辻信一『カルチャー・クリエイティブ』
カルチャー・クリエイティブ―新しい世界をつくる52人 (ソトコト新書 7)
木楽舎、2007年
先に述べておきたいのは、「内容」は、非常にすばらしい。
たくさんの人に読んでもらいたいことが書いてある。
ただ、「惜しい!」と思うのは、その編集スタイルである。
「スローライフ」について書かれているはずの本が、「反スローライフ的」に編集されてしまっている、この皮肉がなんとも惜しいのである。
(雑誌『ソトコト』の連載をまとめた内容なので、しょうがない部分もあるのだろうけれど)ここに登場するさまざまな人々との対話の内容が、あまりにも面白くて興味深いテーマなのであるが、「詰め込みすぎ」なので、読んでいると息苦しい感じになってくる。
いうなれば「世界的アーティストの集う巨大ロックフェスを、カラオケボックスで実施したような本」なのである。
一人一人の登場人物はすごく多彩で、語る内容もじっくり考えさせるだけの面白さがあるのに、用意された部屋にギュウギュウに押し込まれてしまい、持ち時間のなかで「一人一曲しか歌えない」みたいな状況では、「もっと歌ってほしい!」というオーディエンスの欲求不満は高まるばかりだ。
次から次へとパフォーマーも変わるから、「読みながら考える」というヒマも与えられない。本当に、忙しない本に仕上がってしまっている。いったいどうして、こんな本に編集されてしまったのか。
なので、これほどまで「惜しい! もったいない!」と思った本はない。そして多々見られる誤植も切ない。
せっかく現代的意義のある、刺激的でステキなテーマを扱っている本なのに、著者および編集者は、もうちょっと「スロー、かつ愛のこもった仕事」を心がけてほしかったと、痛切に訴えたい。
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てなことを、アマゾンのカスタマーレビューで書いてみた。
最近は「愛のある仕事とは何か」というのを考えるのが、ちょっとした自分のクセみたいになってきているので、こういう本にはもっとがんばってほしい、という希望を込めつつ、星3つの評価にした。
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Comments
それはおしい!残念!
Posted by: キョコー | 2008.04.15 18:52
キョコー>そう、残念! でもどうにかがんばってたくさんの人に読んでほしい! と心から思う、心苦しい本(笑)
Posted by: HOWE | 2008.04.15 22:16