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February 2016

2016.02.28

「自然史」の観点からアイデア創出の秘密をさぐる:『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』 スティーブン・ジョンソン著

 この本には邦題に問題があるように思えて、そのせいかAmazonでもレビュー数が少ないのが残念である。たしかに日本の出版社はこの本をたくさん売りたいがためにこういう安直な日本語タイトルにしたのだろうけど、そのことで「誤解や期待ハズレ感」が生じるのは否めない。この本の原題は「Where Good Ideas Come From: The Natural History of Innovation」つまり「良いアイデアはどこからやってくるのか:イノベーションの自然史」なのであり、「自然史」の部分がキモなのである。つまり歴史書として捉えたほうが適切であり、単なるアイデア発想法のハウツー本ではないのである。何よりそこは強調しておきたい。

 この本ではダーウィンらにおける進化生物学の理論構築から活版印刷やコンピュータといった電子技術に至るまでを、イノベーション創発の観点でダイナミックに論じている。イノベーションは、それを生み出した個人のひらめきや能力に注目しがちであるが、それを支えたり誘発させやすい要因を史的な枠組みから捉えてみようという意欲的な一冊なのであった。

 特に冒頭の「隣接可能性」の章で語られていたことで、隣り合うさまざまな部屋のドアを開けるように、あらゆる可能性を試行錯誤しながらどんどん探索していくその姿勢は「DIY精神」そのものであり(奇しくもわたしがDIY精神について他人に語るときと同様、この本でも映画『アポロ13』のことに触れているので、私はこの著者とだったら飲みに行けると思った)、そしてそのあとの章で出てくる「セレンディピティ」も、これは自分にとっては「シンクロニシティ」の話であり、まさに高校生の頃から今に至る、自分の抱えるまとまりのない関心領域を結びつけそうな道筋を語られちゃった感じがして面白かった。こういう本を書いてみたかった・・・。

「ゆっくりとした直感」の章では、2001年におけるアメリカ同時多発テロが起こる兆候を、それぞれ別の捜査官が自分のテリトリーのなかで事前に感じ取って危機意識を発信していたにもかかわわず、しかしそれら個々人の「直感、ひらめき」が結びつくことがなく、誰にも関心を持たれずに終わってしまったことの悲劇を取り上げている。これは同じ著者がその後に書くことになる『ピア: ネットワークの縁から未来をデザインする方法』にも通じるテーマなのであるが、中央集権的な古い体質の組織における「どうしようもなさ」についての著者なりの「怒り」に似た、強い主張を感じさせる部分だ。

 あとこの本でたびたびサンゴ礁の話が語られていたので、いま個人的にもサンゴ礁のことについて関心が高まっている。これからの社会組織(たとえば教育機関のあり方とか)を考えるうえで「サンゴ礁モデル」っていうのは有益なポテンシャルを秘めた知見がたくさんありそうな、そういう示唆も与えてくれた。

 著者によるこの本に関連したTEDトークも観られる。18分ぐらい。こちら
ここで語られている途上国での保育器の話や、ソ連のスプートニクからの信号をほんの思いつきで追いかけた研究者の顛末なども同書のなかでじっくり紹介されている。

 ちなみにこの本の存在を知ったきっかけは、オースティン・クレオンの『クリエイティブを共有(シェア)!』における参考文献リストで挙げられていたからであった。この著者による以下の本たちはこれはこれで気軽に楽しく読めておすすめ。
 


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2016.02.16

生き方と、構え方:『写真家ソール・ライター:急がない人生で見つけた13のこと』

ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター:急がない人生で見つけた13のこと』を観てもっとも感じ入ったのは、80歳になるこの写真家が、街中で写真を撮るべく構えるデジカメの、その持ち方だった。

まるで、どこにでもいそうな素人のおじいさんが「デジカメって使い慣れないのよね」といわんばかりに、ブレた写真になりそうな、指先だけでカメラを支えるような、ハラハラする構えかただったのである。

あくまでも彼はフォトグラファーであり、その昔、商業ファッション誌で一時代を築いたとされる写真技術を持っている人物である。でもそんな彼は名声や評価にはとんと無頓着であり、このドキュメンタリー映画のために自身の姿が撮影され、インタビューをされるなかでも、端々に「なんで私が?」という戸惑いを隠さない。

