平城遷都1300年祭および奈良アートプロムの感想
雨のふりしきるなか、近鉄西大寺駅南口に集合。
M・フィオリオ氏のガイドにより、平城遷都1300年祭に行ってみたわけである。
非常にやる気のなさそうな私の写真であるが、それはともかく、私が立っているエリアはもともと古いショッピングセンターが建っていたのである。このイベントにあわせてそれらがすべて消し去られてしまい、まるで大地震でもあったのかと思わせるほどである。M・フィオリオの弟くんも、ひさしぶりに帰郷して駅を出た際、この風景を見て思わず近くにいた人に「何があったんですか」と尋ねてしまったらしい。
というわけで、古くから住んでいる者にとっては、ただひたすら寂しい気分になる場所である。
メイン会場となる平城宮跡へは、この写真の遠くに見えるところから無料シャトルバスが出ているらしい。しかし地元民に言わせれば、「歩いた方が早いのでは」とすら思えてくる。まぁ、道に不慣れな人にとっては確かにバスのほうがいいのかもしれないが。
で、ふと左をみると
このいまいましいキャラクターがこれでもかと道案内をしてくる。わかってるよ。そのまま進めばいいんだろ。
フィオリオ氏の指摘で気づいたが、タクシーの案内標識がムダにふぞろいで気持ちが悪い。
このまま東に向かう。破壊されたショッピングセンターに続くように公団住宅と近商ストアのビルがあるのだが、さすがにこれは残されたままである。まさかこのような断面を拝むことになろうとは、子どもの頃の自分には想像できなかったことだ。
若干わかりにくいが、奈良方面行き近鉄電車のレール下を通るトンネルをくぐれば、会場へはすぐなのである。ちなみにここにも誘導係員が過剰なほど多くいた。
どうやら今度、有料のコンサートを開くらしく、そのための準備でテントが乱立していた。
ゆえに、景観的にはパッとしない。
こうして、このイベントのためにわざわざ復元して建ててしまった大極殿という建物に向かう。
大極殿から見える風景・・・
今度のコンサートのための準備だけが目立つ。
なにがイヤかというと、この建物を造ってしまったおかげで、建物を取り囲むような妙な門まで作られてしまい、従来ここの平城宮跡を自転車で通過して高校に通っていたり、奈良方面を行き来していた人にとっては、ルートが寸断されてしまったことである。地元民にとって百害あって一利無しとはまさにこのこと。
妙に遠い位置に案内板があったので、雨で足下が悪いなか、何事かと近づいてみると・・・
さて気を取り直して、もうひとつのメイン会場へ・・・
いろんな店が並んでいる、というだけのエリアだが。
それにしても気になったのは、このイベントに便乗して奈良県葛城市が作ったキャラクター「蓮花ちゃん」が、いつのまにかこの会場で存在感を放っていたことである。
「せんとくんの恋人になりたい」ということで、先日も葛城市の職員とともにM-1グランプリの予選に参加するなど、どのような論理の筋道で考えるとそのような結果になるのかよくわからない行動をみせたキャラクターとして私の中で謎の存在であったのだが・・・
なんとこのエリアにある土産物屋のうち、ひとつが
「まんとくん」と「蓮花ちゃん」のグッズの限定販売所になっていて、
まんとくん&蓮花ちゃんのコラボお菓子が大量の種類にわたって作られていた!!
で、なぜかひっそりと「せんとくん」のお菓子が地味に置かれていたりする・・・
え、いやいや、蓮花ちゃん、これってどういうこと!?
君はせんとくんにアプローチしていたんじゃないのか?
これじゃあまるで、君はまんとくんと良い仲みたいじゃないか。
どういうことなんだ。
と思ったり思わなかったりしたのだが、
まぁそのへんの事情はさておき、
となりの店は、まさにオールせんとくんの内容であった。
と、まさに100均の店のごとく、「考えられるものはすべてキャラクターグッズにした」というべきほどの怖ろしい状況が展開されていた。
なかに、中高校生向けの、「部活動バッジ」みたいなのがあって、
そのなかに
「帰宅部」まであったのだが、
よくみると
とあって、
という気分になった。
ほかにも
我が目を疑ったが、どうやら車のナンバープレート用のカバーらしい。
誰がすんねん。
もしこのカバーをしている車を見かけてしまったら、何かしでかしてしまいそうになるな、と思った。
そんなこんなで土産物屋をでると
「まほろばステージ」では何かのリハーサル中。
大げさな建造物のわりには、客席の少なさがとても気になる。
で、この大きなイラストと顔はめのパネルがねぇ、、、なんだか、せんとくんに負けず劣らず「どことなく気持ちがすっきりしない感」が満載なんすよ。何のキャッチコピーもなく、ただそこに置かれているだけ、というシチュエーションも含めて、このイラストの放つムードみたいなものが、とってもとっても、落ち着かない。
で、この平城宮跡会場は、決して夏場に子どもを連れて行ってはいけないとかねてから上司のSさんに進言していたのであるが、このあまりに何もない平原は、さぞかし夏場は過酷だっただろうなぁ・・・と思ってしまう。
ただ、場内をトラムが走っていたので、移動に関してはそのあたりの対策も施されていたんだろうな、と思うのだが
しかしよくみると
子どもとお年寄りしか乗せてくれない!!
