郵政より「共謀罪」のこと
今日の京都新聞にもちょっと載っていたので、「ついにきたか」と思う。
下は河北新報のネットニュースより。
「特別国会で共謀罪成立期す 反対論依然根強く」
政府、与党は重大犯罪について、実行されなくても謀議に加わるだけで処罰可能とする「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法などの改正案を21日召集の特別国会にあらためて提出、成立を期す。
改正案は2003年の通常国会に提出されたが、野党や市民団体が「共謀罪の要件が分かりにくく、適用対象が犯罪集団に限定される保証はない」と強く反発。継続審議や廃案を繰り返し、今年6月に衆院法務委員会でようやく審議入りしたものの、衆院解散に伴い、廃案となった。
特別国会には、同じ内容の法案が提出されるが、反対意見は依然根強く、与党側からも「国民の理解を深めるため時間をかけるべきだ」との指摘がある。ただ与党が衆院定数の3分の2を上回る議席を得たことで、どのような審議日程を組むかも焦点となる。 2005年09月17日土曜日
共謀罪については、自由法曹団のホームページのがわかりやすいと思うので。こちらをぜひ。
1年ほど前から、私はこの「共謀罪」が審議されていることを知って、なんだかなぁという思いで過ごしていたわけである。
で、ちょっと前に、このブログで、チャゲ&アスカの「YAH YAH YAH」の歌詞について書いたことがあるのだが、実はこの記事を書いた理由は、「共謀罪」について関連させようと思ったからであった。(ただ、そのときは、まだちょっと時期が違うかなと思ってやめたのであった)
つまり、この曲の歌詞のサビの部分、「傷つけられたら牙をむけ/自分を失くさぬために/今から一緒に/これから一緒に殴りに行こうか」 っていうのは、共謀罪が制定されたら、その歌詞内容の主体は違法行為であるとみなされる可能性があるんじゃないのか?(笑)ということである。
先ほどあげた自由法曹団のホームページの、最後らへんのところをよく読んでほしい。
人は時として「あいつさえ居なくなれば楽になるのに」と思うことがある。例えば、家庭内暴力が繰り返されるとき、会社や学校で陰湿なイジメに遭うとき、他の人と「あいつをやっつけちゃおう」等と相談しただけで殺人共謀罪が成立することになるのです。窃盗、詐欺、恐喝、強盗などの財産犯についても二人以上で相談(共謀)したら共謀罪が成立することになります。
ここで重要なポイントは、実際に実行に移さなくても、相談しただけで共謀罪の嫌疑がかけられるということなんですねぇ。
だから、冗談半分で「あいつをこんどシバいてやろうぜ」と二人以上で語り合ったとしても、それが「冗談では済まされない」という市民社会が、犯罪組織によるテロ対策の大義名分の下で現実のものになるということです。
で、個人的にもっと問題だと思うのは、なぜ、主要メディアは、ニュース番組などで、この「共謀罪」についてもっと大きく取り上げないのかということですね。いや、もちろん、たびたびメディアで紹介されたこともあるかもしれません。僕が見ていないだけかもしれません。
ただし、少なくとも、僕個人は、ずっとかねてより、郵政民営化とか改憲とか、それと同等、いやそれ以上に、この「共謀罪」について非常に不安な気分で一杯だったんですが、どうなんでしょうか。今回の選挙で、衆議院の3分の2の議席を与党に投じた有権者のうち、いったいどれぐらいの割合の人々が、この「共謀罪」が数年前から粘り強く国会で審議され続けていたことを知っていたんだろう? という疑問があるわけです。
Comments
私も同感です。郵政よりも、実は共謀罪の方が私達の生活に深く影響してくるんじゃないのかなと思っています。何年か前に、有事法制の報道の慌しい最中に、知らぬ間に労働基準法が改正されていたりと。
有事と労働、郵政と共謀罪、どちらが重要なのか私には天秤にかけることはできない。どっちも大事だと思う。でも、労働基準法とか共謀罪の方が確実に私達の日常にえぐりこんできそう気がします
あ、参考までに共謀罪について取り上げた「治安国家」拒否宣言-「共謀罪」がやってくる』をおすすめします
Posted by: たびがらす | 2005.09.19 01:40
共謀罪は、知っいたけどねえ。
テロと、日常における「いざこざ」はまったく別のものなので、そこは警察で判断してもらいたい。
これは訴える人が誰か、によっても別の解釈がなされたりするものでもあるし、真実を追究するときでも、困難な障害がたくさんあると思います。