もちろん、まだ若くて体がよく動く頃とは、カメラの持ち方や脇のしめ方だって違ってくるだろう。それは時間の流れとともに変容していくはずである。
でもビジュアルを捉えるその姿勢や感性は年を取っても変わることがない部分もあるわけで、どんなカメラの構えになろうが、目の前の世界を愛でて瞬間を切り取っていくその動作を眺めているうちに、その人となりや生き方が、まるであのなんともぎこちないカメラの持ち方に集約されているようだった。

なのでこの映画およびソール・ライターという写真家の人生について語るには、その「カメラの持ち方」を語るだけで充分のような気がした。


得てして我々は本当に大事な本質を捉えるのがヘタだったりする。


あのたどたどしいカメラの持ち方、でも何も悪びれることなく構えるその「たたずまい」に、それを強烈に感じた。

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2016.02.07

昨日のハルカナショーでのポッドキャスト


毎度おなじみ、イリノイ州アーバナ・シャンペンからのコミュニティラジオ番組「harukanashow」の昨日の放送分「No.255, Feb.5, 2016, Tateishiさんの華麗なる南欧の旅と意外なマストアイテム」、ポッドキャスト版もアップされております。よろしければぜひ。
こちら

うつくしくない話題で申し訳ない気持ちもありつつ、ずっと多くの人に言いたかった「いかに携帯ウォシュレットがすばらしいか」を思う存分語れたので、とても満足感があります(笑)

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2016.02.06

「ハルカナショー」のライヴストリーミング、日本時間土曜日朝9時からオンエア。今回はタテイシが旅と、旅に持って行く持ち物について話をさせていただきました

イリノイ州アーバナ・シャンペンのWRFUのコミュニティラジオ局からお送りしている「harukanashow」、今回はタテイシが喋らせていただきました。年末年始の旅と、そして旅にもっていく持ち物の話について語っています。

ライヴストリーミングで聴けるようになったとのことで、日本時間の土曜日朝9時におそらく以下のサイトから聴けるはずです!

http://wrfu.net/


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2016.02.03

仕切り直しのフリペづくり

 「最新号」がすでに4年前のものとなっていたフリーペーパーの新作は、取りかかって2年近く停滞したまま放置状態だった。
 それらをリセットして別のテーマで衝動的に作りたくなったから、仕切り直しに踏み切る。

 日々の落ち着かなさや慌ただしさは言い訳にならないのである。

 でも、そうやって重い腰をあげて少しだけ前に進むと、「締め切りっぽい目標期限」が予想もしないきっかけでやってきたりする。くわしくはまだ何も書けないのだが、そういうタイミングも含めて、これらが無事に完成までこぎつけられるように・・・と願う。

Img_0611

 あと、今年は年明けからブログ更新頻度を意識的にあげております。だいたいこういうのは最初だけなんだろうけど(笑)

や、今年はブログ重視でいきますよー。

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2016.02.01

スマートレターとかクリックポストとか、日本郵便のサービス名称がいまいち覚えにくい

今日まで知らなかったのだが、日本郵便はクロネコメール便を叩きつぶしたあとに「スマートレター」なんてサービスをいつのまにか始めていたのな。

A5サイズで1kg以内だったら180円で送れる。

ちょうどDVDケースがぎりぎり収まるぐらい。

Jppostalfuck

ちなみに信書もOKとのこと。

政治的圧力により(そう言い切ってもいいだろう)、クロネコメール便がなくなってしまったあと、どーしようもないので、腹立たしさを覚えながらもしぶしぶ日本郵便の新サービスである「クリックポスト」を使うようになったのだが、いずれにせよこの手の郵便サービス、ネーミングがいまいち覚えにくい。どういうわけか、記憶に残りにくい。

実際、さっきこのスマートレターを買った「ゆうゆう窓口」のスタッフだって、「スマートレターください」と言ったら一瞬ポカンとして「なんだっけ」みたいな瞬間があったことを、私は見逃さなかったぞ。
(あ、『スマートレター』って、ひょっとしてスマートフォンという言葉が由来なのか? まさか、そんな)

それで思い出したが、どうして「エクスパック」という名前をやめてわざわざ「レターパック」に変更したのかもよく分からない。「レター」って、もはや郵便局という概念においてトータルに関わってくる言葉だから、あたかも飲食店チェーンの名前に「グルメ・レストラン」って名付けるぐらい落ち着かない感じがするのだが。

で、私なぞは、あえて郵便局の窓口でもいまだに「エクスパックください」って言ってしまうのである。たぶんこれからも意図的に「エクスパック」って言いたくなるかもしれない。



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