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2012.12.08

「卒論執筆時のテンション盛り上げBGM」について

この時期、大学4回生は卒論の追い込み時期だったりする。ところで「追い込み」っていう言葉をあらためてネットで調べると、1番の意味が「追い込むこと」って出てきて、そのまんまやんけと思うわけだが、2番目の意味で「仕事などの最終段階で、全力を出してがんばること。また、その段階。」と出てくる。つまりここでいう「追い込み」は2番目の意味なのだが、それについてあらためて思うのは、「この『追い込み』という言葉、あまり使わないほうが精神衛生上いいかもしれない」ということだ。つまり「精神的に追い込まれる」といった文章に出てくるような「追い込み」と(辞書でいう1番目の意味だ)、合わせ技のように無意識的に影響を及ぼすんじゃないかと思う。「卒論の追い込みでがんばる→うまく書けなくて精神的に『追い込まれる』」という循環だ。何気なく使っているコトバのチカラってけっこう大きいと思っているので、どうでもいいことかもしれないが、私にとってはこのあたり興味深いテーマだったりする。

さて、そんな卒論の「ラスト・スパート時期」において私が毎年思い出すのは、ある音楽のことである。
キング・クリムゾンの1974年のアルバム『レッド』だ。

卒論をひたすら書かねばならない時期、なぜかよくわからないが、最終的に私はこのアルバムをひたすらリピートで繰り返し聴きながら書くようになった。
決して聴きやすい作品でもないのだが、なぜだかこの『レッド』が集中できたのだ。
40分程度で全曲が終わるのもよかったのかもしれない。だいたい集中力ってそのぐらいしか持たないし。

そして数年後、また同じように長い論文を書かねばならなくなったとき、私はゲン担ぎの意味も込めて、やはり『レッド』のお世話になった。もし今後もどこかのタイミングで長い文章をまとまって集中して書かねばならないときは、迷わず『レッド』で行くのだろう。

Red

いまの私があるのは『レッド』のおかげですと、ギタリストのロバート・フリップにわりとマジで言いたい。

ところで、当時はまだiPodというものがなかったので、いわゆる「プレイリスト」というものを作る文化はまだなかった。CDプレーヤーにアルバムをつっこんで、その1曲目から終わりまで聴くわけだ。『レッド』の場合、表題曲から始まって、最後の曲は『スターレス』・・・星ひとつない暗黒の世界、という終演だ。そうしてCDまるごとリピートなので、再び『レッド』のあのメタル感ただようアグレッシヴで心地よいギターリフがブチかまされるのである。ジョン・ウェットンのゴリゴリした重たいベースとビル・ブラッフォードの「清潔感」とでも表現したくなるようなテクニカルなドラムは、今でも私にとって至高の組み合わせで、アドリブでガンガンぶつかり合いながら録音したであろう緊張感あふれるノリがたまらんのです。

そう思うと、卒論を必死に書きながら聴き続ける音楽というのは、よい思い出として卒論を位置づけるためにも大切な要素のひとつであり、せっかくだったら、携帯プレーヤーの気まぐれなランダム再生でプレイリストをたどり続けるよりも、誰かのアルバム作品をCD1枚分のペースで何度もリピートし続けて、じっくり書き続けていくのも悪くないんじゃないかと。


表題曲『レッド』。いつボーカルがはじまるかと思ったら、インスト曲だったりする。


こんな『スターレス』のスタジオライヴ映像があったことを今知る。最初しっとり始まって、8分すぎぐらいからアタマおかしくなってだんだん凶暴になっていく、いかにもこの時代のクリムゾンが。やっぱりこの「背筋シャンとした」ドラムが私は好きなのだと再認識。そしてこの映像でヴァイオリン弾いているデビッド・クロスについては、二度目のロンドン旅行のときにたまたま郊外の小さいパブでライヴがあることを知り、ほとんど私のために演奏してくれたといっていい客の少なさで、終わったあと肩組んで写真に収まってもらったことがプログレ・ロックファンとしての最高到達点(なのでロンドン旅行のときは『TIME OUT』誌をくまなくチェックだ!)。


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