君は稲尾和久か>上野投手
今夜の北京五輪はすごかった。女子サッカーにソフトボール。テレビに釘付けにさせる好試合が連発。
なでしこジャパンは惜しかった。実にいいサッカーをしていた。アーセナルのベンゲル監督に見せて「あなたもこういうサッカーが好きでしょう?」と訊けば、きっと「イエス」と答えてくれるような、まさに日本人が世界で戦うために追求すべきパス&ゴーのサッカーを展開していたように思う。
でももし本気で女子サッカーを強化したいのなら、まずはゴールキーパーの人材育成から、というのが私の持論だ。明らかにキーパーは競技人口が少ないわけで、そこから広げていきたいところだ。
ソフトボールもすごかった。上野投手の連投もさることながら、最終回のサードの守備も熱かった。でももっと熱かったのはNHKの解説の宇津木さん(元・代表監督)だった。当初から気になっていたが、もはや解説ではなく、ひたすら監督目線で「よし!」とか叫びまくりだったので、まるでサッカーにおける松木安太郎氏状態だった。でも松木安太郎のおかげで、そういう「監督目線の熱い解説」が、最近は違和感なくお茶の間で聞けてしまうようになったのも確かだ。そんな功績はいらないってか。
今日まであえて北京五輪のことは触れないでいたが、今夜のこれらの熱い試合を観てしまうと、書かずにはいられない。
すでに終わってしまったが、竹下ファンの私にとっては柳本ジャパンの女子バレーが最も熱かった。負けた試合はどれも悔しいが、あの小さいセッター・竹下と、もうひとり小さいリベロの佐野が世界の高さに怯むことなくガンガンひっかきまわしたり拾いまくったりする様は爽快であった。そこからブロードやらバックアタックやらをビシッと精緻に決めてくるあたり、「やー、これこそまさに技術立国・ニッポンの姿なんだよなぁー」と妙な悦に浸らせる、そんなチームだった。
柳本監督もいい。ここ一番というときにおける、タイムアウトをとるタイミングがグッときた。実況アナですら「まだタイムアウトをとらない!?」と言わしめるほどの、我々一般人には読めない独特の「間合いのはかり方」をもっている人であった。勝負師なんだな。
ただ、予選リーグの中国戦で(鳥取のホテルでずっと観ていた)、あの大量リードを一気にひっくり返された瞬間、何かが失われ、何かが狂ってしまった感じがする。信じがたい負けっぷりだった。あのときの「??」を持って帰って、次の「!!」につなげてほしい。あぁ、それは男子サッカーも一緒やね、本当に。
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ところで、「柳本ジャパン」といえば女子バレー、「星野ジャパン」といえば野球、「反町ジャパン」といえばポイズン、もとい男子サッカーなわけだが、女子サッカーの場合は前回大会から一般公募で「愛称」を募集したおかげで、すっかり「なでしこジャパン」というニックネームが定着した。これはこれで良い効果を生んでいると思うのだが、そのおかげで、どんなに監督ががんばっても、「監督の名前+ジャパン」では呼んでくれない宿命があることに気付いた。
・・・ちなみに、今回の女子サッカーの監督は、佐々木則夫さんという名前です。佐々木ジャパン、ドンマイ。
ついでに佐々木監督のことをネットでひくと、こんな記事が。
「ノリさん」の愛称で親しまれてきた。「構えていたら、聞こえてくることも聞こえない。監督になっても、雰囲気はコーチ時代とは大きく変えていない」。試合のハーフタイムでは、選手の緊張をほぐすためのジョークを挟むことも。「コーチ時代は若手担当で、いろいろとフランクに話をしていた。今でも練習中に3回はギャグで笑わせようと思っている」と冗談めかす。
うむ、貴重な人材。
「失敗を恐れずにどんどん仕掛けて攻めていく」という、日本サッカーにもっとも足りないとされているメンタリティを、オヤジギャグの波状攻撃を通して教えようとしているのだ。選手たちよ、その思いが通じているか。
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あと、もうひとつだけ五輪ネタを。
あまりこのことについて言われないのだが、
ええ、すっかり忘れていましたよ。
ひょっとしたら、いまのオリンピック、大阪でやっていたかもしれなかったことを。
だのに、さっそくロンドン五輪の次を「東京でやりましょう」とか言われてもなぁ。
北京→ロンドン→また北京の近所かよ、っていう。
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