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2006.09.29

全人類的な速さ

想像してみてほしい。
目の前に、小学生のピッチャーがいて、下手投げでゆるいボールをこちらに向かって投げてきた。

きっと、あなたはバットでその球を打ち返すことができるはずだ。
一回目はだめでも、何回かトライすれば、そこそこヒットぐらいは連発して打てるだろう。

そして次に現れるピッチャーは、中学生だ。
普通に投げてきたら、かなり速いボールを放ってくるだろう。
人によっては、まったくバットに当たらないかもしれない。

そこで、
もしたとえば、あなたがすでに高校野球の選手ぐらいのレベルだったとして、
同じ高校生の全力投球を10回投げてもらったら、そのうち1、2回は綺麗に打ち返すことができるかもしれない。

そのうえで、今度はプロの選手がやってきたとしよう。
たとえば、速球で有名な、阪神の藤川とか横浜のクルーンが投げてきたとする。
たぶん、手も足もでないかもしれない。
でもたまに、ひょっとしたら、バットに当てることができるかもしれない。

で、仮にそんなプロ選手の速球に毎日ずっと挑戦できるような状況に置かれて練習をつんでいけば、
ひょっとしたら、いつかはプロの球を10回のうち2,3回ヒットにすることもできるかもしれない。

このさらに上の選手・・・となると、メジャーリーグの選手を呼んでくることになるのかもしれないが、それでもすでに、藤川やクルーンの速球に対応できれば、メジャーリーグの投手の球でも、そんなに過剰にビビることはないだろう。

ということで、何がいいたいかというと、このへんで、「プロの球のスピード」というのが、いわば「全人類的に限界に近いスピード」として捉えることができるわけで、「もはやこれ以上、球のスピードは、地球上でそんなに速くなることはない」という点が確実にあるのだ。

当たり前といえば当たり前なのだが。

で、
このことを、「外国語の聞き取り」という点に置き換えてみたいのだ。

つまり、ネイティブの日常生活のトークをひたすら聴くことにおいては、「全人類的には、これ以上喋るスピードは速まらないだろう」と捉えて聴き続けることが、けっこう大切なことではないかと思うのである。
すると、ちょっとした「安心感」も生じてこないだろうか。
何せ、これ以上スピードは上がらないのである。このスピードに先に慣れてしまえば、どんなトークのスピードでも対応できる。プロの球を打ち返せるようになれば、中学生の投げるボールはかなりの確率でヒットにできるだろう。
もし、自分のお手本とするネイティブの話者が、漫才師の宮川花子みたいな喋りをする場合だったら、それは「運が悪かった」としか言いようがないが、たいていの場合、「人類的に限界点のスピード」があるのだから、最初からそこに的を絞ることが大事なんじゃないか、と最近痛感しているのである。

なので、わけが分からないままに、ネイティブのスピードで外国語を聞き続けてもいいんじゃないだろうか。そういう意味においては。
どうしても、「外国語の習得」という「学習」において、「段階的」というか、線的な思想・思考のうえにおいて、「上には上がある」的な捉え方にハマってしまいがちだが、しかしいったい、言語の習得がどうして「学習」の枠組みだけで捉えられることを僕らは必然のように思うのか、という点を指摘したい。

「基礎が大事だ」というのは、当然すぎるぐらい大切なのも分かるのだが、私にとって本当に必要だった「学び」というのは、その「基礎が大事だ」といったものを「信じすぎないようにするための智恵」をいかにヒネリだすか、またそれによる結果や影響をいかに自分で引き受けていくか、といった「やりくり」の問題だったなぁ、とつくづく痛感している。

もし私が上記のようなことを、もっと昔に気づいていれば、外国語の習得がより楽しめただろうなと思うのである。

学校とか、勉強とか、教育とか、実は、本当はどーだっていいやんけ、といえる領域があってしかるべきだ(不要だとか、ムダとかいう意味じゃないからね)。

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Comments

その「基礎」に偏執狂的にこだわらずにいられない私からすれば、耳の痛い話ですw

Posted by: クリス | 2006.09.30 at 23:15

その論理って、「辛さ」にも「痛さ」にも、その他多くのことに共通するんだなぁ~とか思った単純な私。そっか。ハバネロを食べれば・・・そんでもって出産を経験すれば・・・?

Posted by: onoyo | 2006.10.01 at 21:01

偏執狂的に基礎をおいかける、というのは、ある意味すごいことではないかと(笑)>クリス

そうですよね、何でもいえるかもしれません、結局のところ(笑)>onoyo

Posted by: HOWE | 2006.10.01 at 21:33

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