『今からでも間に合う大人のための才能開花術』
前回のハウ15号のGTR版でも紹介したのだが、ここ数年読んだ本のなかでも特段にグッときた自己啓発本であるジュリア・キャメロンの『ずっとやりたかったことを、やりなさい』(サンマーク出版、2001年)が、なぜか最近になって、版元がヴィレッジブックスという会社にかわり、翻訳も新しくなって、邦題もかわって『今からでも間に合う大人のための才能開花術』 として発売されているらしい。
私はまだ新しいバージョンを書店で見かけていないのだが、
アマゾンのレビューでは「翻訳が前より分かりやすくなった」とあって、そんなに前の版は分かりにくかったのだろうか、と思ってしまう。
もしこのブログがアフェリエイトに参加していたら、ここからリンクを貼って紹介したいぐらい、この本はなかなか痛快だ。
前にも書いたとおり、この本は特にアーティスティックな活動をしたい、でもいろいろ理由をつけて「できないです」、という人に向けて書かれた「アーティストに特化した自己啓発本」である。
自己啓発本というのは、そこに書いてあることが真実か嘘っぱちかはどうでもよくって、読んだ人をエンパワーメント、勇気付けてしまえれば、十分価値のあるものだと思う。
そしてこの本はまさに、「アーティストの魂を勇気付ける」ことにのみ最大限の努力を投入している。あの手この手で、いろいろな理屈をもって、「さぁ、描け! 歌え! 踊れ! 書け!」となるわけだ。で、ひるがえってこの本のメッセージが行き着く先は、アートをつくる人だけに限らない奥行きをもっている。まさに「やりたいことをやる」ための勇気を与えてくれる、ある種パンク精神に満ちた本だ。
「しかし、常識を私たちに注ぎ込むのは、地上の父親、母親、教会、教師、友人であって、創造主では決してない。創造性は良識的ではないし、これまでも良識的であったためしはない。どうして創造性が良識的でなければならないのだろう? どうしてあなたは良識的でなければならないのだろう? 自分を殺してするつらい仕事になんらかの徳があると、あなたはまだ考えているのだろうか? そうではなく、もしアートを実践したいのなら、何かを作るのがいちばん手っ取り早い。」
Comments
そうか、ついついアートの精神というのは芸術家にしかできない特別な「領域」の範疇のもののような存在であると無意識的にも固定化してしまうけれども、生きることがアートだとしたらそれは新しい発見かもしれない。
アートな人生って、各々が創り上げていくことなんだから誰だってやろうと思えば出来るのかもしれないな。
まあ、そこには規範が必ずまとわりつくから、楽しくかつ賢く生きるためには、常に規範とアート精神を維持することを心がけなきゃな。
Posted by: かほり | 2005.12.10 10:48
そうです、僕は昔から「アート・オブ・ライフ」っていう言葉が好きで、重視してきました。
普段の生活の仕方の中に現われるアート的側面というのも、大切にしたいなと思います。
Posted by: タテーシ | 2005.12.10 19:35