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2012.09.15

神戸アートウォークのポスターデザイン盗作騒動に思う

「神戸アートウォーク」公式ポスター デザイン盗作発覚で回収へ

 神戸市内の美術館やコンサートなど芸術・文化イベントを巡るスタンプラリー「神戸アートウォーク2012」(1日~12月10日)の公式ポスターとリーフレットのデザインが米国の食品会社のポスターの盗作だったことが判明し、主催する神戸市民文化振興財団は回収を始めたことを明らかにした。このデザインは市内の学生から公募した作品の中から採用されていた。

 盗作が発覚したのは、公募38点の中から最優秀賞に選ばれた専門学校の男子生徒の作品。女性と子供3人が並んで歩いている様子が描かれている。

 同財団によると、今月3日に市民から「盗作ではないか」と連絡があり、この専門学生に確認したところ、「デザインを練習するのに普段から参考にしており、模倣してしまった。言い出せなかった」と認めたという。

 同財団は「審査過程では気付かなかった」としており、すでに出回っているポスター800部とリーフレット15万部の回収を急いでいる。新しいデザインには公募作品の中から次点の作品を採用し、今月下旬をめどに、新しい冊子とポスターを再発行する予定。
産経ニュースwestより

その問題のデザインがこれ。

Kobe06p1_2

そして元ネタとなっていると思われる広告が、「ジェロ Jell-o」という粉末ゼラチンの商品で、

Kobeimg56856228_2

というわけで・・・。
別に自分はデザインの専門家ではないのだが、あえて言いたいことを述べさせていただく。

まず、デザインした学生さんに言いたいのは、
「パクるなら、もっとうまくパクれ」ということだ。

あらゆる表現行為はパクりから来ていると思う。
ただしこのままだと単なるトレースである。そうではなく、全体の色調とか構図とか、パクるというのはそういうところを参考にしてパクるべきなのだ。

この、男の子の水色の服のイニシャルを「J」から「B」に変えただけとか、そこが中途ハンパやねん! と。せめて神戸なんだから「K」にしろよとか(笑)。そのあたり、分かってほしい。

あともうひとつ言いたいのは、「(特にアメリカの)広告産業を甘く見てはいけない」ということだ。意匠、デザインというものにたいする蓄積に関して、この高度情報化社会ではますます検索が容易だったりするわけなので、このパクりかたはとっても危険すぎる。

さらに言えば、元ネタの広告は何気なく描かれているような陽気なイラストだと思うだろうけど、広告業界はこの「何気ないデザイン」のなかにとんでもなく精緻な「サブリミナル・メッセージ」を込めて作り上げている可能性が高い(とくに嗜好品、食品の広告は)。たとえばそのへんの雑誌にはいつもたくさんの広告ページがあって、読者はそれを1秒も見ずにさっさと次のページをめくるわけだが、ではなぜそんな意味のなさそうな広告ページに、今も昔も企業が巨額の金を投資していると思うだろうか? じつはたった1秒未満でもその広告を見ただけで、企業にとって大金を払う価値のある作用が働いているからだ。そのあたりの「怖さ」をぜひ知っておいてほしい(なので以前の『HOWE』14号でも書いたが、ウィルソン・ブライアン・キイの『潜在意識の誘惑』という本は、デザインを創る人に特に読んで欲しい本だ)。

そしてこのポスターを作った学生さんだけではなく、それを選んだ財団の側にも問題があった。

なぜ、こんなノーマン・ロックウェル風の、「いかにもアメリカン」なイラストを選んでしまったのだ!
「神戸」と「アート」と「ウォーク」との関連に、なぜ「アメリカン」が必要だったのか。そこの感覚がどうにも残念なのである。異人館があるから? しかし今さらなんでこんな微妙に古くさいタッチのイラストが必要なのか・・・

これ、ポスターとか作り直す費用は選考に関わった人たちが自腹で出すべきではないか。デザインを選ぶというのはそういうリスクが伴うものだ。


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