まだ試合は終わっていない
練習中に倒れた松田直樹の状況が気になって仕方がない。
松本山雅FCの練習場にAED装置がなかったというのが、本当に不運。
思えば今年のJリーグ開幕直前に出版されたエルゴラッソの季刊版の雑誌の表紙は、松田直樹であった。
マリノスでの涙の解雇から、JFLに舞台を移して、あらためてボールを蹴ることのできる喜びをかみしめている松田の表情が印象的であった。
そんな彼が、シーズン初頭のサッカー本の表紙を飾っていたことに、彼が背負っている使命みたいなものを感じたわけである。松田直樹が見てきた世界、経験してきた出来事は、これから続くたくさんの若い才能のためにもっと活かされるべきなのであり、まだ彼の試合は終わるべきではない。ひたすら回復を祈る。
こうして、日本サッカー界はこの一ヶ月、良くも悪くも衝撃的な出来事が起っているわけである。
良かったほうの出来事、つまりなでしこジャパンについては、雑誌「Number」が緊急で作った「なでしこ特集号」が本日発売。
やはり期待通り、写真のすごさで迫ってくる雑誌だ。
熊谷がPKを決めた瞬間を高い位置から俯瞰的に捉えた写真は、淡々とした雰囲気に思えるけれども、ここに添えられたキャプションによって、たしかにこの瞬間こそが伝説が生まれた瞬間なのだと認識させるパワーを放っていたり。
さらに感動した写真は、28-29ページの澤の写真。カップを掲げたときに吹き上がった金色の帯たちがピッチ一面に降り注いだあと、日本の国旗を背負って笑顔で手を振る澤が一人だけ画面のなかにいるというもの。無駄なものが入り込まず、ひとり金色の芝生を歩いているかのような、まさに澤穂希のサッカー人生最高のシーンを捉えたと思える写真。こういうシーンを切り取る写真技術と、セレクトする編集センスもグッとくる。
そして、淡々と語る宮間のインタビュー(タイトルは『浮かれてる場合じゃないですから』)を大きく取り上げるあたりNumberらしい。あのアメリカ戦の同点ゴール、何も考えずに左足アウトサイドで押し込んだだけのように見えたが、実はそうじゃなくて、昔からお互いをよく知る相手キーパー、ソロとの一瞬の駆け引きの結果だったことが語られていて興味深い。
そして「なでしこの選手みんなにバラを贈りたい」とかねてから宣言していたカズによる寄稿文も、今回とてもよかった。
で、巻頭言で金子達仁が書いているように、花を咲かせ続けるために「水と土」がこれからも必要になってくる、という問題意識が重要になってくる。
むしろサッカーファンの出番はこれからなのである。
■■■■
Comments
こんにちは。
松さん、心配ですね。
松さんを好きでも嫌いでも
サッカーファンでもなくても
みんな戻って来いと思ってる!
Pray for matsusang!!
-------------------------
金子達仁の文章が読みたいがために購入のNamberですが
写真センスはナンも言えねっ!です。
見れてよかった。。
Posted by: showchan | 2011.08.04 11:32
showchan>そして最悪の結末になってしまい、本当にショックです。若すぎる死に、なんだか本当にコトバがでません・・・
Posted by: HOWE | 2011.08.05 22:53