しかし、「あいつしばこう」とか「あいつ殴りにいこう」という会話が普通に交わされる日本の国であってはいけないという気持ちもあります。
これは、もう共謀罪に関心のある議員が増えればすぐに法律改定が行われるでしょうし、時間もかからないか、と思いますが。
それよりも自分たちが常日頃、「言葉遣い」や「態度」に気をつければいい話であって。大阪にもいつテロがおこっても不思議ではない世の中なのですから、逆にこれぐらいの法律がなされててもおかしくないとも思います。あとは、しっかりとした判断で、後始末をしてもらいたい。
Posted by: かほり | 2005.09.19 08:58
付け加えれば、「日本の国がそれだけ秩序のない国になってきている」ということなんではないでしょうか。
秩序が保たれていれば、法律なんて必要ない。
法律がつくられるのは、乱れているから、としか思えない。
私たちの感覚では、日本人が日本でテロを起こすなんて考えにくい。
ですが今後、経済格差などが広がっていってしまうのであれば、それこそ予期しかなかったことも、行われてしまうのではないでしょうか。
必要以上の法律はいらないと思うけど、それを多くしているのは日本人そのものである。
共謀罪については、しっかり知らないので時間があればまた、勉強してみます。
情報、ありがとうございます。
Posted by: かほり | 2005.09.19 09:18
共謀罪は確かに恐ろしい。
それを推進する党を支持する日本人が恐ろしい。
Posted by: MSK | 2005.09.19 11:32
たびがらすさん>はじめまして。本のご紹介ありがとうございます。普段はそういう法律の話に疎いまんまで、ダラダラと日常を送っている人間なので、「共謀罪」は、本当に驚いたわけであります。
かほりさん>「テロと、日常における『いざこざ』はまったく別のものなので、そこは警察で判断してもらいたい」のはやまやまなんだけど、警察の判断力だけで何もかも決められていいのだろうか、と。先日のロンドンのテロの直後に、地下鉄に急ぐ無実の青年が、勘違いした警察に射殺された事件がありましたよね・・・
テロ撲滅のための警察自身が何よりテロ集団そのものじゃないか、とすら思える状況でした。いま日本のメディアは選挙騒動の影響で、パッタリこの件には触れていませんが。
MSKさん>この件も国連の条例に署名したから、制定せざるをえないんでしょうが、いずれにせよ怖いですよね。時期的には9・11テロの前の年だったというのも、なんともいえませんが・・・
Posted by: タテーシ | 2005.09.19 13:05
日本の場合は、銃を発砲できるのは限られてません?
ここはイギリスと比較するのは、どうかなと思います。
日本の警察、裁判所をいろいろな意味で私は信用しています。他国に比べると、健全だと思います。
テロを未然に防ぐことと、共謀罪がイコールだとしたら、それは必要です。
しかし、そのような法律があることを無知な私たちに事前に説明、公開することは大切だと。
それ以上の細かい「いざこざ」になると法律の文面ではかけないのですから、私にとってはそこまで大きく取り上げなければいけないのだろうか、という疑問を感じますが。
Posted by: かほり | 2005.09.19 16:25
一言でいえば、
「火のないところに煙は立たぬ。」
Posted by: かほり | 2005.09.19 17:31
タテーシさん>
誤解がないように書いておきますね。
国連が求めてる内容とは少し違うはずです。
そんな内容にしたのは誰?ということです。
Posted by: MSK | 2005.09.19 23:09
何より怖いのは、テロ対策という大義名分で、今後さらにありえない条件下でつかまってしまう可能性が高まっていくことなんですよね。
そして、確かに国連が求めている内容とは違うような感じですね。で、本当に本当に怖いのは、2000年に条例ができた直後、その条例の取り締まり対象にとびっきりうってつけの相手が、9・11を機にブレイクしたっていうのに、その「盛り上がり」のなかで同じようにクローズアップされるはずの「共謀罪」が、なぜこれほどまでお茶の間に紹介されることがなかったんだろう?? ということかな、と。
Posted by: タテーシ | 2005.09.20 21:17
何故紹介されないか…そこのところをもう少し具体的に。(笑)
Posted by: MSK | 2005.09.20 21:57
何故なんだろうね??(笑) わかんないです(笑)
Posted by: タテーシ | 2005.09.20 22:27