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2004.04.11

NewOrder "BBC: The John Peel Sessions"

長年親しんだ電気店の閉店セールで、棚の一番端で見つけた、ニューオーダーのレア音源集。棚の端っこで窮屈にしていた感じが、まさにこのバンドの「それっぽさ」を感じさせて、よけいにグッとくるのであった。そして日本語のライナーノーツにより、この盤に収められている1981年、1982年のBBCでのセッションが、イアン・カーティスの死を乗り越えて、バンドが「ジョイ・ディビジョン」から「ニューオーダー」へと彼らが変化していくプロセスにおいて重要であったことが強調される。だからどうしてもリスナーとしては、そういう気持ちで聴いてしまわざるを得ない。たしかに81年の音は、ジョイ・ディビジョンの次回作アルバムに入っていたであろうという「幻」を連想させ、重苦しく切ないし、82年の音になると、そんな彼らがイアン・カーティスの幻影からなんとしても抜け出そうとする、怒りや希望や苦しみの果てにつかみかけている「成長」をはっきりと感じさせてくれる。
それにしても、BBC関係におけるニューオーダーのライヴ音源作品のアートワークの素晴らしさは、私がニューオーダーの歴史に触れようとする上で重要な要因になっている。まさに音楽を聴いたときのイメージと、これらのビジュアル作品が、強烈に一致してくるからだ。この「The John Peel Sessions」や、「Radio 1 Live in Concert」、そしてジョイ・ディビジョン時代の「The Complete BBC Recording」は、テレビ画面のノイズの中で浮かび上がるイアン・カーティスの虚空を見つめるうつろな姿が、本当に、なんともいえない。

改めてこの盤、4曲目の「Dreams Never End」。ここでいう「Dream」は、ライナーでも言われているように、やはり「悪夢」以外の何ものでもないのだろうけど、この爽快感と虚脱感が共存した、なんとも言い難い絶妙のラインを、ヤケクソ気味のボーカルと、弱っちぃギターと、密やかに熱いグルーヴ感でたどたどしくもなぞり続けていく、そんなピュアな曲が後にファーストアルバムの最初の曲に選ばれたことが、実はものすごく重要なことだったのではないかと感じさせる。この無防備なまでの透明感と、果てることのない憂い、そしてマンチェスターの灰色の空。彼らにしか与えられていない宿命は、ニューオーダーにしか作れない独特の音となってその存在感を放っている。

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