『ベルリンの壁~建設から崩壊まで~』を観て、なんだか平手打ちされてる気分。
スカパーつけたらヒストリーチャンネルで『ベルリンの壁~建設から崩壊まで~』という2時間の特番。
最初は適当に夕食をつつきながら観ていたのだが、あらためてこの壁があった頃の東ベルリンからの脱出劇というのは、当時を生き抜いた人の証言が加わると本気でハラハラする話のオンパレードなんだな。知識として大まかに分かっていたつもりだったが、手作りの気球で一家総出で国境を越えたケースとか、軽量飛行機を使ってわずか16分の間に兄弟を乗せて国境を往復して助かったケースとか、自作した改良サーフボードを使ってドイツの北方の沿岸部からバルト海をわたってデンマークの沿岸に脱出したケース(しかもこの事件を最初に取材したのがサーフィン雑誌だったというオチ)とか、そんなことがあったのかと驚くばかりである。
自分が生きていてそれなりに記憶のある「ベルリンの壁崩壊=東西冷戦の終焉」という歴史的転換点は、それでも自分が12歳とかそこらのときの話であって、いったいそれがどういうことを意味しているのか、当時はあまり分かってなかったわけだ。でもこうして年を重ねてそれなりに知識が重なると、このベルリンの壁は「自由とは何か」というとてつもなく根本的な問題に集約されていることを知るわけだ。そして、単純に「自分は好きなことをやって、好きなように発言をして、好きな場所を旅したい」という、ただそれだけを望むことが、まったく許されなかった体制なり社会状況が、すぐそばに、ちょっと前までヨーロッパに存在していたということを改めて実感するし、それと同時に「自由でありたい」という欲求が抑えられると、人はどんな手段を使ってでもそれを取り返そうとする、そのエネルギーというかパワーというものに、人類としての底力みたいなものを感じずにはいられない。
そう、ひるがえって、最近の若い学生さんが(そして自分も含めて)「何もやる気がしない」みたいな雰囲気でいる、そんなツラに対して強烈なビンタのごとく、こういう話はビシッとつきつけてくるものがある。
年始にたしかに自分はベルリンに行ったのだが、時間的制約もあってベルリンの壁をめぐる史跡とかはほとんど行っていないままであったのがちょっと悔やまれる。
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Comments
お久しぶりです。
ドキュメンタリー、面白そうね。見てみたい。
ベルリンの壁といえば、昔「トンネル」という、
地下にトンネルを掘って、東ドイツから脱出するという
実話に基づいた映画を見たことを思い出しました。
暗い部分の多い映画やけど、また見たいなあ。
Posted by: ヨーコロ | 2012.04.29 21:48
ヨーコロ>ご無沙汰しております。映画『トンネル』、調べたら2002年の映画ですね。つい最近やん・・と思いつつ、よく考えたら10年前なんですね。ベルリンの壁崩壊も20年前以上の出来事だし、このごろじゃ時間が早く感じてしまいます。
Posted by: HOWE | 2012.04.30 12:59