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2012.09.01

ほとんどのページで「まさに!」と線を引きたくなった快著『いますぐ書け、の文章法』

ほとんどのページをめくるたびに、「そうそう、そうやねん!!」となった本。
ずっと自分が抱いていたモヤモヤが、かなり代弁されている気がした。
別に自分はこの著者みたいなライターではないのだけど、常々文章を書くことだけじゃなくて、大きい意味で「対人コミュニケーション」を考えるうえで、ものすごおおおおく大事なポイントを示してくれていると思ったのだ。だから特に学生さんたちに読んで欲しいのよこの本マジで。

フリーライターとして、人に読ませる文章を書き続けてきた著者が伝えたいことはシンプルだ。

文章を書くことの根本精神はサービスにある。
サービスは「読んでいる人のことを、いつも考えていること」である。

これはもはや、文章に限らない話なのである。
メールなりソーシャルメディアなりでさんざん自分からの一方的な言葉を垂れ流しておきながら、いざ人前でプレゼンをするとなるとまったくお粗末だったりする若者が多いんじゃないかと想像されるのだが、結局はすべてこの問題に通じてくる。サービス感の欠如。相手の立場になってみる想像力の欠如。そして相手が自分の言いたいことを分かってくれないと見るやすぐに諦めてふてくされたりキレてしまう、プライドだけが高いままの学生、みたいな。

著者の思いきった書きっぷりが、いちいち共感できる。
たとえば、「自分の言いたいことをいったん曲げてでも、読み手に楽しんでもらうことを考えて書く」とまで言うが、まさにそれはアリなのだ(もちろん、学術論文とか法律文書は除くぞ)。これはマジメな人ほど反発したくなるかもしれないが、その頑なさがまたあなたの「サービス産出力」を失わせていることにいいかげん気づいてほしい。あらかじめ想定していた内容だけで書かれる文章は、読む方も書いている方もつまらない。それは同時に、あらかじめ想定されている「人生」だけがすべてではない、ということでもある。結局問われてくるのは、予期できない局面での対応力、工夫力、そして粘り強さだったりする(あぁ、まさに自分に言い聞かせつつ)。

ほかにも、「文章で自己表現はできない」というのも、まさに。単なるツールなんですよ文章は。(詩作とかはまた違うからな)
そこを分かってくれないがために、文章を書きたがらない人は「ちゃんとした文章を書かなきゃならないから勉強が必要」とか、「時間があるときに書こう」とか、いつまでたっても書かないわけである。このあたりのことも著者はじっくり突っついてきます。

で、著者はしまいには「文章を書くのはアタマではなく肉体の作業だ。踊りながら書け!」とまで言うのだけど、これはそういうグズグズの引き延ばしではなく、分からないなら分からないなりに、書けないなら書けないなりに、手足および身体を動かして文章をひねりだしていくことでしか結局は前に進めないことを伝えてくれる。これも、文章作成の場面だけじゃなく、広く一般的なコミュニケーション行動すべてに言えることだわな。要するに「行動」することほどシンプルかつ前に進める方法はないんだよなぁ、と。

「定年退職して、そのあと時間がたっぷりできたら、よし、何か書こう、なんておもってる人がいるなら、もうそう考えてる時点で“人に読んでもらえるもの”が書ける可能性がかなり低いですね。だめだよそんな考え。いま書け。いますぐ書き始めなさい。『いや、いま忙しくて時間がないんですけど』って、あんたは中坊か、そんなものは何とか作れ。ゆったりとした環境としっかりした余裕がないと書けない文章なんてものは、墓場の飾りくらいにしか使えない。生きている状態で生きている文章を書け。いま書きなさい。

そのほかにもたとえば2章~4章なんていうのは、卒論のテーマ設定にのぞむ学生だったり、会社で何らかの企画立案を迫られたりする若い人とかにぜひぜひ読んでほしいと心底思う。この「人に伝えること」=「サービス精神」というツボを徹底的におさえておきたいのである。

ちなみにこの本を私はガケ書房で知った。棚にぽつんと、この新書が置かれていた。さすがガケ書房、的確に面白い本をセレクトして存在感たっぷりに置いてくれていたわけだ。今年出会った本のなかでかなりのヒット作だ。

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Comments

週刊文春の連載「ホリイのずんずん調査」で育ったファンとして
この本も読んでみたいと思いました。

Posted by: SHOWちゃん | 2012.09.04 at 10:24

SHOWちゃん>おお、そうでしたか!僕はこの人の文章を以前別の所で読んだという記憶がないのですが、それにしても面白そうなライターさんだと思いました。

Posted by: HOWE | 2012.09.05 at 20:10

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