることも分かっていて、それでもスタジアムの空の下に横断幕を掲げに行くべく、早朝から新幹線に乗り込むときの気持ちを味わいつつ。
 長靴まで持って行ったので、いつもより荷物も重い。朝から眠い。
 ただこの日はまだ近いほうである。東京駅から地下鉄東西線に乗り、江戸川区陸上競技場に向かった。海沿いの風が吹き続ける感覚が印象的だった。

 しかし結果的に、東京駅に着く頃には雨が止んで、この日は一度も傘をさす必要がなかった。そういう意味ではとてもラッキーな一日だったのである。

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 ただしリーグカップの試合のほうは、オルカ鴨川にとっては拙い線審のジャッジに苦しめられる不運もあって、スフィーダ世田谷に0-1で負けた。

 チームは不運でも自分にとってラッキーだったことは、試合前の横断幕の掲出の際、今回はオルカのサポーターの方々にも助けていただき、すみやかにフジタノゾミ幕を掲げさせてもらえたことだ。しかもサイズをみるや、「こっちのほうが目立つから」と言って、ちょうど良い長さの手すりのほうに移動することを勧めていただいた。

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 そしてさらに、一緒に横断幕の掲示を手伝っていただいたうちの一人のサポーターさんに試合後に声をかけられた。この日のスタジアムでオルカ側で売っていた選手缶バッジのガチャポンで、藤田のぞみのバッジが出てきたから、定価で買いませんかとわざわざ申し出てくださったのである。当然二つ返事で申し出をありがたく受けた。

 また、別のコアサポーターさんにもお話を聴かせてもらう機会があり、発足後どんどんカテゴリーを駆け上がっていったこのクラブについて、いろいろな想いがあることもうかがえた。

 こうしてサポーターさんの温かさに触れる旅でもあった。

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 出待ちのとき、負け試合の後にも関わらず藤田のぞみは笑顔を返してくれて、それがいつも以上に印象に残った。この日もボール奪取に奮闘し、バランスを重視してポジションを取り、攻撃の形がつながらない状況にも我慢し続けてパスを試み、それらの奮闘が結果につながらないことについてはさぞかし苦々しい気持ちであろうと思われた。しかしファンの前に現れたときのあの笑顔にはこちらが逆に励まされ、次の日曜日もまた新幹線に乗る決意を固めさせるのである。
 彼女の笑顔の要因には、結果が出ないなりにもサッカー選手として充実した鴨川での日々があるのかもしれないし、温かいサポーターさんたちが作る雰囲気も影響しているのかもしれない(そしてどこに行ってものんちゃんは人気者で、なかなかすんなりと彼女を捕まえることはできない)。

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 ひきつづきのリーグカップ戦。オルカは翌週4月22日にちふれエルフェン埼玉と対戦した。
 暑いぐらいの晴天で、絶好のサッカー観戦日和であったが、ここにきて新たな問題が発生した。二日前にオルカの公式サイトをみると、今回の試合が行われる富津臨海陸上競技場では、スペースの都合上、「選手個人の横断幕は掲出不可」とのこと。日本中のサッカー観戦の現場で、横断幕ってそのほとんどが選手個人がテーマになっていると思うのだが、それらが掲示できないという。
 去年の湯郷ベルとの日々でもいろいろな目にあってきたつもりだが、こうしてまた新たな試練が待っていようとは。

 というわけで、横断幕を掲示できないことが分かっていながら、横断幕を携えてスタジアムに向かうときの気持ちってやつも味わいつつ、新幹線と在来線を乗り継いで、約4時間かけて青堀駅にたどり着く。初夏を思わせる青空と、冷たい風が肌に心地よく、静けさのただよう青堀駅から20分ほど歩いて、無駄に存在感を放つイオンモールを目指した。そのすぐそばが運動公園になっている。

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 横断幕の受付時間に、念のため「今日は選手個人の横断幕の掲示はダメなんですよね?」と確認を取るべく、受付にいた2名のスタッフに尋ねてみた。
 しかし応対してくれたスタッフはきょとんとして、何も知らなかったようで、私はクラブの公式サイトの一番新しいお知らせを見てくださいと伝えた。現場では今回の措置がそこまで特別なことではないと受け止められているような雰囲気がうかがえたので、よりいっそう残念な気分になった。

