思えばエリザベス女王の国葬については繰り返し見たくなる映画のような素晴らしい葬儀で、いろいろと語りたいシーンがいくつもあったのだが、なんだか「人のお葬式」について書くのも気が引ける部分もあり、このブログでは書かずにいたままだった。
(でも結局、普段の生活でもこの話について誰かと語る機会もなかったので、気が向いたらブログでまた書くかもしれない)
そうして昨日はチャールズ3世の戴冠式が執り行われ、幸い日本では連休の真っ只中ということもありじっくりとBBCワールドの日本語通訳入りでその様子をライヴ中継で味わうことができた。そして一方ではサッカー・アジアチャンピオンズリーグ決勝が同時刻に行われていたもんだから、浦和レッズの試合の様子も気になるのでパソコンでDAZNの中継を流しっぱなしにしつつ・・・という状況だった。
テレビで観ているうちに、なんだか自分も観光客気分で、スマホで画面を撮影したくなった(今回はほとんどがこのスマホの写真を使わせてもらいますが、当然ながら画像の質は悪いです)。
バッキンガム宮殿からウェストミンスター寺院へ向かう行進から始まるのだが、馬車をひく馬たちが、青いカツラをつけられて、そして目にはフタになるような飾りをつけられていた。
おそらく馬の性質上、そうすることで集中力が高まったりするのだろうけど、「見えにくくないのだろうか、それで自分の職務を全うすることはできるのだろうか」と、ぼんやりと不安にさせるあたり、「これは英国の誇るロックバンドであるロキシー・ミュージックのギタリスト、フィル・マンザネラが初期によくしていた変なメガネみたいなものなのだ」と思うようにした。
↑ この人。
そうしてウェストミンスター寺院には王室の面々がやってくる。
ハリー王子は今回はひとりで出席。いろいろ微妙だもんねぇ。
で、アン王女を見て最初は「なんでそんな格好なん?」と思って半笑いで写真を撮ったのだが、このことは後になっていかに自分が無知であったかを思い知らされることになる。
ちなみに報道写真から拝借。これがその格好。
この帽子のまま戴冠式のあいだも列席していたので、ずっと気になっていたのである。
そうこうしているうちに、国王夫妻を載せた馬車が国会議事堂の近くを通って寺院へ。
本当にどうでもいいことばかり気になるのだが、いつもは観光客でごった返しているウェストミンスター寺院の入口にある、この画像の奥にみえる「お土産屋さん」、さすがに今日は閉めてるんだよなと確認。
そしてさらにどうでもいいことなのだが、馬車を降りるときに国王夫妻を迎えていたこの人たちがそれぞれに持っている傘の種類がバラバラだったのが印象的だった。隊列や行進に関わるあらゆる物事がビシッと揃っていたなか、数少ない「間に合わせ感」が出ていたのがこれだったので、つい嬉しくなって写真に撮ってしまう。
国王を待つ参列者。ハリーの「ぼっち感」が際立つので「がんばれ!」と言いたくなるし、その目の前にはアン王女の帽子。いろいろ気になる。手前の空席はこのあとウイリアム皇太子の家族が座る。
そして来賓席のなかでは秋篠宮夫妻がいいポジションに座っていて目立っていた。
で、ここから大司教やさまざまな聖職者が入場してくる。
「なんでこういう衣装なんでしょうねぇ?」と言いたくなる。いろいろ豪華だったり謎めいていたり。
不鮮明で申し訳ないが、どう考えても「普通の長い棒」あるいは「釣り竿?」にしか見えないものを持って入場する人も。
で、寺院に入場する直前の国王と、この儀式でずっとサポート役をつとめる2人の司教の様子が捉えられていて、とくに右側のメガネの司教がやたらフランクに喋っているようにうかがえたので、きっと「まぁ、気楽にいきましょ、気楽に」みたいなノリでリラックスさせようとしていたのかもしれない。
こうして入場。後ろにいる少年のうち左は、孫にあたるジョージ王子が立派に侍者を務めていた。いつか彼もこの儀式をやらないといけないのだろうなぁ。
そんなジョージ王子と新国王を見守るウイリアム皇太子の一家も勢揃い。
すっかり大きくなったシャーロット王女とルイ王子がこの日もすごくかわいらしくてネットではさっそくいろいろ記事になっている。
特にこの写真におけるシャーロット王女の毅然とした立ち姿は、まんまエリザベス女王そのものやん!といった印象がある。
