京都国立近代美術館の「チェコの映画ポスター:テリー・ポスター・コレクションより」で、古き良きチェコの映画ポスターの独特な面白さを味わう
ステキです、このアイデア。
むかし、PIE BOOKSの『チェコの映画ポスター』という本を買ったことがあって、今読み返すと、この本に載っていた作品のいくつかは今回の展覧会で現物が展示されていたりする。
(↑絶版になっていて高値の古本でしか売っていないようですが)
展示されているポスターの数は82点なので一時間もあればサクッと回れるけれども、1枚1枚のポスターとじっくり向き合う時間もほしいところ。そのデザイン性を楽しむと同時に、そのポスターの向こう側にある映画の内容そのものにも思いを馳せるという、二重のレイヤーを楽しむ感覚。
だって、チェコの古い映画のほとんどは当然観たことがなくて、でも邦題をむりやり付けているもんだから、たとえば
『 火 事 だ よ ! カ ワ イ 子 ち ゃ ん 』
(1967年、ミロシュ・フォルマン)
なんてタイトルの映画ポスターを目の当たりにすると、ポスターそのものよりもいったいこの映画はどういう作品なんだ!? って気になってしまうわけだ・・・あ、もちろん展示に添えられている説明文でも、映画のあらすじが簡単には書いてあるのだが。
(ここまで書いて思い立ってネットで調べたら、『火事だよ!カワイ子ちゃん』はなんだか日本でもわりと知られている作品だったようで、アマゾンでもDVDが売っていた。この監督が『カッコーの巣の上で』の監督だったことも気づかず・・・すいません 笑)
で、今回の展覧会にきて初めて知ったのは、アメリカなどの外国映画がチェコで上映されるにあたって、社会主義体制のもとでは外国の映画会社が自分たちの広報物を使ってPRすることが認められなかったらしい。だからこそチェコのデザイナーが、あらためてその映画のためのポスターをデザインすることとなったがために、こうした独自色の強いポスターが生み出されてきたとのこと。
というわけで、あの
も、チェコで上映されるにあたって作られたポスターが、
ドーン!
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いや、これ、まったく違う映画だろ!? 入る映画館、間違えた!?
・・・デザイナーさん、映画の解釈しすぎ! 深読みしすぎっ!
(も、もしかして、バイクの絵を描くのが面倒くさかった、とか・・・?)
っていう(笑)。
そういう面白さもあるわけで。
あと印象的なのは、直線的なタテ・ヨコを意識させるダイナミックさを感じさせる一方で、「すこしナナメにずらす構図」をとる作品にもグッとくるものがあった。
一番よかったのが、ジェームス・ディーンの『エデンの東』のポスター。
このほんのちょっとナナメの展開が、躍動感というか不安感というか、何らかの心の動きを喚起させるようで、いい。
色使いなんかもダイナミックで(現物はもっとメリハリの効いた、カッチリした色調)。
『エデンの東』も観たことないんだけれども、これは観たくなる。
ちなみに今回の展覧会のコレクション元の「テリー・ポスター・コレクション」の公式サイトが、いろいろ面白そうなのであった。この記事を書くにあたってはここから画像をコピペさせていただいた(サイトはこちら)。
会期は5月11日(日)まで。「テリー・ポスター・コレクション」の公式サイト内に、ちょうど今の京都における展示の様子も写真で紹介されている(こちら)。
↑これなんかも、各々のパーツの配置をどうするか、という観点でデザインの妙技を学ばせていただいた。
ちなみにこの映画の題名は
『 一 円 一 円 が 大 切 』 (1961年、ズビニェク・ブリニフ)。
これも内容が気になる・・・
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