 屋根のないメインスタンドに来ると、まったく横断幕は張られていなかった。確かにスペースの都合で「どの選手名の横断幕が取捨選択されるか」という事態が起こるのはセンシティブな問題であり、運営側としてはそういうややこしさはできれば避けたいと思うことも分かる。しかしその結果「横断幕ゼロの光景」が簡単に生まれてしまうことで、本来サッカークラブとして創りたいはずの世界を、自分たちであっさり取り逃していることになってはいないだろうか。それはあたかもサッカーに例えると、「そんな簡単にボールを奪われて、平気な顔をしていられるのか?」ということでもある。

 もっと言うと、今後通常のスタジアムでも掲示しきれないぐらいに選手応援のための横断幕が大量に作られる可能性だってありえる。そうなったときにどういう対処方法があるかは、考えておいても損はないテーマであろう。

 たとえば、こうした問題を単に「問題」として深刻に受け止めるのではなく、これを逆手に取って、クラブとしての「色」を出すチャンスとして活用することだってできるはずなのである。例えば「今日は関東出身の選手の横断幕だけ掲示してください」とか「今日は血液型がO型、AB型の選手のみ」「今日は誕生月が偶数の選手のみ」とか、とにかくいろんなネタで縛りをいれる方式を導入すれば、スペースの事情をくんで「しょうがねぇなぁ」とサポーターは毎回苦笑いしつつなんとか協力してくれるはずだろうし、選手だって理解してくれるだろうと思うがどうだろうか。運営側と、選手・サポーターとの距離が近いなでしこリーグのクラブだからこそできる工夫はたくさんあると思うし、そういう方向性でピンチをチャンスに変えていく姿勢は、ピッチ上でのサッカーの試合と同様、私たちの普段の生活や仕事のなかでも通じるものがあるはずだ。

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 先週の江戸川で親切にも藤田のぞみバッジを譲ってくれたTさんというサポーターの方が私を見つけてくださり、この「横断幕ゼロ」の状況については私と同じく苦々しい気持ちでいたようで、今回の件や、そのほかいろいろとオルカの試合運営のありかたについて説明をしてくださった。Tさんから声がけをしてもらったおかげで、「遠くから来て横断幕を掲げに来てくれているのに、申し訳ない」という言外のメッセージをいただいた感じがして、それで私の中では収まりがついた。

 それでも同時刻に湯郷に行っている旧知のM・フィオリオ氏からは再三LINEで励まされ、どうにかして横断幕をアピールする方法を探っていくことになり、近くにいる人にお手伝いをお願いして、選手入場のときだけ横断幕を座席から掲げようと決めた。そのためにできるだけ邪魔にならないよう最後列の座席を選んだのだが、幸いその横に、人のよさそうなご夫婦がやってきてくれたので、事情を説明して、選手入場から集合写真の撮影が終わるまで、フジタノゾミ横断幕を一緒に広げて揚げていただいた・・・そして聞けば、このご夫婦はこの日スタメンで出場していたディフェンダーの平田美紀選手のご両親だった! 娘さん以外の選手の幕をあげさせてしまっていて本当に恐縮であったが、快く引き受けていただき、感謝にたえない。

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 試合のほうは打ち合いとなり、村岡真実(開幕戦から輝きを見せていたので注目している)のロングすぎるシュートが見事に決まって盛り上がったり、全体的にプレスの意識も高く、いい試合をしていたのだが、どうしても最終的な詰めの甘さが出てしまい、2-3の逆転負けを喫した。
 エルフェンの前線には荒川恵理子が相変わらずの力強いボールキープ力を発揮していて、見た目もプレーぶりも圧巻の存在感で、これは正直いまの男子日本代表でも欲しいタイプのフォワードだと改めて思った。そしてその荒川と藤田のぞみが何度もボールを競り合うのは実に見応えがあった。
 中盤の底でボールを奪ったあとには深い位置からロングパスを試みて、何本か惜しいシーンを演出していた。このスタイルで攻守の要となっていて、最後までしっかり走りきっていただけに、この充実ぶりをチームの結果につなげられないことにこの日ももどかしさを覚えてしまう。

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 出待ちのとき(・・・今に始まったことではないが、負け試合のあとは、いつもおおいに緊張感を覚える)、本人に尋ねてみると、選手入場のときに掲げた横断幕はちゃんと見えていたようで、それだけで私は満足して帰路につける。
 そして今回の「横断幕禁止」の件のおかげで、背番号25の平田選手のこともしっかり認識できるようになったので、それはポジティブな側面である。こうして少しずつオルカの選手たちのことを理解できるようになっていく。

 ちなみに・・・平田選手のご両親との対話のなかで、うっかり誤解を与える受け答えを私がしてしまったせいで、ご夫妻は試合が終わる頃まで私がフジタノゾミの父親だと思いこんでおられたようだった。非常に申し訳ない!!

