フロンティアスピリッツ
そろそろ5月になると、母校の高校の同窓会総会を手伝う季節になるので、一ヶ月ばかりは「愛校心」みたいなものが桜のようにほんのり色づく。幸運なことに、多くの仲間が毎年この時期母校に帰ってきては、一日限りの文化祭気分でガヤガヤと作業をともにして、再会を愉しめるのである。
そんな愛すべき母校の建学精神に、「フロンティアスピリッツ」というものがある。なぜかコロンブスのサンタ・マリア号になぞらえたバッジを制服につける規則になっていたり、なぜか講堂のどん帳には、でかでかとサンタマリア号の船の絵が刺繍されていたりする。でもいったい誰にとっての開拓者精神であり、いったい何を開拓してきたんだろうか、コロンブスって本当に尊敬に値するのだろうかとかいう疑問を一笑に付すぐらいの、異様な説得力と存在感でもって、確実にワタシの脳裏には「フロンティア・スピリッツ」という言葉が(多少の含み笑いとともに)刻まれ、今日に至っている。そしてなんだかんだ現在の私自身が「いばらの道フリーク」、もしくはダグラス・クープランド風にいう「負け犬症」(注1)みたいになっているのも、きっと「フロンティアスピリッツ」のせいではないかと訝しがっている。
・・・と、ここまで書いて、しばらく恍惚状態で昔を振り返り、あれこれ思い出したり考えたりしていた。
自分にとってなんで「フロンティアスピリッツ」がそんなに「ツボ」だったのか、とかとか・・・
(きっと、横文字の響きの妙味にヤラれたのかもしれない。スピリッツですよ、スピリッツ。漫画誌の名前みたいだし。フロンティアだって、今の時代なら私が真っ先に思い浮かべるのは、なんといっても『宇部フロンティア大学』だよな~ 笑)
で、なんだかんだ考えたあとに思う。
それでも、誰もやってないことをやろうという根性は、大事だな、と。
きっとそれはフロンティアスピリッツなんだろう。いまさら気づいた。ありがとう母校。
「HOWE」の創刊号を作ったとき、もっとたくさん印刷して校内で配るぐらいのことをすべきだったんだな。きっと・・・
(注1)「負け犬症」・・・特定の状況で、ほぼ例外なく負け犬の側についてしまう傾向。この特性が消費者として表れると、あまり売れていない、あるいは“悲しい”、あるいは欠点のある商品を購入してしまう。「こういうウィンナ・ソーセージなんて心臓麻痺に一直線なのはわかってるけど、他のヤッピー食料品と並べられてるのを見たら、あんまり悲しげで、つい買わないわけにはいかなかったのよ」
【ダグラス・クープランド著 『ジェネレーションX』(1991) 角川文庫版、p219より引用】
Comments
そういう時期が来ましたね。
僕にとっても、あの「フロンティア・スピリッツ」って建学の精神は、とってもツボでした。漢字では「開拓者精神」ではなく「開拓者魂」って書くところも、とってもソウルフルです。
ただ、僕にとって「フロンティア」と言えばかつて福井謙一先生がノーベル化学賞を受賞した「フロンティア電子軌道論」ですが(笑)。
あと、捨石もお忘れなく。
Posted by: あんとら | 2005.05.01 00:10
コメントありがとうございます~
実は「捨石」のことは、次回のネタにしようと思っていて(笑)
しかし「開拓者魂」だったのですか。なんか新鮮な響きがあります。「開拓者精神」って言ってませんでした?ずっとそのフレーズで頭に刻まれてます。
Posted by: タテーシ | 2005.05.02 00:52