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2012.02.26

『ずるい考え方』

『ずるい考え方:ゼロから始めるラテラルシンキング入門』。
(木村尚義・著、あさ出版 2011年)

とにかく、題名のつけかたが上手い本だ。手にとってしまうもんな。

これは以前よりエドワード・デ・ボーノが「水平思考」と呼んでいたような思考法を、あらためて分かりやすく解説した本である。
論理立てて垂直的に考えていくのとはちょっと違って、水平的に、脈絡ない思いつきなどもどんどん積極的に取り入れながら、まったく異なるアプローチで問題を考えていく。それを「ラテラル・シンキング」として解説しており、サクサク読めるけど手元にずっと置いておきたい本である。というのも、ついつい忘れがちになることをたくさん示唆してくれているからだ。

たとえば、ラテラルシンキングに求められる3つのチカラとして
・固定観念を打ち破り、疑うこと
・抽象化して、モノゴトの本質を見抜くこと
・偶然の発見を見逃さない(セレンディピティ)

を重視し、そして心がけておきたい態度として
・最小のチカラで最大のチカラを引き出す
・相手のチカラを利用する
・異質なもの同士を組み合わせてみる
・先の先を読む
・「ムダ」なものを捨てない
・マイナスをプラスに転じる

ということがいろんな実例をもとに論じられていく。

つまり、従来通りに「積み上げ式」で考えていくとどうしても行き詰まったり、あるいは自分が「弱者」であればあるほど、目の前の問題にたいして対処が難しく思える状況になっていたりするわけで、それをいかに発想力やアイデアでひっくり返していけるか、そういったチャレンジ精神をかきたてる思考法のススメである。

だから「ずるい考え方」という言い方は、ちょっとネガティブな感情をかきたてるけれど、要するに「DIY精神的に、ありあわせの素材、ありったけの能力を駆使して、粘り強くミスを恐れずに考えまくって、そして行動せよ」と言い換えたほうがいいかもしれない。つまりのところ私がずっとこだわっていきたい思想的態度がここには書かれているなぁと思った。

とかく世の中が全体的に、なんというか、教育にしろ社会生活の営みにしても「順序だって、秩序だって、積み重ねを大事に」みたいなノリがあまりにも強固に構築されまくっているような気がするわけで、そして一方ではそういうのを斜に構えて捉えたくなる人のほうが絶対に多いと思うわけで、そこで使える「考え方」なり「姿勢」っていうのを、もはや自分たちで手に入れて創り上げていって闘うしかないような感じがする。
そこにおいてこういう本はうまく利用していく価値がある。

ちなみに先日ある人から聞いたところでは、フィンランドの社会の教科書では「家の買い方」とか「労組の作り方とかデモの行いかた」とかが書いてあるらしい。まさに社会を生きるための教科だ。たしかにそういうことを学校のなかで学ぶことができればいいなぁ。


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Comments

読書感想ありがとうございます。

ずるい考え方~ゼロから始めるラテラルシンキング入門の木村尚義でございます。

日本に漂う閉塞感をうち破りたくてこの本を書きました。

>「順序だって、秩序だって、積み重ねを大事に」
>みたいなノリがあまりにも強固に構築されまくっ
>ているような気がするわけ

ブログ主さんのおっしゃるとおりなのです。
正解が無いと失敗を恐れて行動しない。
マニュアルが無いと動けない。
これが、閉塞感を生んでいるように思います。

ブログで考え方を広げていただき、ありがとうございました!

Posted by: 木村尚義 | 2012.02.27 at 17:30

木村さま>コメントをありがとうございます!私にとっては、感想文の背後にあるもう一つの思いは「これこそ『サッカー的生き方』の反映だ」ということです。ボール回しと泥臭いムダ走りをあきらめずに続けてチャンスをうかがい、クリエイティブなひらめきとハードワークで打開していく・・・といったところです。常にサッカーのように流動的な社会生活のなかで、そういう発想で動けたらいいなぁとか思ったりして、そういう意味でヒントの宝庫になる本でした。ぜひいつか自分としてもサッカー的なスタンスからみた水平思考を語ってみたいです。

Posted by: HOWE | 2012.02.28 at 00:02

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