たぶん、あれは奇跡だったんだろう
小学校の5年生か6年生のとき、体育館でクラスメートたちとバスケットボールをしていたときのこと。
普段は体育館でバスケットボールをするような機会は少なかったはずなので、そのときは体育の授業だったのか、それとも何かの余興の一環だったのかは定かではない。いずれにせよ、なんとなく「ふざけたこと」が許容されていた状況のなかでバスケットをやっていたような記憶がある。
というのも、Nくんという男の子が、まさに「おふざけ」のように、冗談半分で、自分にボールが渡ると、目指すべきゴールに背を向けて「えーい!」と、両手を使ってボールを後ろ向きに遠投したのである。
するとボールは、きれいな放物線を描いて、ゴールにすっぽり入ったのである。
そのあとの記憶は残っていない。僕は、笑いながらボールを後ろ向きに投げたときのNくんの表情だけを覚えている。
きっと、その場にいたみんなは、たいそう驚いたことだと思う。「すげー!」とか何とか言いながら。
今でこそ、この記憶をふりかえると、それは子ども時代には興味を持たなかったであろう要因、つまり「確率と偶然の関係性」に考えが及び、そのシーンがいかに奇跡的なものであったかを思い知るのである。と同時に、そういう要因のことなどは考えもせず、ただ無邪気に後ろ向きでボールを投げ、そしてゴールに入ったことを喜んでいたりする、その子どもらしさというのも、また微笑ましく感じてしまう。
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Comments
そのNくんはオレだな。
Posted by: ヒロポン | 2008.01.20 23:26
ヒロポン>お、ここにも成功者がひとり?
Posted by: HOWE | 2008.01.20 23:30