「系」
友人のUが先日、夜の書店で聴いた会話らしいが、女の子の3人組が「今からカラオケに行こう」ということになり、ほかに参加者を募るべく携帯で連絡をとっていた、と。そしておそらく車を持っている人を誘おうと電話をしていたところ、その子たちはこんなふうに言ったというのだ。
「私ら、今からカラオケ行きたい系なんやけどー、」
友人Uは思わず笑っていたらしい。たしかに。
でもこれは、最近自分でもよく使う「僕的には、ファミレスがいい」とかいうときの「僕的」とよく似ている、と思う。友人Uに言わせると「『僕はファミレスがいい』って言ったらええやんけ!」「『私ら、カラオケに行きたいねんけど』でええやろ!」とのこと。まぁ、そうだけど、そうなんだけど、やっぱり自信を持ちにくいのである、自分の発言ってやつに。とくに集団に対して、自分の意向を述べるときは。それに「的」とか「系」というのは、「自分だけじゃない、同類がいる」という感覚がある。だからたとえカラオケに誘って、車を出してもらうという図々しいお願いが拒否されても、自分自身を拒否されたように思いたくない、ある種の防衛のためにも、ここで使われる「系」は、絶妙である。
だからなんだか「~系」というのは、なるほど便利かもしれないと思った。そしてもしかしたら僕らの知らない間に、すでに若者たちは普通に使っているのかもしれない。たとえば、飲み会の二次会が終わった直後、店の前でたむろっているというシチュエーションで。
「私たちカラオケ行きたい系!」「僕らボーリング行きたい系~」
「僕、サッカー中継観たいし、今から帰る系。」
こうしてスラングは作られていくんだろう。
Comments