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2005.08.09

『道は開ける』をひたすら読む 第19章

第5部 悩みを完全に克服する方法
第19章 「私の両親はいかにして悩みを克服したか」

この第5部は、この第19章のみで構成されていて、ちょっと妙だ。
カーネギーの拠るキリスト教の影響が色濃く反映されている章である。
「悩みを完全に克服」ということで、冒頭で挙げられているのはカーネギーの両親の泣けるエピソードであるのだが、どんなに困難な状況にあっても、彼らは「祈り」を忘れなかったという。

そこで、信仰がある人もない人も、祈りによる実用的な効用があるのではないかとカーネギーは説く。
その3点として、
1.祈ることで、自分が何に悩んでいるのか、言葉ではっきり表現することができる。すでに第4章で述べたように、実体があいまいなうちは、問題に対処できないのである。
2.個人的な悩みの重荷を、誰かと分担しているような感じを与える。
3.少なくとも、「何らかの行動を起こしている」わけだから、その積極性は何らかのエネルギーとなる。

ところで、なぜか「祈り」というイメージには、なんとなく女性の修道女がキリストの像の前でひざまずいているイメージを想起させる。カーネギーもそのへんに言及していて、「世間には宗教を婦人、子ども、説教者のためのものとみなしている人々がいる。彼らは自力で戦い抜くことのできる『男らしい男』であることを自慢しているのだ」といい、その誤ったイメージを覆すべく、いかに世界的に有名な「男らしい男」が、「祈り」を重視して、窮地を生き抜いてきたかをこれでもかと列挙しているのがおもしろい。

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