カービッシュリー監督退団によせて
サッカーネタが続くが、今日になって、わたしはチャールトンのアラン・カービッシュリー監督が退団するニュースを知り、ちょっと哀しみにくれてみたりする。
昨日のチェルシーの優勝はめでたいが、一方で、チャールトンというチームも私にとっては心情的にサポートしたいクラブなのである。それもひとえに、このカービッシュリー監督が15年間もこのチームを指揮していたことにもよる。こんなにもひとつのクラブで長いあいだ監督ができたというのも、選手やサポーター、フロントとの厚い信頼関係と友好関係のたまものであり、「予算がなくても、ひたすら毎年トップリーグの真ん中ぐらいの順位におさまる、安定した中堅チーム」を作り上げてきた功績ははかりしれない。
そう、じつは世界中のサッカークラブの「お手本」として、このチャールトン・アスレチックFCというチームは地味ながらも注目されている。少ない予算でも、工夫とやりくりで安定した戦力を維持し、無理のない経営をはかり、地元に根付き、なにより監督に長い時間チームを任せる、その信頼関係あふれる体制づくり・・・考えてみたら、これって最高のサッカークラブのありかたかもしれない。そしてそんなクラブの重要なピースであったのが、やはりカービッシュリー監督だったわけだ。
ただ、いつかはこういう日も来るのだろう。次のステップはどうなるのか。チャールトンの新しい挑戦にも注目したい。
なんせ、このチームのスタジアムの名前は、「ザ・バリー the valley」という。「ザ・谷」である。その由来は、かつてサポーターたちがクラブの存続のために、地面に穴を掘って、そこをスタジアムとした(=掘り起こした土を脇に積むことで、スタジアムが谷のように見えた)という驚異の歴史を、その名前に刻んでいるからだ。そういう「魂」の伝承が、なによりも、このクラブの宝であり、その精神はカービッシュリー後のチャールトンにも引き継がれていくと信じたい。
あとついでに付け加えると、「規模が小さくても、予算が少なくても、毎年トップリーグに留まり続けられるサッカークラブ」としてのチャールトンのありかたは、おおよそ、その他あらゆる分野における諸々の組織体を考えるうえでも、非常に示唆に富んでいる、わけだ。
・・・やはり「信頼関係」っていうのは、ひとつのキーなんだろうな、と。
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