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2022.02.26

大阪のとなりの奈良に住んでる、とその悪人はオランダの空港で語りかける

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▲12年前に乗り継ぎではじめてスキポール空港に着いたとき。オランダの空は実にいい。その魅力と謎を探ったドキュメンタリー映画『オランダの光』はオススメ。


 いろんな国の大使館や領事館が発行している海外安全情報のメールマガジンを読む機会があるのだが、たまに詐欺事件の注意喚起があって、これがなかなか読ませるのである。
 つい最近では在オランダ大使館がこんな事件を報告していた。

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今回、当館へ情報提供をいただいた手口は次のとおりです。

1 スキポール空港第2ターミナルの自動チェックイン機周辺で外国人の男1名が声をかけてくる。

2 この外国人の男は、困った様子で、英語で「大阪に行きますか?私も行きます。チケット変更の手続きをしているが、現金では、その追加料金49ユーロの支払いを受け付けてもらえない。現金を渡すので、代わりにカードで決済をしてもらえないか。なお、私は、今、大阪隣県の奈良で働いています」と話し、現金50ユーロを手渡してくる。

3 一緒に自動チェックイン機へ行き、機械へクレジットカードを入れるが、画面が動作する様子がなく、また、表示を英語にするよう外国人の男に伝えるも、この男は「この機器では駄目かもしれない、係員にもう一度聞いてきます」と言い、一度その場から離れる。この間、この外国人の男は、現金50ユーロを預けたまま、また、自身の荷物は置いたままにし、ターゲットとした人物がその場から離れないよう仕向ける。

4 戻ってきた外国人の男は、「隣の自動チェックイン機で試してみましょう」と促し、瞬時にターゲットとした人物の手元からクレジットカードを取り上げ、別の自動チェックイン機へ移動する。この移動のため背を向けた瞬間を利用しクレジットカードをすり替える。その後、再度自動チェックイン機で操作をするが、画面が動作しないため、この外国人の男は「再度、係員に相談します。後でお会いするかもしれませんね」と言うと、クレジットカード(既にすり替えられたもの)を返却し、その場から離れる。

 本事案は、親切心を逆手にとり、また、日本に関わりがある等の情報を伝えることで親近感を抱かせた上で、行われています。また、同様の手口で入手したと思われるクレジットカードを多数所持していると思われ、すり替えたクレジットカードが、一目で自分のものではないと気付かれないよう、同種のカード、且つカード番号や名義人のイニシャルが似たようなものが渡されているとみられるほか、こうした手口からも、日本人を狙っているものと考えることもできます。

 このような事案が発生していることを念頭に、今回この種の事案が確認された空港をはじめ、外出先ではこうした被害に遭わないよう十分に注意してください。
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 ううむ、実によく計画されており、私もきっとその場にいたらダマされるかもしれないなぁと思う。簡単にホメちゃだめなのだが、見事な筋書きで演じられており、ある意味では即興芸術の域に達しているのではないかとすら感じる。

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▲なぜか自分もスキポール空港でこんな写真を撮っていたが、チェックインでこういう類の機械があって、オランダ語表示のまま使われても何がなんだか、ってなりますわな。

 それにしても「大阪の隣の奈良に住んでいる」っていうくだりが笑える。わざわざ大阪の隣っていうワンクッションを入れるあたりにリアリティを高める効果がありそうで、でも一歩間違えると胡散臭くも感じさせる、なかなか際どいシナリオだ。

 そして偶然にも私のように奈良県で育ったために土地勘がある場合、そこで考え得る対応としては「レアリー? 奈良の、どのへん?」と返答するのもいいのだろうけど、おそらく相手は急いでいるシチュエーションを演出するから、そこで話題を膨らまそうとは決してしないのだろう。もしこれが「東京の隣の埼玉」とか言われたら、私もその点についてはきっと何も言えない。だからこそそういう話題のときは知らない土地でも「最寄りはどの駅? オレは鉄道マニアなんだ!」っていう返答を用意しておくのもいいかもしれない。

 そしてもうひとつポイントとなるのは、自分が使っているクレジットカードがすり替えられてもしばらく気づかれないように、犯人が多種多様なカードを取りそろえている可能性があることだ。チェックインの機械にクレジットカードを入れさせることで、カードのデザインを観察できるチャンスを作っているのが巧妙であるが、ここでもしできるだけ変わったデザインのクレジットカードを使っていて、犯人の手持ちのストックに同じカードが該当しなかったら、おそらくこの一回目の時点で犯人は「じゃあ、係員に聞いてみます」と立ち去っていくのだろう。

 そういえばつい最近私は楽天カードの「2枚目発行キャンペーン」に乗っかり、デザインを選ぶ際にどうせならネタになるほうを、と思って

Card

 このイニエスタ選手のカードにしたわけだ。カードの有効期限が切れるころには同選手も引退しているだろうから、このデザインが引き続き更新されることもないのだろう(されてほしいんだけど)とも思えるわけだが、海外旅行のときはこういう変わったカードを使うほうがいいのかもしれない。


 まぁ、きっと犯人の側も、どうせならお金持ちが持っている大手会社発行のゴールドカードみたいなやつを狙うほうが効率がいいのでしょうから、ツッコミどころしかないイニエスタのカードを使いたがる旅行者には目もくれないんでしょうけど。

(まだこのカード、お店で対面のレジで使ったことない)

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Comments

最近ハタケニヨク来テクレテル方ガHOWEヲモッテテ、鴨川ノジンコーナーニモモッテコラレテイマシタ。

Posted by: yoneda | 2022.03.27 16:02

yoneda>ごぶさたしてます!HOWEを持っている人がそういうところにいるということの偶然というか奇跡みたいなものを感じます。

Posted by: タテイシ | 2022.04.07 23:51

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