そうして儀式が始まったのだが、驚いたのはオープニングを飾ったのはひとりの少年の侍者が、これから儀式が始まります的なスピーチを行ったことだ。すごい緊張感のなかで、ものすごい大役を務めていて、立派だった。
そうしてここから長々と儀式が進んでいったわけである。
まぁ、当然といえば当然だが、それぞれが口にする言葉はカンニングペーパーを見ないことにはどうしようもないわけである。
カンペの背には紋章みたいなのがちゃんと印刷されているが、なんだかテレビのクイズ番組で使われるような問題カードにも見えてくる。
常にカンペ。
そして、建物の構造上、来賓席からは直接メインの舞台が見えないので、ウイリアム皇太子も身を乗り出さないと様子が分からない。
また、今回の戴冠式では、歴史上はじめて女性の司教が儀式に参加したり、新しい取り組みをいくつか導入していたようで、そのうちの一つが、ゴスペル歌手による「ハレルヤ」の合唱が行われたことだった。
アカペラによる歌はとても美しかったが、個人的にはちょっと緊張感を覚えた。というのも
みんなで輪になって歌っていたので、絵的にはちょっと落ち着かない状態に。
あと、背後に映る参列者のみなさんの表情がなぜか一様に固すぎて、そこも緊張感をかもしだしていた。や、分かるよ、儀式が長ったらしいのは。
引き続き儀式は粛々と進んでいき、これは聖なる油を身体に塗る儀式の最中に持ち込まれた囲い。中で何が行われているかは誰も分からないのである。
「お着替えタイム」みたいな、これもまた絵的に落ち着かない時間。見方によっては「奇術師の脱出ショー」みたいな雰囲気すらある。
で、ここまでくると、あくまで自分の主観なのだが、チャールズ王やカミラ王妃も「面倒くさいなぁ」というオーラがでているように思われてきた。
さんざん儀式に振り回されたあげく、途中できわめてラフな格好にさせられて、この上から特別な金色の衣を着せられたり。
そしてそれぞれの貴重な宝物が、順番に新国王に手渡されるのであった。
そして最後に王冠をかぶるのだが、このときは「強引に頭にねじこまれる」感じがあって、ちょっと気の毒なほどだった(笑)
で、カミラ王妃にも王冠がねじこまれたのだが、この直後に何度も王冠と髪の隙間を手でいじったりして、「儀式とか本当に面倒くさいのよね」といわんばかりのカミラさんの庶民的なノリ、私は嫌いじゃないです。
紫色を基調とした衣装や王冠を身につけて退場。この姿をみてはじめて、あぁエリザベス女王の子どもだったんだなぁ、似ているなぁ、と実感。
こうして再び一行はバッキンガム宮殿に向かうわけであるが、最初よりもかなりパワーアップした隊列が待ち構えていた。
で、ここで大変驚いたのは、国王の妹にあたるアン王女である。
彼女は馬術が得意とのことで、このとき国王夫妻の馬車を率いる騎馬隊の一員として、馬にまたがり行進していたのである。
この緑色の円の位置でずっと馬に乗って併走。
いやはや、参りました。このような理由で、あのようなお召し物を身につけていたとは。
これって日本の皇室に例えたら、即位パレードで天皇陛下が乗るハイヤーに紀宮さんが白バイで併走するようなものではないか。カッコ良すぎる。
来賓席にいたあとに、馬にまたがって宮殿へ。
ネット上でも「アン王女かっこいい」の賞賛がいくつも起こっている様子。
こうして、バッキンガム宮殿に戻って、多くの見物客へ挨拶。
この一連のプロセスが5時間ぐらい。すっかり見入ってしまった。(その傍ら、浦和レッズが奮闘の末、アジア王者になっていた。おめでとうございます)
最後にロンドンに行ったのが2017年で、そのときこの宮殿や、宮殿前のザ・マルの大通りについて想い出深い出来事があり(こちら)、自分にとっても特別な感情を抱く場所ではあるが、こうしてまた文字通りの新しい歴史が刻まれていったんだなぁと実感した。
<余談>
▲このお面は売り物だと思われるのだが、いまだに世界的にはこうした「写真のお面」はそのクオリティが残念なままである。私の書いた「DIYお面の作り方」の記事を読んでもらいたいものである。
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