・・・や、なれるものなら、なりたいですけども!!!(笑)

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2018年4月 4日

横断幕と暮らす日々(その7):口で笑って、目で詫びる

 いきなり昭和歌謡の話になるが、新沼謙治に『青春想譜』という曲がある。苦しい生活のなか、彼女が主人公の名前で故郷の母に宛てて送金をしたことに「出過ぎた真似をするな」と主人公が怒るのだが、そのあとの歌詞が「口で叱って/目で詫びる」と続く。私が愛聴するザ・コレクターズのポッドキャスト「池袋交差点24時」で、ここの歌詞が素晴らしいと絶賛されていて、それで私もこの曲のことを知ったのである。

 で、オルカ鴨川がリーグ2戦目に湯郷ベルと試合をしたこの日のことを振り返ると、この「口で叱って、目で詫びる」のフレーズが思い出されてきたのである・・・ただし、さしずめそれは「口で笑って、目で詫びる」というような、原曲の機微からはほど遠い風情ではあるが・・・

 

 なでしこ2部リーグの日程を誰が組んだか知らないが、はじめてオルカ鴨川のホームスタジアムでの開幕戦を観に行ったすぐあとに、この湯郷でのアウェイ戦が設定されたことには少し感謝したい気持ちであった。慣れ親しんだ「いわばホーム」にすぐに戻ってくることで、鴨川の洗礼を浴びた直後の私は、フィオリオ氏がいつものように運転してくれる岡山への高速道路ですら、「ちょっと近所」に移動するような感覚であり、ひとつの大冒険が終わったあとの、なんともいえない安心感につつまれていた。

 

 ただし、現実的には湯郷ベルのサポーターとしてのフィオリオ氏が乗せている男は、いわば「今日の敵」のサポーターになるのである。それを頭では分かっているのだが、湯郷へいくことの心地よさを隠せなかったのも確かだ。ましてや本来なら乗せてもらっているお返しに、数日前見てきたばかりのオルカのチーム状況などを彼に報告することもできたはずなのだが、この前の私は藤田のぞみ以外の選手のプレーをちゃんと観ておらず、かつ、サッカーの試合を生で観るときにしばしば採用する、「特定の選手の動きを軸にして目線を定めながら、あたかもピッチ上の選手が『首ふり』をするときのように、周辺部分およびボールの行き先を瞬間的に追いかけて、目線を行ったりきたりさせる見方」(私はこれを『リベログランデ方式』と勝手に呼んでいる)を実践していたので、全体的なオルカのチーム状況を語れるようになるにはまだまだ時間がかかりそうなのであった。「のんちゃんのことしか観てないし、まだオルカを1試合しか観ていないから~」と、笑って応えつつ、目で詫びた。

 

 現地に着くと、よく見かけるベルのサポーターさんたちが列に並んでいて、朝10時に横断幕の掲出が予定されていた。実は昨シーズンの日程の関係で、美作のホームスタジアム(通称ラサスタ)で横断幕を張るのは初めてだった。そして私は「いつもの人たち」とは別方向に向かって、アウェイゴール裏のほうへ横断幕を出さないといけない。そしてどうやらこの10時の時点では私だけがオルカ側で作業をしなければならなかった。このスタジアムでの横断幕掲出は「メインスタンド側に近いほうから掲示する」ということだったと思い出し、このような形でフジタノゾミ横断幕を張った。

 

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 結果的には、このあと試合開始前になってオルカサポーターの方々がやってきて、横断幕は増えたので事なきを得たが、この時点では藤田のぞみだけの横断幕が静かに掲げられているだけなので、「果たしてこれでよいのだろうか」といたく不安になっていた。そうして心許なく紐をくくりつけていると、背後からベルのスタッフの人がやってきて「おつかれさまです、今日はよろしくお願いします」と言われたので、その場で私はオルカのサポーターとして応対しないといけなくなり、「たった2試合目なんですけどね」とは口には出さず、にこやかに会話を交わして、目で詫びた。

