『人が集まる!行列ができる! 講座、イベントの作り方』
仕事なり個人活動なりでイベントに関わる機会も多くなったが、そういうタイミングで先日いい本に出会って、「イベント」についての自分なりの考え方にこの数日影響を及ぼしている。
『人が集まる!行列ができる! 講座、イベントの作り方』
牟田静香、講談社+α新書 2007年
まったくの素人だった著者が、区役所の主催する公開講座の企画を担当するようになり、それまでの失敗例や成功例をあげながら、具体的に「講座・イベントのつくりかた」をアドバイスする本だ。
この本で強調されているポイントを2つあげるとすると、
(1)来て欲しい客のターゲットをしぼる
(2)イベントのタイトルを工夫する
という点に尽きる。
つまり、
「誰が来てもいいイベント」というのは「結局、誰も来ない」と断言している。
そしてタイトルも、「そのイベントタイトルをみて自分が客として行きたいかどうかを問うべき」とのこと。
この2点がこの本でもっとも強調されている。(まぁ、この本では主にカルチャー・教養講座系のイベントを主軸に置いているのであるが)
よいイベントというのは、「自分がいくべきイベントだ」と思わせることができるかどうか、ということだ。
そして主催者側の押しつけがましさを匂わせてもダメである。
そのほか、ダメなタイトルのパターンとして挙げられているケースが参考になる。
(1)法律、条例の文言をそのまま使う→「男女共同参画セミナー」とか。
(2)社会背景表現型 →「格差社会のゆくえ」とか。「だからどうした」といいたくなるような。
(3)疑問をなげかけるタイトル→「いまこの不況にどう立ち向かうのか?」っていうような。
(4)認知率の低い言葉、専門用語をつかう→「アサーション・トレーニング講座」とか。これはありがちな失敗。
(5)受講者の立場を否定するタイトル→「おやじ改造講座」など。これもよくやってしまいがち。
(6)レッツ系→「~しよう」みたいな。あぁ、そういうのあるある。
(7)受講することを、あまり人にはいえないタイトル→「DV被害者セミナー」とか。もしそれなら「DV支援者セミナ-」に変更すればいいというアドバイスは、なるほどと思う。
そして、「お、これは今まで思いつかなかった!」と唸った点を、以下メモ的に列挙。
・シニア層には縦書きデザインのチラシもウケる
・連続講座などの場合、前回の参加者の感想をチラシにいれると効果的
・チラシ折り込みで広報する場合、A3やA4サイズは埋もれるのでB4サイズがいいらしい
・往復ハガキの抽選の場合、はずれた場合でも、「そのほかの講座の案内」を印刷するなど、「もらってうれしいハガキ」にする工夫をこころがける。
・講師の知名度が低くても、肩書きのところで工夫する。「評判のカラーセラピスト」とか。
・受講者アンケートに「普通」の選択肢はいらない。良いか悪いかのどちらかできく。
・連続講座で「グループ討議・発表」など書いてしまい、手段を全面に出すのはだめ。何について話し合うのかを書くべきだし、なによりこれを読んで「勉強したことを発表させられるのか」と緊張してしまい、人が来なくなる。
といったところで、こういう本をベースに「素敵なイベントって何だろうかね」と話し合えたら面白いかもしれない。
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Comments
禁止事項が多すぎて、正解を見失いそうになりますが、自分のことにも関係ありそうなので気になります。
とりあえず、今後のことを見直してみます。
Posted by: mikihiko | 2010.04.01 23:39
mikihiko>まぁこの本はおもに講座系のイベントを対象にしているので、音楽系のイベントとなるとまた違ったアプローチが必要になってくるんでしょうね。それでも確かに参考になりそうな本かもしれません。
Posted by: HOWE | 2010.04.02 21:48
この記事のタイトルが既に客寄せ効果あり。
それから本にはなかったかもしれないけれど、評判じゃなくてもHOWEの作者のように信頼できる講師なら受けてみたいと思うんじゃないだろうか。
Posted by: MSK | 2010.04.02 22:46
MSK>この本のタイトルをそのまま書いたので、やはり本の作者の勝ちかと。ちなみにHOWE作者の信頼性というのは、友人ぐらいにしか効果ないと思う(笑)
Posted by: HOWE | 2010.04.03 23:12