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2008.06.15

クンパルシータが

京都の老舗タンゴ純喫茶であるクンパルシータが、ついに存在しなくなった、とミクシィのコミュニティで話題になっている。
友人のウエビャーシ氏は、あのマダムに(なぜか)タンゴ愛好家として認識され、顔を覚えられていたほどの人物だったので、さっそくその旨を伝えさせていただく。彼も残念そうであった。
マダムはいま元気なのだろうか。

店に入って注文をしてコーヒーがテーブルに運ばれてくるまでの、いつもだいたい2時間ぐらいのあの長い待ち時間が、もう味わえないのかと思うと残念でならない。お冷の水が出てくるのに1時間。勝手を知らない一見さんの客が、動揺を通り越して怒って席を立つのも気に留めない。

私は一度だけミックスジュースを頼んでしまった・・・それはあの店において「間違い」なのであることをそのとき学んだ。だから、普段コーヒーを飲まない私でも、あの店では「間違えないように」ブレンドコーヒーを頼むのである。そうじゃないと、本当に取り返しのつかないことになる。こうして、私はスローライフとカフェが一緒くたに語られるたびに、クンパルシータのことを想起するのである。まさに、私はスローライフとは何かを、体感として学ばせてもらった気がする。

細かいことはすべて忘れていき、あの店で延々流れていたタンゴの曲たちもまったく記憶には残っていないが、一生分のタンゴを聴いたであろうあの空間における、ほのかに輝く黄色い電灯が、埃っぽい店の壁を照らす、あの光景はずっと憶えていると思う。

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Comments

最近、前を通りかかっても、いつも閉まっていて
どうしたのかと気になっていました。
嶽本野ばらさんの本で紹介されていて、どうしても行きたくて、
あの繁華街に意を決して一人で乗り込みました。
一度しか行ったことがないけど、
いつまでも記憶に残って語り継がれる店があるなら、
クンパルシータはまさにそういう店でした。
残念でなりません。

Posted by: こけし | 2008.06.16 at 00:32

こけし>そうですね、語り継いでいくことで、その存在は永らえていくんでしょう。語りたくなるお店でした。もしこのまま消えてしまうと、もったいないなぁと思います。

Posted by: HOWE | 2008.06.16 at 22:49

ほんとですかっっっっっ!!!!
つい最近、京都にあるカフェについての本で知って、行きたいと思っていたのに!!
HOWEさんの記事を見て、さらに行ってみたくなりました・・・残念。
私も、そんなカフェを開いてみたいな・・・。

Posted by: しおみず | 2008.06.16 at 23:25

しおみず>どんなに年をとっても、(どんなに動きがスローでも)、コーヒーの味は確実に美味しいし、タンゴについての愛情は冷めることがなく、あぁ、こういうふうに年をとっていけばいいのか! と思いました。何らかの形で、この店のことを覚えていてください!! ぜひ!!

Posted by: HOWE | 2008.06.17 at 22:28

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