 

 ちなみにこちらの横断幕が張り終わること、振り返ると反対サイドでは多くのベルサポーターが協力してたくさんの横断幕を手際よく掲示していて、私はこの日どうしても近づいて写真に撮りたかった横断幕があったのでベル側ゴール裏に走っていった。そしてうっかり、足を踏み入れてはいけないアップ用のスペースをショートカットしてしまい、その場にいたサポーターのみなさんに注意され(それは試合中に客席から一斉に発せられる「オフサイド!」のかけ声のようだった)、これについては目で詫びるどころじゃなくて、しっかりお詫びしたい。

 試合は藤田のぞみが2試合連続のスタメン出場。序盤にベルのミスやフリーキックでオルカが2点をリードする展開に。ただし前半のうちにユメのゴラッソが決まり、後半にはカンゴールで2点差を追いついて、その後もベルが猛攻を続けて引き分けで終わるという試合だった(ベル側の記述に馴れ馴れしさが出てしまうのは仕方がない)。去年のベルの試合ではあまり感じられなかった「攻める姿勢」が随所に見られた印象だが、それだけオルカ側の後半の出来映えが苦しく、藤田のぞみもなんとかバランスを取ろうと苦心していたように見えた。リードを守りきれなかったことに守備的MFのアンカーポジションの彼女としては負けに等しい内容だったかもしれない。

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出待ちのときは、ベルとアウェイ側はそれぞれ別の出口となっていて、ベルの様子を気にしつつひたすらアウェイ側で待っていた。この日は前回と違って晴天だったので、ちょうど買ったばかりの背番号8番のユニフォームにサインをもらおうと待っていた。オルカの他の選手たちのことも少しずつ顔と名前を識別できるように、目で詫びつつ「おつかれさまでした」を言い続け、いざ藤田のぞみが登場したら、やはり最もファンからのサイン攻めにあっていて、なかなかバスにたどり着けない様子。一瞬やめようかとも思ったが、とにかく天候が良かったので、いい条件下でサインを書いてもらおうと勇気を出して本人に声をかけ、しかも私はサインに添えて書いてほしい言葉として、松江の方言「だんだん」(ありがとうの意)を追記してもらうことに成功した(しかものんちゃんご本人から「だんだん」の正しい発音を教えてもらった)。悔しい試合でお疲れのところ、本当にありがとうのんちゃん、ということで、この日いちばん、目で詫びた。

 

 オルカの選手を乗せたバスを見送ったあと、「だんだんサイン」をいただいたことの達成感と放心状態ゆえ、よろよろとベルのファンサービス現場にたどり着いたときは、こちらもそろそろ時間切れがスタッフによってアナウンスされようとしていたところだった。自分がこの日はオルカ側の人間であったこともあり、そして「よく考えたら今後しばらく湯郷には来ない」ということをあまりこのとき認識できていなかった私は、ここで手を抜いてひたすら「だんだんサイン」のことを振り返ってボーッと突っ立っていた・・・ここでがんばって労いの声をかけておくべきベルの選手の姿を探さなかったことは、これも目で詫びるどころの問題ではなく、今となっては後悔するばかりである。

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↑向かいの「みまさかアリーナ」のなかにこのようなビッグフラッグ寄せ書きコーナーがあって、つい魔が差して、男子日本代表と関係なく「Allez!! フジタノゾミ!!」と、これのどこかの場所に小さく書いたのは私です。

 

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2018年3月23日

横断幕と暮らす日々(その6) 鴨川から鴨川へ

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 買ってからまだ一度も使う機会がなかった長靴を履いて、朝5時に家を出た。
 長靴のまま新幹線に乗り、特急に乗り換え、11時ごろに安房鴨川駅に着く。

 実際に味わっても、その「遠さ」をあまり感じなかったのは、もうすでにさんざんこの距離を覚悟しつづけていたからだろう。

 雨風が強く、そして冬に逆戻りしたかのような寒さのなか、駅に着いたのはスタジアムで横断幕掲出の受付が始まっていた頃合いだった。運良く駅前からすぐタクシーに乗ることができ、行き先を告げると、運転手さんはこの日にこの地でサッカーの試合があることを知らなかった。道ばたには「1部昇格!」の文字が書かれたオルカ鴨川FCの広報看板が多数立っていて、そこに気づいた運転手さんは「この試合に勝てば1部昇格なんですか?」と無邪気な質問をしてきたので、一通りの状況説明を試みた。

