« 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その1) | Main | 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その3) »

2016.08.03

「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その2)

 精文館書店を出たあとも、すぐには上司のSさんの地元である国府に向かう気にはならなかった。Sさんからは「行っても何もないところ」と聞かされていたので、早く行きすぎて「何もすることがなくなる+休む場所がない」という状況は避けたかった。

 豊橋駅でもらった観光案内パンフをみると「とよはし物語館」というのが市役所にあるというので、路面電車に乗って向かってみた。

R0036603_r

 土曜日なので市役所は基本的に閉まっているのだが、脇にある入口だけが開いていて、エレベーターで屋上にいくと、その「とよはし物語館」があった。フロアにほとんど誰もいないのでちょっと怖かったが、晴天の街の見晴らしはよかった。

R0036619_r

 ここでは主に年表仕立てのパネルが展示され、豊橋の街の歴史と、そして同時に路面電車の歴史を並行して紹介していた。市電の路線をめぐる変遷は、そのまま街の戦前・戦後の変容とも関係してきて、高度経済成長に伴ってマイカーが増えていくにつれ、一時は路面電車が邪魔者扱いされていくあたりなども時代を感じさせる。

R0036634_r

 豊橋は軍隊の駐屯地があったり重要拠点であったため、終戦の年の空襲が特に激しかったようだ。Sさんの家も代々で砂糖問屋のお商売をやっていたが、この空襲で大打撃を被ったらしい。(追記:この箇所は間違っていて、空襲で焼けた工場はおじいさんの紡績工場だったとのこと。お父さんは砂糖問屋にて勤務されていたそうです。記憶がごっちゃになってました。

 市役所を出てすぐ近くに、味のある洋風建築があった。豊橋市公会堂と書いてあった。これは今あらためてネットで調べるとかなり興味深い建築物で、昭和6年にできて、その後も空襲を乗り越えてきた文化財であった。

R0036611_r

 印象的なのは、創建当時に屋根にいた鷲の彫刻がこうして設置されていたことだ。二羽並ぶとなんだか可愛らしくもある。

R0036608_r

 そしてさらにその近くには、豊橋ハリストス正教会聖堂というものがあり、こちらは大正2年に建てられたロシア正教の教会で、重要文化財に指定されている。そんなに仰々しくなくカジュアルな雰囲気で街の中に建っていて、晴天のなかで建物の白さがすごく映えていた。

R0036652_r

R0036660_r

 あまり予備知識ないままに(Sさんの偏った地元トークの言説だけが頼りといってもよい)、思いつきでこのあたりに立ち寄ったが、こうした歴史的建築物を拝めたのは思わぬ収穫でラッキーだった。


 こうして豊橋駅に戻って名鉄線に乗ってすぐ、ついに国府駅に。

R0036666_r

 改札を出るときに見かけた名鉄の3連シリーズのポスターがあって、

R0036670_r

キャッチコピーが 「この街が、好き。」 ときた。
まさにSさんの溢れんばかりの地元愛そのままのようなポスターに迎えられ、感銘を受ける・・・というよりも苦笑するしかなかった。

 しかもよくみると一番左のポスターには落書きがされてあって、

R0036671_r

 ガンバレ熊本!! なんていい人たちだ、国府の人は!! と、そこはちょっと感動したかもしれない。や、落書きはダメなんだけども。

 あとこの地方のイラストマップが駅に掲示されていた。
 特徴的なのは、やはりあちこちの地域で手筒花火が行われているっぽいことである。

R0036674_r

そして特に左の男性は、工場地帯のような場所で盛大に花火をぶっ放しており、引火して爆発したらどうすんだと危険きわまりない。

 で、駅を出て、旧街道ぞいを南に歩く。暑くて、そして確かにこれといって目を引くものもない。そんな旅行者としての私がまず目指したのは、Sさんの心の故郷、愛知県立国府高等学校である。

R0036676_r

 国府高校は思っていたほど遠くにはなくて、すぐに見つけることができた。

R0036679_r

国府高校、声に出して呼べば「こうこうこう」である。ラップである。

 Sさんは常々「人格は高校時代でほぼ決まる説」を提唱しているので、そんな彼の人生を決定付けたといってもいい場所がこの学舎だと思うと、感慨深く・・・というよりも、「ホントに何やってんのよ自分・・・」という気持ちが強くなっていた。
 
 Sさんにとっての高校時代の想い出のなかには「高校の近所の駄菓子屋でチェリオを飲んで帰ったこと」というのも大きい要素のようで、「周りに何もなかったから」という事情も含めて、その駄菓子屋が今はどうなっているのか、そのあたりも見てみたいと思っていた。
 そしたら、高校の北側の門からほどなく、このようなお店があり、きっとここがSさんのいう駄菓子屋の名残だったんだろうと思った。

R0036683_r

 とはいえ中にはおばあちゃんが座ってテレビを見ているだけで、何かを売っているようにも見えず、ちょっと怖くて中には入れなかった。

R0036684_r

 ただし自販機は周りにたくさんあり、そして案の定チェリオの自販機もあった。

R0036687_r

 そこで何よりツボだったのは、あたかもSさんのいた時代からずっと放置していたんじゃないかっていうビンテージ空き瓶が野ざらしになっていたことである。これを見て私は「ここが例の駄菓子屋に違いない」と確信した。

R0036688_r

で、せっかくの記念なのでここでチェリオのジュースを買い、飲みながら校舎のまわりを歩いてみた。ちょうど野球部が練習をしていて、いかにも夏の高校って感じで旅情感を味わわせていただく。国府高校の野球部はSさんのいた時代に一度だけセンバツに出たことがあるそうだ。(追記:ここも間違いで、センバツではなく正しくは夏の甲子園でした)

R0036698_r

そして正門前にきたとき、近くでは工事現場のおじさんがウロウロしていたのだが、私は正門を背景にスマホで自撮りを敢行し、その場でSさんにメールで送ってみたりした。間違いなくこのときの自分は「卒業生が久しぶりに母校にきて自撮りしている図」を演じきっていた。

R0036710_r

意味の掴みづらい、妙な達成感があったわけだが、国府高校だけではなく、他にも確認しておきたい場所がまだあった。こうして高校を後にし、今度は北のほうへ歩いて行った。

つづきは後日。


R0036690_r
↑ チェリオの自販機の隣の家屋に掲示されていた、なんともいえない古い看板・・・


|

« 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その1) | Main | 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その3) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その2):

« 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その1) | Main | 「上司の故郷に一人で勝手に行ってみる旅」をしてきた(その3) »