R.I.P. クリス・スクワイア
私にとって2015年の6月はすでにもう思い出深い一ヶ月であることは確定していたはずなのに、この最後の最後になって、まさかこのブログでYESのクリス・スクワイア逝去の話を書くことになるなんて、切ない。
YESというバンドは、幾多のメンバーチェンジを行いつつ、そしてまた出たり入ったりを繰り返し、さまざまなミュージシャンによるひとつの大きなYESファミリーともいうべき関係性のなかで、45年近い歳月をかけて活動を続けてきた。そのことは、ある種の実験精神の賜であり、まさに「プログレッシヴなあり方」の模索でもあったかもしれない。
バンドを続けるため、「YESミュージック」を継承していくために、そのためにはボーカルだって変わるし、ギタリストだってドラマーだってキーボードだって変わってきた。
ところが、このバンドで唯一絶対的に替えの効かないポジションがベーシストであり、そしてよりによって、そのベーシストが先にこの世からいなくなっていくというのは、想像できなかった喪失感を覚える。
今日を境に、YESというバンドは突然、終わっていくことになった。そういう意味合いなのである。
(もちろん、それでもバンドが続いていくのであれば、それは尊重されるべきである)
今はただ、YESの曲をたくさん聴いて、彼がもたらしてくれた至高のメロディーと、あのハイトーンでゴリゴリしたベースの音を、今一度噛みしめることなのだろう。
ありがとう、ただひたすら「ありがとう」とクリス・スクワイアに伝えたい。時代が変わりメンバーが激しく入れ替わっても、ひたすら彼がずっと背負ってきたYESというバンドのおかげで、プログレッシヴ・ロックなんていう面白い世界に出会えたのだから。そしてその面白さゆえに、訳も分からない勢いで、私はフリーペーパーを作ろうと思い立ち、そして今に至っているのだから。
安らかに。
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