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2023.10.23

学生時代に読んだ本のなかで(ある意味で)最もショックを受けた本のこと

勤めている大学の図書課の企画で、すべての事務部署の職員スタッフが一人一冊の本ないし映画をオススメしてポップを描くという試みが行われた。

学生さんに勧めたい本ということで考えると、いろいろ迷うところがあった。
しかし最終的には「まぁ、学生さんはそもそもこんなコーナーに注意を向けることもなかろう」と思えてきて、気楽なノリで「自分が学生時代に読んだ本のなかで何が最も衝撃的だったか」をふりかえり、こんなポップをザザザッと描いてみた。

Img6310
(ひさしぶりにちゃんとイラストらしきものを描いた気がする)


紹介した本は、これ。


Img2309

これは図書館に所蔵があったので、古い本だがそのまんまの状態で展示されている。

この本がどういう内容のものかを説明するのはとても難しいのだが、「マジメな心理学の学術研究論文集という化けの皮をかぶった、パロディお笑い本」である。
いかにもありそうな心理学の論文がつらつらとページを埋めているのだが、どれもこれも「それっぽい感じ」で、よく読むと完全にボケ倒したノリの、人をおちょくるパロディのオンパレード。

つまり、ある意味では危険な本でもある。「研究者のさじ加減ひとつで、どんなデタラメなことを書いても、研究論文にするとそれらしく思えてきて、パロディをパロディだとは認識されなくなるポイントがあるかもしれない」ということを警告するかのような内容でもあるからだ。

若い頃の私はわりと真剣に心理学の勉強をしていたもんだから、この本にはおおいに動揺させられた。心理学だけに限らず、広く「学術研究」というものになんとなく幻想を抱きがちな若い人にとっては、よい意味でカウンターパンチを喰らわしてくれるような、そういう意義がある本だと思っている。

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