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2009.10.13

おもいやり=慶大広告学研究会全裸疾走騒動を受けて

このあいだ、学生さん(と同僚と上司)の前で、「広報について」というテーマで話をさせてもらった。
7月にサテライトキャンパスで、「ポスターづくりの仕事を通して考えるDIY精神やパンク精神」のイベントで好き勝手喋らせてもらったが、今回はそれの「DIY抜き、パンク抜き」な話であった。つまり「ポスターづくりを通して」の部分だけを主に語らせてもらった。

私は広報を専門にしているわけではなく、ともかく普段の仕事で心がけていることを説明したわけだが、そのとき「広報とは、つきつめれば『他者への思いやり』ではないか」と論じた。受け手のことを思いやってこそ、広報コミュニケーションは成立するんじゃないのか、と。

そんなことを考えて、今日のインターネットのニュースをみると「慶大生が全裸で集団疾走」という報道があって、よくみたらこの騒ぎを起こした学生さんたちが「広告学研究会」というサークルのメンバーだということを知ったので、これはちょうど話のテーマ的に合致した騒動だなと思った。

広告とは何か、広報とは何か、コミュニケーションとは何かを彼らも身をもって学んで欲しいと願いつつ。

で、
広告・広報というのは「かっこよければいい」「目立てばいい」「インパクトがあればいい」のではなく、やはりそこには「他者への思いやり」があってほしいわけだ。彼らにはそこがわかっていないフシがある。
「夏の思い出のために」→「みんなで全裸で走ろう、それを記録しよう」
というのは、お分かりのとおり、ここには「他者への思いやり」なんてものが1ミリも入っていない。

だから、せめてもし、彼らが慶大広告学研究会を皮切りに、マスコミ/広告の業界に打って出ようと思うのであれば、その酒の席の盛り上がりの中でワンクッション思いとどまってほしかった。
そこで発想を転換してほしいのである。
たとえば、「自分たちが全裸で走る」のではなく、「全裸で走りたい人間を思いとどまらせるためには、どのような手段なりアイデアが考えられるか」を10パターンぐらい考える、とかいうことだ。そのほうがよっぽど夏の思い出になると思うし、アイデア発想の良い訓練になる。そんなアイデアはアメリカのFBIでさえも考え抜いたことがないはずで、おそらく人類史上初めてのアイデアを自分たちが提案できるチャンスかもしれないのだ。そして、その視点の中核には「他者への思いやり」が含まれている。

もちろん、そのためには全裸で走ろうとする人間をひたすら待ち構えなければならない。そういう人に出会う確率は人生においてほとんどないといってもいいかもしれない。でも、もしかしたらある日突然、東京の街中で全裸で走るバカ野郎が自分の目の前に現れるかもしれない。そのときとっさに、かつての夏の夜の飲み会の席でみんなで論じ合ったアノ秘策を試すことになるのだ。そういう万が一のときに備えて、今の間にできる議論を徹底的にやり尽くす。実は青春の素晴らしさって、そういう時間の使い方にあるんじゃないか・・・と、私は言いたい。
で、おそらくそういう経験を積み重ねた人、あるいはそういう経験の素晴らしさを知っている人っていうのは、どんな状況においても「なんとなく、強い」と思うのだ。単にその場のノリで騒いでやり過ごして、ソツなく器用に生きていくだけの人ではかなわない何かを持っていると思えるのだ。

ちなみに、
その議論の末に、「全裸で走ろうとする人間を、同じように全裸で併走して、思いとどまらせるように説得する」とかいうアイデアがでたら、望みどおり君達も全裸で街中を走ることができただろうに。

だんだん書いていて分からなくなってきた感があるが、とにかくそういうことを思った。

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Comments

以前、皇居のお堀を全裸で泳いだという事件があって、
その後、同様の犯行を防ぐための対策が
たぶん立案、マニアル化されていると想いたい。
走ってるより泳いでる方が捕まえにくかったらしいけど…。

Posted by: T氏 | 2009.10.13 23:48

そんな事件ありましたか…そうですね「全裸で走ることを思いとどまらせる」ということを実践できそうな場所を知っていますよ(笑)
 日常で「全裸+長靴+スクーター」という暴挙に出ている人に至っては、かれのワールドに一体何を訴えればいいのか?これを考えることこそ、広告としてひとつの醍醐味があるのではないでしょか?
 
 …ここまでいかないくらいの馬鹿な酒というのは学生の特権で、たしかにその場は楽しいのだけど、限度を知らねばなぁ。しかし若気のいたりで済みそうですな。
その場とパワーバランスにおいて、行動の限界を知ることは、社会と権力を学ぶ最も良い材料ではないかと思う。

 この辛さを知って、思いやりが生まれるだろね。

Posted by: usahana | 2009.10.13 23:54

T氏>そんなんあったんやね・・・たしかに泳がれるとつかまえるのも苦労です。

usahana>なるほど、場所の問題というのもありますね。どういう場所がそういう抑止力になるのか気になるところですが。

Posted by: HOWE | 2009.10.15 22:54

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