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2007.06.07

やる気のある人とやる気のない人との関係について

私なりのリアクションを書いてみる。

いろんな社会における「グループ」で、意欲のある人と意欲のない人がいて、
意欲のある人はしばしば意欲のない人たちの存在に足をひっぱられがちになる。
こういう状況においては、
いろんなリアクションが考えられるし、
おそらくいろんな解決策もあるんだろうけど、
この問題は、なかなかやっかいで、むずかしく思えてくる。

で、最近わたしは、そういう状況において、
「信じている宗教が違うんだ」と思うようにしている。
あえてここで「宗教」というコトバを使ってみる。
もはや、お互い、信じている思想が異なっているんだと認めようとする。
そうすると、「なぜ外国の一部の国々では、宗教の違いだけであそこまで争うのか」という、日本人である私にはそれまで理解しがたかった彼らの心情も、ちょっとだけ自分のこととしてリアルに共感できる瞬間がある。
つまり、ストレートにいうと、「ぶちのめしたくなるぐらい、ムカつく」のである。そう、はっきり言うとそうなる。
「あぁ、この感覚が、古来から繰り返されてきた、宗教的対立の心情なのかもしれない」と、(バーチャルな感覚でしかないのだろうけど)そこを言語化できたときに、はじめて宗教対立の根深さを思い知った。
相手を自分たちの価値観に適合させようと努力することは、結局は「改宗」を迫っているんだな、と。「あー、そりゃ無理な話だわ」と。だって自分も改宗したくない。そしてそれでも改宗させようとする、その「暴力性」が、古来からつづく大量殺戮だったり、ビルを崩壊させたり、いろいろなエネルギーの源となってしまっているのか、と。
なので、私にとっては「宗教が違うから」という捉え方は、なんとなく「怒りの治めどころ」としては、ちょっとだけ有効であった。

で、そのうえで「宗教が違うもの同士、いかにうまくやっていくか」という次のステップを考えていかざるをえない。

ちなみにここでいつも思い出されるのは、例によってロックバンドU2のボーカルのボノのことだ。
彼の両親は宗教対立の根深いアイルランドという国にありながら、お互いが宗教のことなるカップルとして、ボノを生んだ。そしてボノが幼いうちに母親は逝去し、「宗教の壁をのりこえてひとつになったアイルランドを見ずに亡くなってしまった母親」というモチーフは、ボノにとって大きいテーマとなる。
なので、U2がロックンロールを奏でる、その根本にあるものは、まさに「異なる宗教のあいだで引き裂かれている祖国や世界に対して、異なる宗教の愛によって生まれてきた自分はどこまで歌い続けること=呼びかけることができるか」という切実な、命がけの問いかけなのだ。
なので、「宗教が異なるもの同士、うまくやっていくため」には、ボノはとにかく「ひたすらロックする、ひたすら歌い続ける、あらゆる人との対話を続ける」という闘いを続け、「いつか統一されたアイルランドがみたい」と公言し、暴力の連鎖に真っ向から反対し、ステージ上で白い旗を振り回してきたのだ。
「それでも自分は歌う」と、そういう選択をとれるように、「勇気ある自覚」が、必要なんだろうな、と。
決してそれで世界が安定するわけではないのだけど、少なくとも「行動しつづける自分」は、失っていない。

ましてや、「自分の信じている宗教は、だめなんじゃないか」とか思う必要は、ぜったいに、ない。

なので、日々いろんなシーンで「宗教の異なる人々」のなかで生きていく僕たちのなかに、「それでも自分は自分の好きな歌を歌う」という気概を失わないような、そういうエネルギーだけはキープしておきたい。
「自分が何者であるかを自分で定義する、“自己定義権”」を自覚しておきたい。

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それ以上に私が目指したいのは、「なんでも最終的には笑いのネタにする」という感覚。これはめざしたいところだが、むずかしい。本当はよく考えたら笑えるはずなんだけどなぁ、と。でもむずかしい。最近不機嫌な顔ばかりしている自分がいる。それは認める。不機嫌ですまない。

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Comments

私も「宗教」に入っています。
デジカメのバッテリーは乾電池教です。
日々、人々の改宗に勤しんでおります。

Posted by: MSK | 2007.06.08 11:50

MSK>たしかに、その宗教なら僕も入っているわ。君が布教してくれたN先生のあのデジカメ、最近修理に出して、初期不良部分を交換してもらいましたし(笑)

Posted by: HOWE | 2007.06.08 22:52

自分の主張が少し危険な位置にあるな、と確かに感じていました。
まさに布教活動なんですよね。

HOWEさんの日記を読んでいたら、『憲法九条を世界遺産に』の本を思い出しました。
太田光と中沢新一が同じことを言っていましたよ!

笑いでぬるく俯瞰できたら、本当に一番クールです…!
理想だ。

Posted by: のん | 2007.06.09 00:21

うっきゃり>でもその熱い訴えは、支持します。その熱さを大切にしてほしいですマジで。

Posted by: HOWE | 2007.06.10 00:53

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