『世にも美しい数学入門』 藤原正彦/小川洋子
数学者・藤原正彦と作家・小川洋子の対談集。
先日ミカ・フィオリオ氏に教わって、さっそく読んでみた。
感想としては、もしこういう話をもっと若いときに聞いていれば、数学に対する「構え」というのが、変わっていたんだろうなぁ、と。・・・・もおおおおおおおうう、すんげー面白い話ばっかりでやんの!!!
びっくりしました。正直。
「純粋数学」って、まったく世の中の役に立たないんですね。
どうしても数学って、「正しいか間違っているか」、ひいては「理解できるかできないか」、つまり「賢いかバカか」みたいな二分法の世界観ばかりを突きつけられるイメージで、言うまでもなく私は苦手だったのですが、この本を読み終えて「美しいかどうか」という判断が数学においても可能であることを知り、なんて素敵な世界だったんだ、と驚くばかりです。もっと早くその世界の美しさ(ひいては、そう、結局は、自分自身がずっと生きてきた世界をまるごとね)に気づくべきだったなぁ、と。
数学という理知的な領域に挑む藤原先生が、ある種の「神秘」に何度も言及するあたり、正直スリリングです。たとえばこんな感じ。
藤原 神様は何かを隠しています。そういう深い信仰がないと・・・
小川 神様がいるということから、まず信じないと、先へ進めないわけですね。
藤原 どんな神様でもいいから、神様に感謝しながら、神様の懐を少し見せていただくということです・・・
いやぁ、すごい。個人的に、「神様に感謝しながら」という箇所がグッときます。
この本、ちくまプリマー新書の011番、今年出たばかりですが、ひさしぶりに「いろんな人に勧めたい新書」です。
あ、南伸坊の挿絵もいい味でてます。
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