アマゾンのレビューみたいな記事になったが、最近読んだ本
『日本の「食」は安すぎる』 山本謙治・著 講談社
以前、食品偽装したミートホープの社長が、「消費者も悪い」と発言してたたかれていたが、著者は自身も含めてすべての消費者がその発言について考えなければならないと主張している。
農業流通のコーディネーターの立場から、「安くて品質がいいもの」を過度なまでに求めることがいかに現実的でないラインまで生産者を苦しめて、その結果消費者が求めていないような生産方法・保存方法を採用せざるを得ないかの実例が、いくつかの品目別ごとに紹介されている。
なのでキーワードとしては「買い支える」ということで、よい品質のものをちゃんとした価格で売っている食品をできる範囲で応援してほしいというメッセージが訴えられている。
というわけで、最近では買い物をするときに食品表示をちゃんと見ようとがんばっている。分からない表示があればネットで調べてみてもいる。こういう場合、最近のモバイル環境の向上で、買い物をしながら手元で食品表示をうまく読みこなせやすい状況にはなっているのかもしれない。そこに何らかの可能性を見いだしたい。
(そういえば、高校生の頃って吉野屋の牛丼って400円だったよな。なんで今こんなに安くなって、しかもさらに値下げ競争をしているのだか)
『ジャンボ機長の状況判断術』 坂井優基・著 PHP新書
奇しくも、さっきのニュースでポーランド大統領専用機墜落事故というのを知って驚いていたわけだが。
航空機のパイロットは安全のためにあらゆる工夫とルールに基づいて行動するわけだが、言うまでもなくそのメソッドは、われわれ一般人の日常生活にだって応用がきく。なのでいろんな危機管理系の本をこの機長さんは執筆しているようだ。
でもそこで語られていることの本質はいたってシンプルで、自分なりに解釈すれば「確認をしっかりとること」に尽きるわけだ。憶測で動いたり、あと人目を気にしたり、見栄をはったりするのではなく、「分からないことは分からないと認める」ことや、「常に自分の独断は間違っているという前提で、慎重に推測する」ということができれば、あらゆる危険は回避できるのではないかということだ。
個人的に改めて意識するようになったのは「空振りでいいから、念入りな対策をとる」という姿勢で、「やるにこしたことはない」というスタンスである。それが後々になってムダで過剰な防衛策だったとしても、何もしないよりかはしておいたほうが安全でしょ、ということだ。当たり前なのだが、普段の仕事とかではついつい忘れがちになる姿勢だと思う。飛行機の世界では、野球にたとえると「空振りはしてもいいが、見逃しはだめ」ということだ。
それと、何気なく重要なことが書かれているとすれば、日本人的なモノの決定プロセスとして「みんなの意見を聞いて、みんなの合意で決めました」的なやりかたが持つ危なさといったものへの指摘である。みんなの意見を聞いていくことは大事だとしても、最終的にはリーダーの立場の人が責任を取って決断しなければならず、飛行機では機長が副操縦士やその他スタッフの意見をしっかり聞きながら(意見が言いやすい雰囲気を作るのも大事)、それでも必ず最終決定は機長自身の責任のもとで下さなければならないことが述べられている。
あと、いままでは飛行機に乗るときに、客がすべて搭乗してから滑走路を離陸するまでに、むちゃくちゃ長い時間がかかってイライラすることもあったのだが、それはまったくもって正当な時間がかかっているのだと納得した(笑)。安全に飛ぶためにギリギリまで念入りな確認を要しているわけだな。
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Comments
すごいなぁ。
ジャンルを問わず読んでいるね。
Posted by: MSK | 2010.04.10 23:13
MSK>ただひたすら最近は、適当に選んで読んでいる感じですな。
Posted by: HOWE | 2010.04.11 22:43