実在した名前
その昔、自作フリーペーパー「HOWE」を友人知人だけに配る感じの範囲で書いていた頃、オマケとして「ゴールキーパー・ジョンの不安定な冒険」というマンガをつけていた。友人たちはわりと楽しんで読んでくれていたと思う(さらに当時のHOWEを読み返すと、自分の知らない読者に向けては、感想文を送ってくれた人へのお礼としてこのマンガを送り返そうとしていたようだ 笑)。
ただし、私は今でもそうだが持続力や計画性といったものに非常に乏しいため、この作品は未完のまま、第4回で力尽きてそれ以後まったくマンガは描いていない。
ちなみにこのマンガを描くことになったきっかけは、2001年にはじめてロンドンを訪れて街中を歩いているときに、突然「ガンガンと大量に降ってきた」のであった。数歩進むたびに不思議なぐらいに次々とキャラクターやストーリーが思い浮かんできて、最終回に至るオチまで思いつき、そのたびに立ち止まってメモをつけていった。どうしてこんなに創作のアイデアが一気にわいてくるのか自分でもよく分からなくて、そんな体験はあのときだけだった。おそらく、言葉の分からない世界でひとり黙々と歩き続けていくなかで、普段は使わない領域の集中力みたいなものが研ぎ澄まされていったのだろうか。よく音楽アーティストがわざわざ海外でレコーディングすることがあるが、そうしたくなる気持ちがそのときすごく共感できる気がした。
というわけで、帰国後すぐにインスピレーションにまかせて創作した、とある国のとある弱小サッカークラブ「FCペンシルズ」というチームを舞台に、実在の人物をモデルにしたキャラや(主人公のジョンは、当時フランス代表キーパーだったファビアン・バルテズがモデルだ)、まったくの創作キャラを交えて、マンガを描いてみたのだった。
そのなかで、自分の創作したキャラに「トークマン」という選手がいる。
このように、設定としては「常にブツブツと何かをつぶやいていて、試合のときは相手に語り続けて集中力を削ぐ『つぶやき作戦』を得意とするディフェンダー」である。
喋りまくる男だから「トーク」+「マン」であり、それだけの単純なネーミングであった。
で、話は急に先日のことになるのだが、早朝テレビをつけたらNHKのメジャーリーグ中継が放送されていて、ニューヨーク・ヤンキースのスタメンの選手名を実況アナウンサーが読み上げていたら、
「トークマン」
という言葉が耳に入り、
「ええええええーーー!?」と反応し、すかさずスマホで写真を撮ってしまった。
トークマンって人名、実在していたのか!?
※画面の傾きっぷりから、いかにあわててカメラを向けていたかがうかがえる。
ただし調べるとスペルは「Tauchman」ということで、まぁ、そういうものだよなと納得した。
いつかサッカー界のトップレベルでもトークマン選手が現れてほしいものである。
★★★
今回のおかげで久しぶりにこのマンガのことを思いだし、手元の保管資料を発掘して読み返してみた。若干恥ずかしい部分もあるが、第2回と第4回の内容をスマホで撮ったので、画像で置いてみる。
第2回「新シーズン開幕!の巻」。設定では「いつまでも現役にこだわる超ベテランストライカー」のスチュワート選手が当時42歳ということで、気がつけば彼の年齢を自分が越えていたことにショックを受けている。
こちらは第4回「ピッチの中心で、ウソを叫ぶの巻」。「セカチュー」が流行っていた頃なのね。
ペンシルズ監督のイレイザー氏がよく頭突きをするのは、それを「イレイザー・ヘッド」と名付けたかったからである。元ネタの映画は観たことないんだけど(笑)
Comments
FCペンシルズ、胸スポンサーが
「UNI」なのは芸が細かいっス♪
中盤が「レフティー&ミョージン」
ってのも「当時の雰囲気」を
醸し出してる、かとw
アニメ化、期待しています(ぇ!?)
Posted by: ねこじし | 2020.08.25 23:29
ねこじしさん>恐縮です・・・いきなりのアニメ化、飛躍しすぎ!!(笑)
そうですね、当時のシドニー五輪世代が自分のなかで熱かった時代でした。自分自身も同世代だったのが大きいですね。
Posted by: タテイシ | 2020.08.26 00:29
15年ぶりの投稿です。たぶん、カタカナ表記では名前として、あるんじゃないかと思ってました。「トークマン」。
Posted by: トークマン | 2020.09.04 02:03
トークマン>お久しぶりにコメントをいただき恐縮です。私の中では「ありそうでない名前だろう」と思っていただけに、現実が空想を追い越していった感があります!
Posted by: タテイシ | 2020.09.04 23:20