 やがて運転手さんは「(このために)京都から来たんですか!?」とそれなりに驚いてくれた。運命の導きによって私は鴨川の流れる街から、鴨川と呼ばれる海辺にやってきて、そうして鴨川市陸上競技場にたどり着いた。

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 受付で横断幕掲出の許可証をもらい、ゴール裏の芝生エリアに行くと、すでにほとんどの横断幕が設置されていた。幸いまだスペースがあったので、急いで掲げさせていただく・・・ただし冷たい雨と風が強く、昨年の淡路島での台風を思わせる感覚があった。でもあのときは、私の周りに湯郷ベルのサポーターさんたち・・・ほとんどの名前も知らず、でも顔はよく見る人たち・・・がいて、一緒になって突風を受けつつ、暴れる横断幕を押さえて雨に打たれながら少しずつ紐をくくりつけていった。あのときの状況に似たものを、自分はそのときひとりで感じていた。同じ頃、湯郷ベルは、アウェイで愛媛FCとの開幕戦を迎えていた。

 こうしてあらたなフィールドで、藤田のぞみを応援していくことになり、そして少しずつ自分もこの新しいチームに親しんでいこうとしている。2部リーグ開幕戦、相手はASハリマアルビオン(湯郷ベル関連でお世話になっているアンチ銀河系さんが応援しているもうひとつのクラブでもある)。幸い先発出場の背番号8番はアンカーの位置で、見慣れた仕事場を任されていた。職人技でいくつかのボールを奪い、そして幾度となく良質のパスを前線に送っていた。足下のコンディションが悪いにも関わらず、ペース配分が良かったのか、後半の最後までスプリントの勢いが落ちることがなかったことが印象深かった。

 ただしどうしてもチームの連携がまだまだ発展途上の雰囲気で、可能性の低い前線へのロングボールと、ぎこちない展開ばかりでシュートチャンスが作れない。前半は耐えたが、後半はミスもあって立て続けに3失点。

 愛媛の山奥(マチュピチュと呼ばれているらしい)で湯郷ベルの開幕を見守っているフィオリオ氏から随時LINEが入り、ベルも3失点して完敗したとのこと。4日後の日曜日には、この両チームで試合をするわけで、ますますやりにくい状況になった。

 雨と風、季節はずれの極寒、そしてこの遠すぎる距離感の果てに、負け試合後の出待ちは寒々とした気分でいた。思ったよりも早く選手たちが出てきてくれて、この長旅のなかで唯一の“見慣れた顔”をみつけ、手短にメッセージと差し入れを渡すと、「横断幕、ありがとうございました」の返事。雨風にさらされ続けた横断幕も私自身も、この言葉ですべて報われる。

 ・・・そして、そう、この言葉を聞くと、またここに来続けることを自分のなかで奮起せねばならないのである。それは自分自身にとって、ある意味での闘いなのである。大げさかもしれないが。

 果たして何回ここを訪れることになるのだろうか。それを予見するかのように、帰りに電話で呼んだタクシーの運転手は、たまたま行きと同じ人だった。
「あー! 京都のお客さん!」

鴨川から鴨川へ。不思議な魅力を湛えたフットボーラーを追いかける旅は今年も続いていく。

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2017年12月31日

横断幕と暮らす日々(その5)

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皇后戦2回戦は福井県の丸岡で行われることが決まっていて、湯郷ベルはINAC神戸と対戦することとなった。

今回は一人で前日のあいだに福井に向かった。夜にフィオリオ氏とMさんと現地で合流し、どこかで会食することになった。

あまりこだわりなく福井駅ちかくのビジネスホテルを適当に予約していたのだが、そこに歩いていく途中、大通りに「ホテルフジタ」という名前の大きいホテルがあることを知り、私は悔しくなった。もし知っていたらこっちを選ぶべきであった。見た目や立地で想像するに今回泊まるホテルよりもかなり高そうではあるが、それでもやはり意地でもホテルフジタをチョイスすべきだった。
もはやネタでしかないのだが、ネタにならない追っかけなんてありえるだろうか。いや、あるまい。

