「棒倒し」という競技について教えてもらい、驚愕する。
かの開成学園の体育祭では「棒倒し」という種目があることをS先生から教えてもらった。
伝統的に生徒の自主運営によって行われる体育祭は、中高の6学年が参加するのだが、この「棒倒し」は高2、高3だけが行うことのできる、体育祭のハイライトとなる競技だそうだ。
そして1985年に当時高3だったS先生は、体育祭のあらゆる記録をビデオ撮影する役割を担っていたという(85年というのは、まだそんなに安価なビデオデッキがたくさん出回っていた時代ではなかったはずだ)。驚くべきは、8クラスそれぞれにビデオ係がいたようで、それぞれのクラスの想い出をテープに刻んでいたということだ。つまりそれぐらい、毎年5月の体育祭にかける生徒たちの熱さはすさまじいものがあり、そして「棒倒し」こそがいわばその熱狂の頂点にあるものなのだ。
それにしてもS先生、このビデオの撮影のためにかなりの労力を使っていたようで、その後の編集作業においても高校3年の夏休みという受験生としての重要期間を相当に費やし、当時松下電器のショールームに「30分無料」のビデオ編集機材があったらしく、そこに足しげく通ったりしたとのこと。
そして時代を経て、あるクラスメートが、そのとき作られた苦心の映像をYouTubeにアップしたようで、その当時の映像がネットで観られるようになった。
その場でS先生に、自分のクラス(橙色)の「棒倒し・決勝戦」の記録動画を見せてもらった。
もちろんS先生自身もこの競技に参加していたので、この競技の映像だけは「後輩の2年生に技術を仕込んで撮影してもらった」ということで、若かりし日のS先生もどこかに映り込んでいるとのこと。
映像を画像にしてちょっと紹介させてもらうと、
これである。棒を囲む生徒たちに、次々とジャンプして棒に食らいついていく。
いったいこれは・・・
どうやら、自分のところと相手のところにそれぞれ大きな棒があり、「攻撃」と「守備」のポジションにそれぞれ分かれて、攻撃陣は相手の陣地の棒に立ち向かっていき、「棒を倒せば勝ち」とのこと。あらためてよく調べたら防衛大学でも伝統的に行われていたりするようで。
でも、フツーに思う。
「これ、かなり危険じゃないですか?」
「そうですね」
「これ、ケガ人出ませんか?」
「骨折とか、よくあります」
「・・・生徒同士で、遺恨が残りませんか?」
「まぁ、そうですね」
うわはははははは!
このノリは、もはや中世の「サッカーの起源」みたいな状態を想像させる。ボールを相手の町に押し込むために乱闘に近い状態で闘っていくような。
つづきを観ていくと、
勝利の雄叫びに駆け出す選手たち。
これ、ワールドカップ決勝戦でゴール決めた状態と何ら変わりないテンションですってば。
そしてこの「優勝」のテロップがまた味わい深い!(笑) これも松下電器のショールームでS先生が作った文字らしい。
いやはや。
いかに自分が、「安全性のもとで、教員によって守られていた体育祭しかやってこなかったか」を感じた。
S先生いわく、この競技の役割のなかには「人を蹴っても許される役割」があったようで、S先生もその役を担って「合法的に人を蹴ってもいいという経験をさせてもらいました」とのこと。
すさまじい。
ケガ人必至のこの競技、2年と3年は同じクラスのまま進級するので、ここまでテンション高まると、ともに一生忘れられない想い出になっていくのだろう。YouTubeの再生回数もハンパなく、おそらく当時のクラスメートたちが何度も観ているのかもしれない。
「あの棒倒しに勝ったということで、一生喜んでいられる」とのこと。確かに、そうなるんだろう。ビデオに記録を残した当事者としては、なおさらのことだと思う。
以下、YouTubeの動画を貼り付けておきます。
ちなみに高1が行う「騎馬戦」も、相手の帽子を取ったら勝ちとかいうのではなく、「上に乗っている人を地面にたたき落とせば勝ち」みたいなルールらしく、それもかなりバイオレンス度高めの設定ではないかと・・・
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Comments
あれ我等の母校では棒倒しありませんでしたっけ?
どこで見たんだろう…私…
倒さないけど棒の上に付けられた旗を早く取る競技…
中学だったかなぁ。
Posted by: どっちぃ | 2014.06.12 00:21
どっちぃ>あの頃、文化祭のことで頭いっぱいだったから、体育祭のこと本当に記憶に全然ないんだよな(笑)
Posted by: N.Tateishi | 2014.06.13 06:53