ダグは間違っていないよ
この10年間あまりの私にとって非常に重要な本のひとつになっていったダグラス・クープランドの小説『ジェネレーションX』のなかで、登場人物のダグが職場の同僚にむかって「賭けてもいいけど、世界の歴史全体のなかで、途中で大量の現金が人から人へと動くことなく有名になった人間なんて、一人も挙げられないだろ」と議論をふっかけ、同僚があげる人物を次々と「その人も結果的にはお金がたくさんからんでいるからダメだ」といった調子で論破していくのだが、最後の最後で「アンネ・フランク」と言われて、答えに窮してしまい、負けを認めるというエピソードがある。(『ぼくはうっかり道徳上の宣戦布告をしてしまい、向こうが手際良く、それに勝ったわけだ。ぼくはひどく間抜けな気分で、卑劣な奴のような気分になった』)
この箇所を読んでいていつも思うのだが、アンネ・フランクだって「戦争」という要因がなければ、決してここまで有名人にはならなかったと思うのだ。そして戦争ほど(やってる最中も、終わったあとでも)山ほどお金がからむ事態はないわけで。
だから私はいつも思う、「ダグ、君は間違ってはいない」と。
そのことをミクシィの「ダグラス・クープランド」コミュニティでいつか書いてみようと思いつつ、数年たってしまった。
いまそのことを急に思い出したので、ひとまずここに書いてみる。
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