「しまったなぁ」と苦笑しつつ、ホテルフジタのある大通りから路地に曲がり、昼間は誰も歩いていない飲み屋街のようなところに入り、自分が泊まるホテルの並ぶ通りに出た。

そこで出会った光景がこれだった。

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「!!!」


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「のんちゃん」!?(笑)

ひとりその場で静かに笑い声をあげながら(←気持ち悪かったと思う)ホテルの前を通り過ぎ、私はこの小料理屋の前にたたずみ、一通り写真を撮って、完全に自己満足ではあるが、心の中でガッツポーズをしつつ、ホテルへチェックインした。

 

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そしてすみやかに「のんちゃん」の写真をメールでフィオリオ氏に送って、この奇跡的な巡り合わせについて報告した。そうしてやがて福井駅でフィオリオ氏らと合流したとき、フィオリオ氏は今日の宴席を「のんちゃん」で行うことを提案してくれた。

私はお酒をたしなむ趣味がなく、こういうときじゃないとなかなか一人では小料理店や居酒屋には入れないので、この提案はありがたかった。

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お店を切り盛りしているのは日本海の魚を黙々とさばく大将と、その奥さんとおぼしき組み合わせ。テレビではプロ野球の日本シリーズ。期待通りの雰囲気。

そして結論からいうと、酒好きのフィオリオ氏がいうには、この「のんちゃん」は今後も福井に来たときはぜひ再訪したいと絶賛するぐらい、非常に良い料理とお酒が楽しめるお店であったのだった。

さすが、のんちゃん!!
勝手に誇らしくなる。

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↑お通しにウニが。これだけで充分満足できた。

「のんちゃん」というお店で、のんちゃんの活躍を期待しつつ、ベルをめぐる様々な話をし尽くして、満足感のうちに店を出るときに、唯一「期待と違った」ことがあったとすれば、それは「のんちゃん」という店名の由来だった。

「のんちゃん」は、奥さんやお嬢さんとかのお名前ではなく、

大将のニックネームだとのこと。

 「このおじさんが、のんちゃん・・・」

 や、まぁ、それもアリなんだが(笑)。

 奥さんも、

「さっきからお客さんたちが『のんちゃん、のんちゃん』って言うので・・・」

と、相手もいろいろと我々のトークが気になっていたご様子(笑)。

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ともあれ、皆さま福井にお越しの際はぜひ「のんちゃん」へ

そしてまた結論から述べると、この福井遠征において数少ないポジティブな想い出がこの「のんちゃん」での夜だったわけで、翌朝向かった丸岡スポーツランドサッカー場において、のんちゃんも先発した湯郷ベルは0―5でINAC神戸に大敗した。

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特に最初の失点が、「あれ? 入ってないんじゃないの!?」と観る者を動揺させるような不思議なゴールであり、目の前でそれを見ていたベルの選手たちにとってはおおいに動揺をもたらすものだったであろう。それゆえに非常に難しい入り方を求められた試合となった。その影響が前半のあいだ重たい影となりつづけて5失点につながった感じであった。後半だけをみればスコアレスで耐え忍んだわけで、なんとも最初の1点目が悔やまれる試合であった。

そして(前回の大嵐の五色台の試合を思うとなおさらに感慨深いことに)久しぶりにのんちゃんのプレーがフルタイム観られたことに一定の満足感があったものの、出待ちをしながら「あぁ、また負け試合の後に会うことになるなぁ」と、そのことばかりが気になってしまっていた。

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真剣に闘ったぶん、負けた試合・・・ましてやこの日のような徹底的な敗戦を喫したあとに、笑顔をつくってファンに応対できるような気分ではないし、その心情が素直に表に出てしまうのもまた彼女の真摯な人柄を映し出していると思う。

なので言葉をかけるのもいろいろと悩んだが、おつかれさまでした、身体気をつけてください、ということだけを述べて差し入れを渡した。
これで福井の話は終わり。

オチとしては・・・「のんちゃん」の箸袋に、明日本人に会ったらサインをもらうと意気込んでいたのは、きっと梅酒を飲み過ぎていたから・・・としておこう。

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(というわけで来年もこのブログをよろしくおねがいします。)

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