暮らしているようにふるまう旅のスタイル
『ポルトガル朝、昼、晩。』という旅行記。
2人でポルトガルの小さな町に滞在し続け、「普段の生活をするように」とどまりつづける2週間の旅の記録。
ホテルを借りて、そこで昼間は普段やっている(日本から持ち込んだ)仕事をこなし、町を散歩し、飲んで食べて寝て、また起きる・・・の繰り返しを実践していく。
最初はまったくの異国であるが、留まり続けることで見えてくるものがある。顔見知りになる人々がでてきたり、分かりにくい小道への親しみが少しずつでてきたり、その町に住む人々の身振りや服装などの特徴がわかってきたり。
海外旅行になると、ついあちこち回らないとソンな気もしてくるが、そこをあえてガマンして(?)、こういうスタイルに徹することができたら、それはそれで一生忘れられない旅ができそうな気もする。
よく「海外で暮らしたい」と希望する若い人が多いが、それだけのお金と時間を確保したら、この本に書いてあるようなプロセスをマネして、あちこちで「暮らすように滞在してみる」という「ある種の中途半端なスタンス」を検討してもいいかもしれないと思う。
この本に感じ入るのは、1日1日を「日常的に、のんびりと」過ごしつつ、それでいてアンテナを張り巡らせて、観察力を駆使して、さまざまな細部から異国の暮らしの面白さを吸収し、そして記録として面白くまとめて見せているところだ。そうなると、2週間というのはとても長く、濃密なものとして感じられる。「外国に暮らしたい」と思っていても、じつは2週間あれば、かなり満足できる体験になるんじゃないかと思わせる。要するに、どこで何をして暮らそうとも、主体としての自分の「アンテナの感度」をどこまで高めておくことができるか、がポイントなのかもなぁと思う。
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Comments
暮らすように滞在してみるというところに
少し共感できるところがありました。
自分も東京での一年間は暮らすように滞在していた感じがします。
暮らしていたはずなんだけどね、忙しすぎたのかな。
Posted by: MSK | 2012.03.29 10:25
MSK>おそらく、期限を決めて住んでいた、という意識がポイントだったのかと。そうなると、限りなく旅行に近い感覚になるのかもしれません。
Posted by: HOWE | 2012.03.29 22:34