「夢のパン列車」は夢のようだった
というわけで、30日に行われた『夢のパン列車』。
フリーペーパー「ぱんとたまねぎ」のハヤシさんのzine『パン ほん ひと+地図』の発酵記念、シュッパン記念である。
今回私はこのイベントのお手伝いをさせてもらったのだが、いまでもなんだか夢のような出来事なのである。
なにせ、集合場所が叡山電鉄の「車庫」だ。
フツーに車庫に入れてもらった。
この時点で、「いつかどこかでみたような夢の景色」みたいだった。
列車がレール沿いにこっちに走ってきて、思わず「こっちに来ますけど大丈夫ですか?」と叡山電鉄の人に言ったら「大丈夫ですよ」といって、列車が向きをかえてすりぬけていく。
普通「危ないからどけて!」とか言われそうなのに、なんだこの日常ありふれた感な状況。夢みたいだ。
列車内を装飾すべく車内に乗り込む。これも運転席のドアからはしごをつたって上る。
もうそれだけでテンションあがったのは言うまでもない。
自分が鉄道マニアでなかったことを悔いたぐらいだ。
イベントのフライヤーや、ペーパーアイテムを窓に貼り付ける。
言うまでもなく、ハヤシマイはこのイベントでものすごくたくさんのものを作って用意していて、「さすが・・・」と唸るしかない。お客さんに配るレジュメ・・じゃなく、「パン」フレットも、一枚一枚表紙に紙を貼り付けていたりして、根気のいる作業をいとわないのがハヤシマイだ。
行き先案内プレートも、今回特別にハヤシさんが手作りしたものが装着されている。クリックして大きい画像になるのでぜひ見て欲しい。作った本人はこのとき「思ったより、あまり目立たない」みたいなことを言っていたが、我々が今からやろうとしていることは、今日のこの沿線においてすでに十分目立ちまくることになるのでは、という思いがあった。
自分撮り。
この日のスタッフは全員、このようなパン屋さん風帽子をかぶった。そして叡山電鉄の方と一緒に出町柳駅の改札で受け付けをやった。ちなみに改札の向かいには大手パン屋のチェーンが出店しているのだが、その向かいでこういう帽子をつけてパン列車をアピールするのは若干の勇気がいった。若干ね。
事前予約していたお客さんが乗り込み、列車が走り出す。途中、スティールパンのバンド「パンジャビ」さんの演奏を楽しむ。出町柳~八瀬比叡山口のルートのあいだ、演奏がぴったりと収まっていたのが感動。ていうか演奏者が着ているのは叡山電鉄の制服と帽子。叡山電鉄さんの太っ腹さ加減というか、ユルさ加減というか、通り過ぎる一般車両からお客さんがこの光景をみたらどう思うんだろうか、とかいろいろ思うわけだが、いずれにせよこんなことをさせてくれる叡山電鉄がなおいっそう愛しく思えてくる。
列車が到着してから、1時間半ほど停車。そこでようやくパンの試食となる。(出品していただいたパン屋さんは東風、ちせ、テクノパン、パンドラディ、マルホベーカリータカラダ、ユーゲ、etc)あえてお客さんたち自身にパンを切ってもらうという趣向だった。見て楽しみ、切って楽しみ、パンをあれこれ味わいながら、周りの人たちとパンを語り合う。名古屋のパンオタク、パンチキさんのセレクトした名古屋パンの紹介があったり、そして八瀬駅のホームでは、ガケ書房さんやシマウマ書房さん(手作りクッキーで『ぱんとたまねぎ』の文字を作った看板が送られてきた!)の本、恵文社さんのパン雑貨、ちせさんのチャイやジャム、「ミルク王子」の特選ミルクのテイスティング、「なや」さんの珈琲、そして合間にパントマイムのたまひとさんのパフォーマンスも披露された。そのほかにもあれやこれやとあり、こうして書くと混沌とした内容のように思われるだろうが、いずれにせよ「パンを楽しむ」ということですべては集約されていくのだった。
で、パンを切り分けていけば、すべてのお客さんにすべての種類のパンがいきわたるようにはなっているのだが、都合によりすべてのテーブルの大皿に均等な数のパンが置いてあるわけではなかった。私が乗っていた車両のお客さんたちがそのことに気づいて「どうなっているの?」と質問をしてきた。パンの種類や個数についてちゃんと把握していなかったので、なんとも答えようがなく、心苦しい気分になったのだが、そのときとっさに私の口からついて出たコトバが、
だった。
私は左京区の独特のユルさをとっさの言い訳に利用したのである。
するとその場のお客さんたちはその真意をストレートに納得して、笑ってくれたのでありがたかった。
今後も左京区でイベントをするときには、このセリフは使えるかもしれない。ライフハックだ(本当か)。
そんなこんなで、2便にわたって「夢のパン列車」が無事に運行終了となった。
ハヤシさんのあいさつ。
「列車が出発して、どこかの目的地に到着する」
ということを「旅」のイメージとして捉えるとすれば、このとき、まさにハヤシマイにとっての「京都のパンをめぐる冒険の旅」がひとつの終着点にたどり着いたんだろうと感じた(ハヤシさんは惜しまれつつも近々故郷に戻られるのである)。列車というモチーフは、そういう意味で「完璧」なシチュエーションだった。そのことに終わってから気づいた。
・・・てなわけで、ほかにもいろいろと感じたことが多い、忘れがたいイベントとなった。その時間と場所が共有できて本当によかったと思う。
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そうして翌日、現実に戻って仕事をし、そして上司のSさんから「パン列車どうだった?」と聞かれ、いろいろ語っているうちに、上司のSさんはネットで何かを調べ始めた。
そこにはSさんの故郷である、愛知県豊橋市の「豊橋電鉄」のホームページがあって、
「こんなのもあるよ!」と。
「おでんしゃ」。
市内線の電車に揺られながら車内であったかい「おでん」を食べて楽しむ「おでんしゃ(おでん+電車)」が今冬も運行いたします。
暖かいおでんを食べながら夜の豊橋の町並みを眺め、カラオケを歌って楽しいひとときを過ごしてみませんか。
「2月19日まで運行しているから、まだ乗れます」とSさん。
タテーシ「・・・・。」
最後の最後で、想像しなかった角度から、このブログのオチをいただいた気分だ。
さらにいうと、その日の晩、なんと京阪電車も「おでんde電車」なるものがあることを知る。
オチがオチをよんでいった。
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Comments
すいません、「左京区」なのでそのへんちょっとゆるいんです。。。これは笑ってしまうわー。
Posted by: toyotti | 2011.02.02 22:52
toyotti>やー、誰かが乗り移ったかのような、とっさの一言でしたわ(笑)
Posted by: HOWE | 2011.02.03 23:52
ネット経由のご挨拶が遅くなりましたが名古屋でのトークイベントではお世話になりました。シマウマ書房アルバイトのアライです。
林舞さんは本当にすごいですね。
京都のパンの旅がひとつの終着点に…ぐっと来ました。
Posted by: ともまるアライ | 2011.02.09 08:38
ともまるアライ>おおお!!昨年末はお世話になりました。コメントありがとうございます。店長様にもなにとぞよろしくお伝えください。名古屋からも林さんにエールをお願いします。
Posted by: HOWE | 2011.02.09 22:34