『焚火パーティーへようこそ』
なんでもいいから暇つぶしの本がほしくて入った古本屋で出会い、テキトーに読みはじめたのだが、すごい楽しかった。
椎名誠や浅井慎平といった「たき火好き」の人々16名が、それぞれの焚火への思いをひたすら綴ったエッセイ集。
自分なんかはアウトドアとも縁遠く、「たき火経験値ゼロ」といってもいい。
で、この本に登場する人々のエッセイで多く見受けられるのは、戦中・戦後の子ども時代において、まさに生活のために行われたたき火についてのリアルな想い出だったりする。で、そこから後年になって自発的にたき火をすることになっても、子ども時代からの経験をもとにそれぞれがたき火スキルを発揮しつづけている様が伺えて、正直うらやましい気分にすらなる。なにより、たき火を通してそういった時代経験やら人生訓などを語れるということがすごい。
火を見続けることは、太古の人類が見ていたものと同じものを見ていることにもなる。その感覚は、空に拡がる雲をみているときのあの気分に通じていると思う。
どこかで心置きなくたき火ができないか、とすら思う。
たき火のために集まる、というのは邪道かもしれないが、現代の都市社会においてはそうでもしないとたき火を囲む「贅沢」はできないのである。
そういえば去年ぐらいに大阪大学の何かの集いで、「たき火を囲む」っていう目的で人を集めていた記憶がある。なるほどそういうことなのか、とこの本を読んであらためて思った。
いまこそ、たき火の時代かもしれない(笑)。
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