というトラムだったりする。
こうしてグダグダと南の方角に歩いて、シャトルバス乗り場をめざす
てなわけで、平城遷都1300年祭の見学終了。
結論をいうと、やはりこのイベントはやる意味が見いだせないよなぁーという、かねてからの思いを確認するに留まった。
何度も言うが、平城宮跡一帯のエリアは世界遺産登録をしてしまったんで、これ以上の開発とかはむろん、地形を削ったりいじったりするのも、本来のユネスコの趣旨からすれば反則じゃないか? という思いがどうしても消えないのである。「せっかくの広場があるのなら、そこをイベント会場にしちゃえ」っていう、いかにもな発想に、奈良県の癒着体質的な匂いがしてしまうのであった。
さてこの日はもうひとつ、「奈良アートプロム」という現代アートのビッグイベントを少しだけ見て回った。
「少しだけ」というのは、このイベントは「同時多発的に」あちこちの場所でアートイベントを企画したので、会期中に回れる場所がどうしても限られてしまうのである。
運営に関わっている晴之丞さんにたまたまならまちセンターでバッタリ遭遇でき、そこで薦められた「カイナラタクシー倉庫ビル」の展示にも足を運んだ。
まさかこのビルに自分が入ることになるとは・・・と思うぐらい、昔からあった古いビル。
なのでこのビルに入るという経験そのものが、すでに現代アートなのかもしれないと思った。
そしてこのビルから眺める奈良の町の雰囲気もまた、なんともいえなかった。
いろいろ大変そうであったが、ともあれ奈良でこのような大規模アートイベントをやった、という事実だけで今回は達成感があったかと思うし、それでいいのではないかと思う。
ちなみに奈良アートプロムは「NAP」と省略されているのだが、どうしても「ナップ」と聞くと、1920年代のプロレタリア芸術運動の「全日本無産者芸術連盟」を思いだし、ふとカイナラタクシー倉庫ビルの屋上をみると、赤い字で「NAP」と誇らしげに旗が掲げられていたので、ひょっとしてこのことを知っている人がNAPと名付けたりしたのだろうかと夢想したり。
とまぁ、いろいろあって、一気に書いたが、以上がこの日の感想。
あ、もうひとつ
一回だけ「なーむくん」を見ました。
こういうオチかよ。
■■■■
« ついに | Main | 明日は合気道講演会+実演 »
Comments
先日はおつかれさまでした、とでもいうべきでしょうか。
何といっても、雨!
この雨が、平城京跡を
より一層、グダグダで投げやりな気持ちにさせました。
Posted by: M.フィオリオ | 2010.10.12 04:54
カイナラビルから30m西に
奈良NPOセンターがあるんだよ。
Posted by: ヒロポン | 2010.10.12 09:23
西大寺へおかえりなさい!
今年に入ってから、平城宮跡の人の多さと、地元やのに地元やと思えない景色に、なんか気持ちがもやもやしてしまいます。
来年以降どうなるのか、ちょっと不安になってしまいます。笑
Posted by: もりた | 2010.10.12 21:10
それぞれのキャラクターの顔はめパネル、よくわからないところに穴が開いてますね。
蓮花ちゃんとまんとくんは額に風穴が開けられていますし、せんとくんなんてなにもない空間から顔を出すようになってます。
Posted by: ナセルノフ | 2010.10.12 22:42
フィオリオ>嫌な気分を増大させる雨でしたね。いろいろとありがとうございます・・・
ヒロポン>そうだったのか! 確かにこの辺にありそうな気分はしていましたが。あ、ご丁寧にお便りありがとうございます。
もりた>お久しぶり―。そうです、我々は「2011年問題」を提唱しています。このイベントのあとの反動で、奈良は大変なことになるんじゃないかと・・・
Posted by: HOWE | 2010.10.12 22:43
ちょっと追加。
①1300年祭公式ホームページでも、
大極殿は「復原」と書いてますが、
「再建」じゃないのかなとも思います。
参考資料が少なく、推定部分が多いことを
認めながら、「復原」と言いたいのでは?
②平城京跡会場の地べたは盛ってあるので、
それをはがせば元通りになる工法を使っていて、
地中のものは無事とのこと。
Posted by: ヒロポン | 2010.10.12 23:48
ヒロポン>復元って、何かもともとあった古いものを少しでもつなぎ合わせて作った印象をうける言葉かなー、と。なのでたしかに「再建」ですよね。まったく新しい素材で作り直した、みたいな。
地中のものは無事とのことですが、それはいいとして、あの大極殿の周りを囲む柵のあたりが、一様に地面が盛り上がっていて、そのおかげで従来あった道(自転車でよく通った)が完全に消されてしまった、という哀しさがあります。
Posted by: HOWE | 2010.10.13 22:48
やっぱ、再建なんだってば。
「はやぶさ」よりも数十億円多いんだよ。
どう?って。
Posted by: ヒロポン | 2010.10.14 00:11
NAP実行委員は無産者どころか無職も参加しておりますよ。
Posted by: こけし | 2010.10.14 10:56
ヒロポン>そうだったのか・・・いろいろ情報持っていますね、ヒロポン。
こけし>無産者どころか、か・・・みんなギリギリのところで支えているイベント! でした。手作り感はとってもありありでしたね。
Posted by: HOWE | 2010.10.14 22:19